575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

関東で蹴りまくりたる霜柱   朱露

2008年01月19日 | Weblog

  下駄で霜柱を蹴飛ばす敗戦前後の冬。
  霜柱ほど蹴り甲斐がないものはない。
  半世紀霜柱がない所で暮らしてきた。
  霜柱を蹴飛ばせぬまま死ぬハメにか。

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夕闇に白鳥の羽音聞こえたり         草女

2008年01月18日 | Weblog
 日本の冬、オハクチョウとコハクチョウが渡って来る。
 双方が並んでいたら、体の大小や嘴の黄と黒の部分の多少で分るかもしれない。
 日本海側にはコハクチョウ、太平洋側にはオオハクチョウが多く飛来するというが、見分けるのは難しい。
 昨年暮れ、石川県の河北潟のバードウォッチングに参加した。夕方宿への移動中
まだ緑色の櫓田の中に数十羽のコハクチョウの群れを発見して観察した。
 こちら側の田がねぐららしく、向こうの田から七羽八羽と群れが飛んでくる。夕方の曇り空を飛ぶ白鳥の羽の白さが光る。
 花岡大学の「百羽の鶴」には"ひわ ひわ"と飛ぶ鶴の群れが描写されている。白鳥も遠目には"ひわ ひわ"がぴったりだ。が、日没が迫り空の暗さが増して来ると白鳥の群れは、だんだんと低空を移動するようになり、私たちの真上を飛んだ。
 「コウ・コウ」という鳴き声の間に「ヒッュ ヒッュ」という羽音が聞こえ、羽根と羽根の重なりや体に密着した黒い足さえも間近に見えた。
 それは決して"ひわ ひわ"優しげなものではなく、空を切裂いて必死に飛ぶ姿だった。「ああ このようにしてシベリアから北海道へ、そして徐々に南下して、ここへ来たんだな!!」と胸が熱くなってくる。

 ところで、白鳥のねぐらの近くに数十羽のマガンの群れがいた。そこで仲間のカメラマン達が撮影しようと近づくと、いち早く飛び去ったのはマガン。白鳥は動じない。日本人は昔からガンやカモを捕食してきた。そんな歴史もあってマガンは人間を警戒したのであろう。では 白鳥は?  あになに大きくて食べ出がありそうなのに?  余程不味いのかな?
感動が疑問に変わった。色々調べてみたが、昔の人々が白鳥を食べたかどうかは分からず仕舞いである。

 舞ひ舞ひつ空の白鳥透きとほる        加藤知世子
 白鳥にこゞしき雪の越の山          石塚友二
 白鳥の己れの白さ暮れなづむ         阿波野青畝



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13年  麗

2008年01月17日 | Weblog
阪神淡路大震災から13年。あの時私はアメリカで暮らしており
ことの大きさが信じられませんでした。
あの時のゆれを経験した人とそうでない人ではその後の
人生観が大きく変わっているのではないでしょうか?
そういう意味で私はひ弱です。
兄一家は神戸ではありませんが11階のマンションに住んでいたこともあり
すべての家具が倒れ真っ暗闇の中でただピアノが何度もジャンプした
と話してくれました。
幼稚園だった子供たちも今は高校生になりますが未だ少しの地震でも
真っ青になって震えるそうです。
13年経っても心の復興は容易ではないのですね。

    13年口にするのは簡単で  麗
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新年句会近づく   遅足

2008年01月16日 | Weblog
2008年の初句会が近づいてきました。
題詠は「新年の関する季語」です。

 初春 松の内 鏡餅 初夢 福寿草

などなど、新年は季語の宝庫です。

人日(じんじつ)なんて季語があるんですね。
元は、古い中国の占い。
七日には刑を執行しないことから来ているそうです。

 人日の障子にひとつ指の穴  比田誠子

いたずらも許すかというココロなんでしょうかね。

     

 ビュッフェの荒き直線冬ざるる  江本絵悶

中日俳壇に載った江本さんの句です。
ビュッフェの荒き直線、と一気に、その鋭角的なフォルムと
強靭な描写をとらえており、冬ざるる、が、画家ビュッフェの
苦悩と不安の象徴として効いている。

