575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

1月句会の句があつまりました。    遅足

2013年01月16日 | Weblog
題詠の水仙、自由題、それぞれに良い句が集まりました。
どの句が選ばれるのでしょうか?楽しみです。

題詠「水仙」
①客人(まれびと)の独り語りや水仙花
②水仙花抱きて崖の高さかな
③水仙の香に救われる多忙な日
④風を受け背筋伸ばして咲く水仙
⑤水仙や祠の奥に日のとどき
⑥水仙と笑み交わすかに道祖神
⑦手に取ればいのち冷たき水仙花
⑧風は聴く水仙香る夜の道
⑨人知れず覚悟決めたる野水仙
⑩水仙のつよき意志持つ人かなし
⑪水仙花小首かしげて呟きぬ
⑫水仙の暗き客間の匂ひかな

自由題  
①昧爽(まいそう)の寒さに慣れし身の動き
②人間は一枚の皮冬林檎
③餅つきの音を競ひて代替わり
④箸紙に名前を書いて集まれり
⑤老夫婦屠蘇の器を省略す
⑥節(せち)囲み延命不可を告げにける
⑦山河荒れ帰郷叶はぬ寒さかな
⑧夜半から降り出したのか冬の雨
⑨言の葉の迷宮の淵寒の入り
⑩広げたる新聞冷たき寒の入
⑪スマホ手に夫フリーズ指凍る
⑫アリア聞く幸田浩子の冬銀河

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

去年今年とは  鳥野

2013年01月15日 | Weblog
花鳥風月を、時には心象を17文字で詠いあげる短詩。
俳句は素晴らしい詩型ですが、初心者にとって手強いのは
有季という掟。
季語なし、季違い、季重なりの指摘は度々のことです。
そのうえ理解が難しい。

新年早々には「去年今年」という季語に、出会いました。

解説によれば、去年を振り返り、今年を眺めること。年の
行き来の速やかなことを言う、とのこと。去年と今年の並
列ではない、と戒めています。

いずれにしても、難題です。

 ・ カンブリア紀ぐいと曳き寄せ去年今年

 ・ 小蜜柑を臍から剥いて去年今年

              鳥野


コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

成人の紋付羽織の飾り紐    遅足

2013年01月14日 | Weblog
今日は成人の日。成人の皆さんおめでとうございます。
名古屋は、あいにくの雨、北国では大雪です。

成人の日は、戦後に生まれた新しい季語です。
1948年に制定。以前は、毎年15日。
15日としたのは、この日が小正月であり、
かつて元服の儀が小正月に行われていたためとか。

もう半世紀も昔に式に出席しました。結びなれないネクタイに悪戦苦闘。
ゆったりと結ぶコツを身につけるには、それなりの時間がかかりました。
女性は昔から振袖、男は何時の頃からか紋付羽織姿も。

成人式、じつは一向に感激がありませんでした。
タバコも酒も経験済みなので・・・
選挙権を除いて、ただ20歳になったというだけですから無理もないかも。
なにか通過儀礼のようなコトがあればとも思います。
もし成人の日が、高校卒業、大学入学という出来事に連動していれば、
もっと実感のある儀式になると思います。

戦後民主主義みたいに、手ごたえの成人式でした。

今年20歳になった皆さんの半世紀後・・・
どんな日本になっているのでしょうね?





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

蓋のない冬空底のないバケツ   渡辺白泉

2013年01月13日 | Weblog
冬空を底のないバケツ、と形容しました。
中村裕・著「疾走する俳句」の中で見つけた句です。

私は、この句から宇宙飛行士を連想しました。
上には蓋のない冬空。下には底がない大地。
宇宙空間では、まさに上下はないといっても良いでしょう。
とても不安定な存在としての自己。

宇宙飛行士が、地上に帰還して、実感することは重力の存在だそうです。
重力があって初めて上下が存在する。
宇宙遊泳などまだ実現していなかった時代に詠まれた句。
重力を失った日本社会を批判しているのかも知れません。

句会の自由題の能登さんの句。

  夜の雪見上ぐる我が身空に落つ

この句も底のない空の不安を詠んでいます。
空って、なんて不思議なモノでしょう。

                     遅足


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

寒声は橋弁慶の名乗りかな    遅足

2013年01月12日 | Weblog
寒声(かんごえ)とは、寒中に発声練習をすること。
お坊さんや歌を生業とする人たちが寒中に練習する声、歳時記に。
冬の季語になっています。

この21日に初謡いがあり、寒声で練習中。
謡うのは「橋弁慶」。有名な五条の橋のエピソードを能にしたてたもの。
橋の上で待ち伏せをするのは牛若丸。通りかかるのが弁慶です。
シテは弁慶。その名乗りから謡いは始まります。

