575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

祈るべき天とおもえど天の病む  石牟礼道子  

2016年04月12日 | Weblog
『苦海浄土』の作者・石牟礼道子さんは俳人でもあります。
「石牟礼道子全句集~泣きなが原~」を読みました。
掲句は一番心に残る句です。
  
「泣きなが原」は大分県九重町の草原のこと。
地元に伝わる悲しい伝説に因む名だそうです。
石牟礼さんは、ススキ原の美しさに魅せられたそうです。

  おもかげや泣きなが原の夕茜

句集の編集に携わった俳人の穴井さん。
「ふかい溜息のように一句を紡ぎ、
紡ぐことによってわずかに己を宥める、
まるで己の遺書のごとくに」と書いています。

3・11の後、ある対談のなかで、石牟礼さんは
「水俣のようになっていくに違いないと思いました。
『また棄てるのか』と思いました。
この国は塵芥のように人間を棄てる」と話しています。

  さくらさくらわが不知火はひかり凪

          

写真は不知火湾のうたせ船です。    遅足




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