選者の栗田やすしさんのコメントです。簡潔で的を射た評です。
さすが画家の江本さんならではの一句だと思います。




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笑ってる場合ではない   鳥野

2008年01月15日 | Weblog
遊びの組分けで「おんな組とおとこ組に分かれよう」と言われて、祖母に駆け寄り「おバーちゃんは女なの」と尋ねたという三歳の男児。
何気ないその言葉に、大笑い。笑うことなど滅多にない最近の傑作でした。

ほんと、この頃は腹の立つことばかり。

多田富雄氏は免疫学者の権威で、詩人でもあり、能作者でもあり、エッセーで受賞もされているという才人。
温厚なお人柄としても知られています。

その多田氏が、近著「わたしのリハビリ闘争ー最弱者の生存権は守られたか」のなかで、
<君は忿怒仏のように 今こそ 怒らなければならない>と呼びかけています。

不動明王のあの御姿を思い描きながら、さあ、みんな怒らなければ。

  ・ 啓蟄や指反り返る憤怒仏  加藤楸邨

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成人の日           愚足

2008年01月14日 | Weblog
 成人の日に九条の会の活動で式典のある市公会堂の前で、護憲を訴えながら入会を勧めるチラシとテッシュを配りました。
 昭和区の成人が呼ばれていたのですが、女の子は殆どが振袖姿、男の子の二割ほどは羽織袴でした。
 憲法や平和に関心を持って欲しいという我々の願いには、殆どが無関心か無関心を装っていて、チラシの受け取りも避ける成人も目立ちました。
 どうも我々はKYオジサンかジジイといった受け取られ方でした。
 しかし 受け取りをすり抜けた若者も、「おめでとう・・幸せになってよ!!」
という声懸けるとどんな若者も表情をゆるめ嬉しそうに行き過ぎていくのが印象的でした。

  護憲ビラ新成人のすり抜けし
 「おめでとう」にビラ見直せし新成人

古きよき時代の成人の日俳句
  成人の眼の澄みや機械工       野村喜舟
  成人の日の大鯛は虹のの如し     水原秋桜子
  祝ふかに成人の日の鶴舞えり     清水其吉
  成人の躬(み)を縛す紐いくつ    岸風三楼
  
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海鼠              愚足

2008年01月13日 | Weblog
 冬は海鼠の美味しい季節。子供の頃から好きで「こいつ 酒飲みになるぞ」と言われていた。予想どうり酒飲みになり度が過ぎて禁酒の身になっても海鼠は好きだ。歯がダメになってきたがまだ食べられる。食べられなくなったらおしまいだ。

日本人とナマコのなじみは深く、江戸時代には天下の三珍の一つとして越前の雲丹(うに)、長崎の唐墨(からすみ)とともに三河の海鼠腸(このわた:ナマコの腸の塩辛)が挙げられている。
 その名前の由来については諸説あるようだが、有力なものとしては古くは「海鼠」と書いて「コ」と呼んだが、後にミミズ形の動物一般を広く「コ」と呼ぶようになったので、混同を避けるため、家の中で飼うものを「カイコ(飼い子、蚕)」、生で食べるものを「ナマコ(海鼠)」のように区別して呼ぶようになったとする説がある。ナマコ料理の海鼠子(このこ:生殖巣の素干し)、煎海鼠(いりこ:ナマコの煮干し)もこれに由来するようだ。

 ナマコにはこの他に奇妙な習性があり、外敵に襲われるなどの強いショックを受けると、肛門から内臓を吐出して敵の攻撃をかわす「内臓吐出」と呼ばれる行動をとることが知られている。失われた内臓は約1ヶ月ほどで再生するようだが、そのメカニズムに関してはまだよく分かっていない。

  ナマコは捨てる部分のない生き物で、その加工方法も様々。先に挙げた「内臓吐出」の習性を利用して取り出した腸を塩漬けにした「海鼠腸(このわた)」や、生殖巣を素干しにしたもので高価(朝鮮人参並み)な「海鼠子(このこ)」、内臓を抜いたナマコを煮て干した「煎海鼠(いりこ)」など、主に珍味とされるものが多い。

