575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

初蝶の離れずに舞う鼎塚   遅足

2017年04月01日 | Weblog
三重県のいなべ市藤原町に鼎という集落があります。
ここの梅林が有名と聞いて、先日出かけました。
花の盛りは終わっていましたが、遠く藤原岳には
雪が残っており、素晴らしい眺めでした。

この集落には、鼎塚があると聞き、訪ねてみました。
小山ほどもある塚で、なんと関ヶ原の戦いで亡くなった
島津隊の武士たちを弔ったものでした。

西暦1600年、天下分け目の戦いに西軍として
参加していた島津隊は、敗戦が明白となるや、
なんと正にいた東軍の真ん中を突破、南へ・・・
藤原町の鼎を通って故郷の鹿児島へと帰ったのです。
島津隊には多数の犠牲者が出たそうです。
塚はその時の霊を慰めるため鼎の里人が作ったもの。

びっくりしたのは、500年近く経った平成の世に
小中学生からなる「島津関ケ原戦跡踏破隊」が毎年、
夏休みを利用してやって来るとのこと。
踏破隊は昭和35年から行われている伝統行事だとか。

          

なお、山岳俳句で有名な俳人・前田普羅は鼎を訪れ、
塚について書き残しているほかに、こんな句を残しています。

  道おしへ藤原獄も遠ざかる

  かりがねの余りに高くかへるなり

帰り道で猿の群れに出会うなど、小さな発見のある旅でした。
コメント
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