575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

旅人とわが名よばれむ初時雨   芭蕉

2012年01月07日 | Weblog
この句の前書は。

 はや此方へと 夕露の 葎(むぐら)の宿は
 うれたくとも 袖を片敷きて お泊りあれや旅人

能の「梅枝」のなかで、一夜の宿を乞う旅の僧に
女主人が、どうぞと言う場面の言葉。

能のワキは旅の僧。
これは芭蕉が、私も謡曲のなかの旅の僧のような旅がしたい、
という気持ちを詠った句ということになります。
奥の細道も、芭蕉はワキの僧と見立てた旅の記録という味方もあります。

  春水や四条五条の橋の下  蕪村

これも能の「熊野(ゆや)」のなかの一節。

 四条五条の橋の下 老若男女貴賤都鄙、
 色めく花衣 袖を連ねて行末の・・・

シテの熊野が、平宗盛とともに清水寺の桜見物に向かう
道行を謡った部分。七五にそのまま引用しています。

俳諧に先立つ連歌では、題材を源氏物語からとっていました。
これに対して新しい俳諧は、謡を材料に句を詠ったようです。
引用によって、能の世界を呼び寄せることが出来、
句に大きな広がりを持たせること効果があります。
もっとも原典を知らない私には??・・・でしたが。

       (能が見たくなる講座十撰より)   遅足
コメント
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