575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

年の始めに   鳥野

2013年01月08日 | Weblog
年頭に、まるで慣わしのように浮かぶ一首があります。

 ・ 新しき年の始めの初春の 今日ふる雪の 
   いや頻け吉事(よごと)

万葉集4536首の掉尾を飾る有名な歌です。

何と大らかで、率直で、真摯で。新年にこそ
相応しいと思います。

作者は大伴家持。万葉集の編者ともいわれ、
432首が選ばれています。

家持は今でいう高級官僚、参議、中納言まで、
進みましたが、政争に巻き込まれた不運の人。
官を奪われ、没後には遺骸までもが、追罰される
というありさまでした。

集の最終近くに

 ・初春の初子(ね)の今日の玉箒 手に取るからに
  揺らぐ玉の緒

という一首があり、目出たさを言いながら、忌み事の
すべてを掃いて捨てたい、家持のやるせなさを詠みと
る思いがします。

行く先の見えない今の日本。掃いて捨てたい事々が
山積で、呪力を持つ玉箒があったなら・・・。
コメント
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