これはさいとう/きただにのじゅうそう
  むさしぼう/べんけいにてそうろう

  これは西塔、北谷の住僧(比叡山西塔の北谷の僧)
  武蔵坊弁慶にて候(武蔵坊弁慶です)

謡曲の発声は一語一語をはっきりと発音すること。
とくに母音を大切にします。
これが難しい。息を一杯吸って・・・
でも、どうしても弁慶らしくならないのです。
基本の腹式呼吸ができていないようです。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鏡餅ふたつに開くばかりなり     遅足

2013年01月11日 | Weblog
鏡餅を割って食べる日「鏡開」が今日、11日です。
切る、割るは忌み言葉ということで「開く」というそうです。
そういえば結婚の披露宴もお開きと言いますね。

   老妻の今年も割りぬ鏡餅    小沢碧童

鏡割りは女性の仕事だったんでしょうか?
我が家では男の仕事です。
と言っても、プラスチックの容器に入ったカワイイ鏡餅。
ふたつに割れば、ちょうど二人分。
レトルトのお汁粉に入れていただきます。
随分便利になりました。
そういえばお餅を水につけて保存しました。
この「水餅」という言葉も、もう死語でしょうね。

鏡餅は永遠かな?




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

まず止まる一枝ありけり寒雀    遅足

2013年01月10日 | Weblog
寒い毎日ですね。寒中お見舞い申しあげます。

雀は季語ではありませんが、冬の雀は季語となっています。
寒雀とも言います。
寒とは二十四節季のひとつで、小寒からおよそ一ヶ月。
立春の前日まで。

寒中は、野生の生きものにとって、もっとも生き難い季節。
雀も同じ。食べ物がすくなくなるので、庭によくやってきます。
7、8羽の群になっています。
ガラス越しに、すぐ見えるところまで平気で近づいてきます。
せっせと何か啄ばんでいます。小さな草の実でしょうか。

今日は珍しく一羽だけが来ています。
この雀は用心深く、まず乙女椿の枝に止まって・・・
安全と見たら、地面に降りてきます。
用心深くて、家の中で影が動くと、さっと飛び上がります。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

句会近づく    遅足

2013年01月09日 | Weblog
今回の題詠は「水仙」です。

我が家の庭でも水仙が葉を一杯伸ばしてきました。
まだ花は咲いていません。

  水仙の葉先までわが意志通す   朝倉和江

一方、床の間に活けた一輪の水仙は小さな花を。

  水仙の三日月ほどの香を開く   遅足

伊豆の爪木崎や、越前岬などが自生地として有名です。
両方とも海のすぐ近く。
なぜ、こんなところに棲みつくのか?
水仙の生き残り戦略があるのでしょうね。

厳しい冬に負けない強さを感じさせる花です。
なお、黄水仙は春の季語です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

年の始めに   鳥野

2013年01月08日 | Weblog
年頭に、まるで慣わしのように浮かぶ一首があります。

 ・ 新しき年の始めの初春の 今日ふる雪の 
   いや頻け吉事(よごと)

万葉集4536首の掉尾を飾る有名な歌です。

何と大らかで、率直で、真摯で。新年にこそ
相応しいと思います。

作者は大伴家持。万葉集の編者ともいわれ、
432首が選ばれています。

家持は今でいう高級官僚、参議、中納言まで、
進みましたが、政争に巻き込まれた不運の人。
官を奪われ、没後には遺骸までもが、追罰される
というありさまでした。

集の最終近くに

 ・初春の初子(ね)の今日の玉箒 手に取るからに
  揺らぐ玉の緒

という一首があり、目出たさを言いながら、忌み事の
すべてを掃いて捨てたい、家持のやるせなさを詠みと
る思いがします。

行く先の見えない今の日本。掃いて捨てたい事々が
山積で、呪力を持つ玉箒があったなら・・・。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

先生の名前忘れた冬りんご   間口洸樹

2013年01月07日 | Weblog
作者は小学校4年生。
夏井いつき・著 「100年俳句計画」の中の一句。

この計画、100年先の俳句を担う人材を育てようと
夏井いつきさんが始めた子供たちへの俳句教室。
学校を訪ねて行う俳句ライブ。
初めて俳句をつくる子供も。
夏井さんは、季語を出して、こんな風に呼びかけます。

俳句はわずか17文字。
5文字に季語を使ったら、あと僅か12文字。
そこで見たままのもの、自分の気持ちなどを、当て嵌めてみたら、と。

考える時間は5分間。
子供や先生がつくった句のなかから、夏井さんが10句を選びます。
まず、良いと思った子供たちが、句についての感想を述べます。
そして最後に作者が名乗る、というもの。

  がくの花いとこは二人左きき   尾崎萌(小3)

  若葉風らせんの迷路に人が立つ  徳岡みずき(小6)

