575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

金子光晴の詩「冨士」から   千香子

2022年08月06日 | Weblog

 

2020年8月8日の天声人語は 〈戸籍簿よ早く焼けてしまえ誰も俺の息子を覚えてるな〉 長い詩の中から引用している。

金子は 息子を戦争に行かせないため、赤紙が来た時、息子の体を痛めてまで診断書を提出している。

「冨士」の中で<息子よ この手のひらに もみ込まれてゐろ帽子のうらへ一時消えてゐろ>

 金子は各人が各人のやり方で軍を拒否するべきだと考えていたと 。

冒頭には

   咳の子のなぞなぞあそびきりもなや   中村汀女 

  子を殴ちしながき一瞬天の蝉   秋元富士夫

  万緑の中や吾子の歯生え初むる   中村草田男  

の三句をのせている。

子育ての名句は戦前戦中に多く出ているというが、直接俳句からではなく、金子の詩が中心になっている。

「戦地 に送ることを思いながら 子を育てる、子も戦争で死ぬことを思って育っていく、この国にそんな時代があった。戦争はいつも若者の命を要求する仕組みである。」と締めくくっている。

 

7月31日の 朝日歌壇に

九条を変える政治家選ぶのも戦に行くのも死ぬのも若者

という中井周防の 歌が載っていた。   千香子

コメント (2)
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