 俳人には海鼠を愛でる人が多く俳句も多い。

   このわたに唯ながかりし父の酒      松本たかし

   生きながらひとつに凍る海鼠かな     松尾芭蕉

   尾頭の心もとなき海鼠かな        向井去来

   心萎えしとき箸逃ぐる海鼠かな      石田波郷

   思ふこと云ぬさまなるなまこ哉      与謝蕪村


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百円の白菜を漬け国憂う   朱露

2008年01月12日 | Weblog

  徒歩二分の極小スーパーで白菜を買う。
  唐辛子の皮の輪切りを入れた白菜漬け。
  矢でも鉄砲でも持って来いと酒を飲む。
  矢でも鉄砲でも持ってくぞと酔っ払う。

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黄烏瓜            草女

2008年01月11日 | Weblog
 一月三日、一宮市の郊外を走っていてキカラスウリを見つけた。高さ10mはある柿の大木に蔓を這わせて沢山の実をつけていた。柿も黄烏瓜も葉を落としているので黄色のボールのような実が沢山ぶら下がっている様子はまるで昼間の電飾を想わせた。
 このキカラスウリは、実も大きく直径10cmほどの大きさのものが100個以上付いているのは実に壮観であった。茎も枯れてはいたが親指ほどの太さがある。生育の良いのは、その場所が駐車場と道路に隣接した空地で太陽を独り占め出来るからである。
 しかし太陽を好む黄烏瓜にとって、こんなぴったりの空地がいつまで残されたままでいるのか?今度来たら柿の木ごと無くなっているのでは?と危惧しないではおられなかった。

 さて黄烏瓜を図鑑やネットで調べて見ると以外に記事は少ない。
 その中で一番詳しかったのは25年も前に出された主婦の友社の「山野草カラー百科」である。
 ウリ科カラスウリ属のつる性多年草。沖縄、北海道を除いて広く分布するが密度は薄い。但し日本特産。
 意外と知られていないがキカラスウリの根は、中のデンプンが天瓜粉(天花粉)になる。幼い頃、痩せて色黒な私が天花粉を付けられているのを見て、口の悪い姉たちが「ホシガキコ」と揶揄し傷ついたのを今も覚えている。
 自分の子育ての頃は鉱物が原料のベビーパウダーを使ったが、孫たちはそれさえも使っておらず別の何かだった。薬局で調べて見るとさまざまなパウダーが置いてあるが何か化学合成されたものの様である。今や「純粋の天花粉」は高級化粧品にのみ混ぜられて使われているらしい。

 さて、一宮で出会った黄烏瓜の実を数個いただいてきたので、庭に蒔くつもりであるが、日当たりの良くない我が家であのように育ってくれるか心配である。

★ 黄烏瓜の句が見当たらないので「烏瓜」の句を

  蔓切れてはね上がりたる烏瓜        高濱虚子
  梵妻を恋う乞食あり烏瓜          飯田蛇笏
  烏瓜すがるすべなく曳かれおり       山口青邨
  落ちんとし墜ちねば霧の烏瓜        篠田悌二郎
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お屠蘇   麗

2008年01月10日 | Weblog
以前、年末にスーパーでアルバイトらしき若者に
「お屠蘇はありますか?」と屠蘇散のありかを聞いたら
「???なんですか?それ?」と初めて聞く日本語らしく
全く話が通じませんでした。

昨日、大学生に「お屠蘇を知っていますか?」と尋ねたら
8割の学生が知りませんでした。
「今年お屠蘇を飲んだ人?」と聞いてみたら100名中
わずか1人の男子学生が手を挙げてました。

核家族の影響か、漢方くさい匂いが敬遠された結果か
日本のお正月からお屠蘇は消えつつあるようです。
1年の邪気を払い長寿を願うお屠蘇。
そういえば年末の新聞に
みりんにおまけとしてついている屠蘇散が賞味期限切れで
急遽回収したという記事がのっていました。
やっぱり売れ残ってしまうのですね。
お屠蘇の復活の日は来るのでしょうか?