  えんぴつと紙の音だけびわの花  尾崎碩昭(小6)

わずか5分でつくる俳句。
こんな軽い気分で俳句が楽しめたら良いですね。

             

今日は七草だそうです。
七草粥を食べると長寿という言い伝えがあります。
昔に食べた記憶が辛うじてある位。
すずな、しずしろ、はこべ・・・

  七草やあとの一つが出てこない   遅足







コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

三日はや双手を垂れて疲れけり    石田あき子

2013年01月06日 | Weblog
昔のお正月は女性にとって大変でした。
三日にもなると、疲れきってしまったという句。
作者は、石田波郷の奥さん。
病気の夫を支え、二人の子供を育てあげ、句も作った人。
どんな時に俳句をつくるのですか?と聞かれたあき子さん。

「俳句をつくる時間なんてありません。
机に向かったり、手帳を持って自然を見たこともありません。
洗濯をしたり、掃除をしたり、風呂を焚いたり、
主人の買ってきた植木の世話をしながら、
ひとりでに心に浮かんでくる思いを、
句にするともなく作っているだけです。」

 声出して己れはげまし水を打つ

 植木屋に嵩む払ひやきりぎりす

 夜のいとど夫婦が交はす言短か

あき子さんにとって俳句は生活の独り言だったのですね。

      「一句百景」(小島正二郎)より。

我が家のお正月は、帰ってきた息子との3人。
その息子も今日、東京へ。
また、二人の生活が始まります。    遅足

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

切り離れこたつの宇宙周回中    郁子

2013年01月05日 | Weblog
この句、こたつの宇宙、という言葉と、
北朝鮮のミサイル発射という事実からの生まれたそうです。
子供がこたつから出て、周囲を走り回っている様子が見えてきます。
上五の、切り離れ、がちょっと読みを難しくしているようにも。

   ミサイルがこたつ宇宙を周回中

としたら、イメージがはっきりしませんでしょうか?
ミサイルとしても、読み手は、こたつの周りを廻っている
子供を想像するのではないでしょうか?

僅か17文字しかない俳句です。
それだけに、言葉をゆったり使うこと。
読者の想像力を信頼することも大切ではないでしょうか。

                       遅足


コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日記買ふ三日坊主が蹤いてくる   大槻和木

2013年01月04日 | Weblog
寒い朝。目の前の家の屋根は霜で真っ白。
新春寒波だそうです。

大槻和木さんの句集『消印』のなかの一句です。
思わず笑ってしまい、小学生の頃を思い出してました。

先生から、日記を書きましょう、と言われて買った日記帳。
朝起きて、顔を洗って・・・というのはダメですよ。
その日一日に感じたことなどを書きましょうと。

よし!書くぞ、と勇んではみたものの一週間も経つと・・・
書くことがなくなってしまいます。
私の後にも三日坊主がちゃんとついて来ていました。

今思えば、当時、綴り方教室という教育がありました。
作文で子供の個性を伸ばすという教育が行われていたんですね。

そのほか、こんな句もありました。

  南瓜切る南瓜もちから入れてくる

なんでカボチャの皮は鎧のように分厚いんでしょう。
きっとカボチャもチカラを入れているんだ。

日記買う、は、年末の頃の季語。
初日記が新年の季語です。

今年から、一日、一句ならぬ一首と決めてみましたが・・・
やはり三日坊主はついてきていますか?

                   遅足
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

父の手に似て孫よりの年賀状    遅足

2013年01月03日 | Weblog
たった一人の孫から年賀状が来ました。
遠くにいて、会うこともほとんどありません。
もう高校生になっています。

字を見ると父親に似ています。
生まれてから、ほとんど会ったこともないのに・・・
DNAは字にも関係しているのでしょうか?
母親に似た方がよかったのに、とは奥さんの弁。

私も字はヘタです。小学生の頃、お習字を習ったのですが。
私から息子へ、そして孫へ。この字は、さらに・・・

習字を真剣に習っておくべきでした。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

初夢や喧嘩はじまるところまで    遅足

2013年01月02日 | Weblog
みなさんは、どんな初夢でしたか?
初夢とは、大晦日に見た夢、あるいは元日の夜の夢、と
いろんな説があるそうですが、
私は元日の夜の夢と思ってきました。

夢は、もともと脈絡のないものです。
覚えているのは、桜の花を見ていたところ。
誰かと野球(?)の試合をすることになったこと。
そして、その前にケンカになるような・・・

ここで目が覚めました。
深層心理が浮上してきたものなら、
ケンカをした過去がよみがえったものか・・・

            

昨日の初詣。伊勝神社の境内にまっさらな社が。
伊副神社というそうです。
これまで、どこかにいらっしゃったのでしょうね。

  新しき神に出会える初詣    遅足







コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする