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ぽろぽろとセピアの父をこぼしゆく切り抜き帳に春の剥落
この5首連作は、以前ブログで紹介したものをまとめたものです。
心の花名古屋歌会に提出。小島ゆかり先生の選の2席に入りました。
五首であることに意味がある。また五首であるから良く分かる。
事実を並べているだけのようであるが、最後の一首を推敲すると良い歌に。
と言われて、最後の歌について次のようなサジェスチョンを。
☆「セピアの父」は常套句。
☆「こぼしゆく」の主語は作者なのか?曖昧。
☆切り抜き帳に、の「に」は適切か?
☆「剥落」は自然に剥がれてゆくこと。「こぼしゆく」は不自然。
という指摘をうけました。
手に取ればぽろぽろこぼれてゆく父の切り抜き帳の春の剥落
と変えてみました。
歌会の翌日は、蒲郡市であった藤原俊成短歌大会での講演を聞きに。
テレビで拝見した印象より小柄な方でしたが、元気も笑顔いっぱい。
チャーミングな女性でした。
(父は新聞記者でした。これは昭和16年の父の切り抜き帳を詠んだ五首です。)