・ 岩山を駆け上がりたる山羊の爪 楽器
となりてアンデスの音
岩山、山羊、楽器、そして結びは「音」・・・。
作者は松田宏二、若いのです。
選者の小島ゆかりが「想像力の豊かさが、ア
ンデスの音をひびかせた」と評しているよう
に、抜群の感性。
句集<そして>のあとがきに、たしか「間もな
く古希」と書いておられましたが、どうしてど
うして、思いは遠く遠くアンデスへ。
南米の太平洋沿い、延長9000キロの大山脈。
そこに棲む有蹄類の爪音。
読み返すうちに、コンドルの羽音までもが、聞
こえるようでした。
今回もまた、松田宗匠の入選歌の紹介になり
ました。