575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

鮟鱇の値札大きく口に刺し   山口昭男

2012年01月14日 | Weblog
山口昭男さんは昭和30年生まれ。「秋草」の主宰。
句集「讀本」を読みました。

  白菜としぼりしままの雑巾と

日常のささやかな出来事に言葉を寄せて詠んだ句。
私には詠めない句。良い句です。
こんな句も目に留まりました。

  水面の雨粒まろし生身魂

スロー・モーションのような句。
すぐれた動態視力から生まれたのでししょう。
写生句のお手本のような句。
生身魂、という季語を取り合わせたことから、
人のいのち、水のいのちの危うさが感じられます。

一方、それとなく作者の気持ちを詠み込んだ句。

  北風を頬へあてたるまま坐る

  ふりかえる秋風のまた苦きとき

句集のタイトルとなった句。

  じゃがいもの咲いて讀本文字大き

戦前の教科書を手にとって開いた時の印象でしょうか?
じゃがいもの花は、目立たない花。
取り合わせに、讀本の文字の大きさに
注目したところが良いですね。     遅足

コメント
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