「一隅照らす」という表現だけで、黄色を想像させるこの句は、
前頁の「つわぶきや黄色残して庭暮るる 」と姉妹句のように思えます。
どちらも庭にある石蕗の花です。
「一隅を照らしていた」花が、陽が傾いて「黄色を目に残して」暮れなずんでいく。
二句をつなげると、まるで動画を見ているような不思議な気持ちになります。
ひょっとして同じ庭なのではありませんか?(笑)
石蕗の花の色をいわずに照らすといったのが良いと思います:晴代さん
素朴さを感じました:泉さん
「一隅照らす」の措辞が巧み:等さん
措辞とは言葉の使い方や配置の仕方のこと。
短い一言で雰囲気を表し句の世界を広げてくれます。
一隅を照らしたのは石蕗の花色であったでしょうが、作者のこころをも照らし慰めたのでしょうね。
門の内ほっと安堵の石蕗の花 須美
(実家は門を入ると石蕗がありました。外から帰り石蕗の黄色い花が目に入るとほっとしたことを思い出します)と作者の言です。
石蕗は決して華やかではありませんが、見るものに寄り添い、ぬくもりを感じさせてくれる花です。郁子