575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

初明りそっと私を包み込む   えみ

2014年01月19日 | Weblog
俳句は字数が限られているので、主語は省かれる場合が多い。
そこで逆手を取って「我」を打ち出す方法もあるそうです。

   扇風機われにとどかず見てをりぬ   上野章子

この句、われがないと

   扇風機とどかぬままに見てをりぬ

「われ」のある、なしで、印象が変わります。
(参考文献・実作俳句入門・藤田湘子著)

この句も、私と言い切っているところが良いと思います。
一体、どんな私なのか?
その謎は読者の読み方に任せられています。
人間以外のモノに託したら、何なんでしょうね。

  炭爆ぜて長い沈黙許そうか

同じ作者の自由題の句。
短編小説のシーンのようです。
炭が爆ぜる。現代なら高級料理店の一室でしょうか。
長い沈黙のなかの男女。
静寂を破って炭が怒ったように爆ぜます。
男の長い沈黙を許そうか・・・とヒロイン。

そんなドラマの続きが初明りの句とも読めますが・・・
深読みのしすぎですね。

                   遅足
コメント
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