これがまあ終(つひ)の栖(すみか)か雪五尺
一茶の句です。江戸での生活に見切りをつけた一茶は故郷に。
雪深い柏原の宿です。
遺産相続をめぐって、弟と争い、家と田畑の半分を得ます。
52歳で28歳のきくと結婚、子供も生まれました。
しかし子供たちは夭折、妻も亡くします。
この後も2回結婚していますが、家庭の幸福には恵まれませんでした。
雪とけて村いっぱいの子どもかな
一茶は克明な日記を書いて、閨房(けいぼう)の記録をも残しています。
家庭的な幸福を求めたのでしょうか。精力絶倫というのでしょうか。
なかには、白昼4交におよぶとも。
晩年、脳卒中で半身不随になりますが、なお意欲は盛んだったとか。
65歳で亡くなっています。
一茶の晩年を想像すると、とても枯れた生活とは思えません。
冬枯れて墨に描かる一茶かな 結宇
とても人間臭く生きた一茶。
この句では、一茶が冬枯れの中に墨絵で描かれています。
芭蕉なら墨絵が似合いそうですが、一茶はどうでしょう?
それを一句に仕立てたところが作者の狙いかも知れません。