日本男道記

ある日本男子の生き様

徒然草 第百三十八段

2022年02月08日 | 徒然草を読む


【原文】 
「祭過ぎぬれば、後の葵不用なり」とて、或る人の、御簾なるを皆取らせられ侍しが、色もなく覚え侍りしを、よき人のし給ふ事なれば、さるべきにやと思ひしかど、周防内侍が、
かくれどもかひなき物はもろともにみすの葵の枯葉なりけり
と詠めるも、母屋の御簾に葵の懸りたる枯葉を詠めるよし、家の集しふに書けり。古き歌の詞書に、「枯れたる葵にさして遣はしける」とも侍り。枕草子にも、「来しかた恋しき物、枯れたる葵」と書けるこそ、いみじくなつかしう思ひ寄りたれ。鴨長明が四季物語にも、「玉垂に後の葵は留まりけり」とぞ書ける。己れと枯るゝだにこそあるを、名残なく、いかゞ取り捨つべき。
御帳に懸れる薬玉も、九月九日、菊に取り替へらるゝといへば、菖蒲は菊の折までもあるべきにこそ。枇杷皇太后宮かくれ給ひて後のち、古き御帳の内に、菖蒲・薬玉などの枯れたるが侍りけるを見て、「折ならぬ音をなほぞかけつる」と辨の乳母の言へる返事に、「あやめの草はありながら」とも、江侍従が詠みしぞかし。

【現代語訳】  
葵祭りが終わってしまえば、葵の葉はもういらない」と、ある人が、簾に懸けてあるのを全部捨ててしまった。味気ないことだと思ったが、比較的まともな人がやった事なので「そんなものか」と納得しきれないでいた。しかし、周防内侍は、
逢う日まで葵を眺めて暮らしても別れが枯れて時が過ぎ去る
と歌っていた。「簾に懸けた葵が枯れるのを詠んだ」と彼女の歌集に書いてある。古い歌の説明書きに「枯れた葵に結んで渡した」とも書いてあった。それから『枕草子』に、「過ぎ去った郷愁と言えば、枯れてしまった葵」というくだりがある。何となく枯れ葉に心を奪われたのだろう。鴨長明が書いた『四季物語』にも「祭が終わっても上等な簾に葵が懸かったままだ」とある。自然に枯れていくだけでも淋しくなるのに、何事も無かったかのように捨てたとしたら罪深い。
貴人の寝室に懸かっているくす玉がある。九月九日、重陽の節句の日に菊に取り替えるから、五月五日に匂い玉に懸けた菖蒲は、菊の季節までそのままにしておくのだろう。中宮、研子の死後、古ぼけた寝室に菖蒲とくす玉が懸かっていたのを見て、「中宮が生きていた頃は、くす玉に懸けた菖蒲ですが、季節外れの今は涙の玉に懸け換えて、泣きじゃくります」と、弁乳母が詠めば、「菖蒲は今でも匂っているのに、この寝室はもぬけの殻だわ」と、江侍従が返したそうだ。  

◆鎌倉末期の随筆。吉田兼好著。上下2巻,244段からなる。1317年(文保1)から1331年(元弘1)の間に成立したか。その間,幾つかのまとまった段が少しずつ執筆され,それが編集されて現在見るような形態になったと考えられる。それらを通じて一貫した筋はなく,連歌的ともいうべき配列方法がとられている。形式は《枕草子》を模倣しているが,内容は,作者の見聞談,感想,実用知識,有職の心得など多彩であり,仏教の厭世思想を根底にもち,人生論的色彩を濃くしている。

Daily Vocabulary(2022/02/08)

2022年02月08日 | Daily Vocabulary
28186.distraction something that stops you paying attention to what you are doing
I turn off all notifications on my phone when I’m working because it’s a distraction
28187.push the envelope especially American English to try to go beyond the normal limits of something
IEat healthy, exercise and push the envelope in my field of work. 
28188.come back to life(生き返る)
I He died and came back to life again. 
28189.line(セリフ)
Well, that line is expected by the fans.
28190.frustrating making you feel annoyed, upset, or impatient because you cannot do what you want to do
Why does it take so long to get approved? It’s so frustrating