575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

寂庵に忌日生まれし石蕗の花  殿

2021年12月23日 | Weblog

高得点の殿様の秀句。ご本人のコメントです。

「石蕗<つわ>は、初冬の日陰にあっても明るく咲くため、

「自らを信じ、心の明かりを頼りに闇を歩む」という釈尊の

自灯明<じとうみょう>を表す花といわれています。

99歳で鬼籍の人となった瀬戸内寂聴。

自灯明により仏の導く道を歩んでいるのかもしれません。」

            ★★★

先月亡くなられた瀬戸内寂聴さんを悼んでの句です。自灯明の花というのが寂聴さんにぴったりですね。

作家としての活動はもとより嵯峨野に寂庵を構え多くの人に説法をし悩み相談に乗っておられました。明るい語り口調に笑いが絶えず、うちの亡き母も生前寂庵を何度か訪れていたようです。お肉もワインもたしなみ、最近は若い秘書さんとの出会いで新しい刺激を受けておられましたが訃報が届き本当に残念です。寂聴さんが亡くなった日も、寂庵には寂聴さんの雰囲気に似た明るくて強くて、どこか人を癒す石蕗の花が咲き続けていたことでしょう。

 

皆様のコメントをご紹介します。

能登さん:寂聴さんと石蕗の花の黄色、似合いです。合掌。 

竹葉さん:葉も年中ピカピカで明るい石蕗の花が彼女にぴっりで、時期を得た句だと思いました。

紅さん:瀬戸内寂聴さんの追悼でしょうか。深みがありますね。

亜子さん:先日亡くなった瀬戸内寂聴さんをしのぶ一句。嵯峨野の植物の写真とともに「寂庵便り」としてエッセイが新聞に連載されていた。石蕗の花は控えめな花。寂庵にも咲いていそうです。

千香子さん:波乱万丈の人生を最後まで情熱をもって、生き抜いた人に、花の少ない冬にもしっかと咲く石蕗の花は似合っているように思います。句集「ひとり」に俳句を作り始めたころ句会でであった、網野菊が作った

 ひとり居の冬の支度や石蕗の花

の句を覚えているとありました。石蕗の花との縁を感じます。

       ★★★

寂聴さんはご自身も俳句を作り千香子さんが言われるように「ひとり」いう句集を数年前に出版されています。亡くなった人を思い孤独を見つめる85句が収められています。

    仮の夜の修羅書きすすむ霜夜かな

こんな俳句も作っておられました。生前、朝起きたら、机の上でうっぷして死んでいるのが理想とおっしゃっていました。最後まで書き続けていた信念の作家でしたね。ご命日は石蕗忌となるかも知れません。麗子

 

コメント
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