      年始めお屠蘇は遠くなりにけり 麗
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ゆずりは(楪)   遅足

2008年01月09日 | Weblog
新しい葉が開いて整ったころに、古い葉があとを譲るように
落ちていくところから、この名がついています。
新年の季語だったのです。知りませんでした。

先日、南山城に平重衡の墓を訪れました。
重衡の墓を訪れて、すぐ隣りにある神社に詣でた時、
楪を使った注連縄を見つけました。
珍しいので写真に。

  ゆづりはや母子相伝の隠し味  高崎武義

ところで、重衡は清盛の孫、重盛の子にあたる人物で、
一の谷の合戦で捕虜となり、鎌倉に送られました。
重衡の器量に感心した頼朝は、厚く遇し、
千手という侍女が世話にあたります。
やがて千手は重衡を慕うようになりますが、
重衡は再び、京に送られ、木津川の川原で首を切られます。
二人の別れが謡曲の「千手」となっています。

楪は、親子草とも書くそうです。
平家は重衡の代で途絶えてしまいました。
替わった源氏もまもなく血統が絶えています。

  楪や孫のたよりの遠くなり  遅


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新年早々の詫び状   鳥野

2008年01月08日 | Weblog
世を騒がせたオレオレ詐欺が、影をひそめたと思ったら、今度はヤルヤル詐欺。
社保庁のいい加減さや、舛添大臣の空約束を”言い得て妙”

となると、ワタシめもヤルやヤル詐欺で、肩身が狭い。

実は一昨年、喜寿の祝いにとおねだりして、きょうだい一同から角川の「俳句大歳時記」を貰いました。
ヤルヤル、とその時は本気でした。

A5判上製函入5分冊の堂々たる存在感、今も本棚に並んでいるけど、ワタシの俳句は全く前進なし。句作も皆無です。

 でも、多彩な季語、そして季語の力、等々、多くの事を学びつつあります。
 ごめんなさい、そして、ありがとう。
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新年難解季語クイズ         愚足

2008年01月07日 | Weblog
 歳時記の新年の部を開くと、もう現在では見られなくなったり使われなくなったりした行事、風物・言葉が多く見受けられて興味深い。そこで そんな新年季語と俳句をつなげてもらうクイズを考えました。

 次の新年季語に合う俳句をさがしてください。

季語 ①ぽつぺん ②御降り ③ひめ始 ④万歳 ⑤福沸 ⑥嫁が君

 (あ) ほの暗き忍び姿や(     )    河東碧梧桐
 (い) 黎明やいの一番の(     )    後藤綾子
 (う)(    )の一所懸命なるあはれ    西村和子
 (え)(    )米のとぼしき山国の     茨木和生
 (お)(    )の雪にならぬも面白き    正岡子規
 (か)(    )にみな福相となりにけり   山本洋子   
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コトバの不思議   遅足

2008年01月06日 | Weblog
句を読んでいると、コトバを信頼している人と、
ちょっと信頼していないなと感ずる人があります。
朱露さんの句には、コトバを信頼していないような匂いがあります。

人間はノッペラボウな現実に、コトバで切り込みを入れて区別して、
理解しようとします。
年越しのカウントダウンなどは、その最たるものではないでしょうか?

 2007年大晦日もいよいよ押し迫りました。
 5秒前、4、3、2、1
 2008年!

   
   

 去年今年貫く棒の如きもの   高浜虚子

虚子が新年を祝う放送に出演した時の句と
どこかに書いてあったような気がします。
虚子は、「どこに、そんな区切りがあるんだ?」
と、笑っているのではないでしょうか?

    

コトバにした時に、こぼれ落ちていったものがある。
それを掬いあげる。コトバを使って。
俳句のなかには、そんな句もあるような気がしますが・・・



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初烏きのう見たよな奴らかな   朱露

2008年01月05日 | Weblog
    生ゴミ袋を突き破って食い散らかす烏ども。
    正月早々ゴミ回収は休みだよ、わかったか。
    わかってないから明け方電線に集まってる。
    いや、わかってるから一斉に飛んでったか。

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