日本男道記

ある日本男子の生き様

疝気の虫

2008年05月02日 | 私の好きな落語
【まくら】
原話は、寛政8年に出版された笑話本・「即答笑合」の一遍である『疝鬼』。
古典落語には遊郭・私娼・密通・姦通などを扱った、俗に「艶笑落語」と呼ばれる一群の落語がある。楽屋では、それらのうち特に内容のどぎついのをバレ噺よんでいる。この噺もライト級のバレ噺。

【あらすじ】
「おかしな虫だな…。何だろう?」
「助けてください!!」
「あれま、口をきいた…」
虫の告白によると、彼は『疝気の虫』といい、人の腹の中で暴れ、筋を引っ張って苦しめるのを職業にしているという。
「実は、私どもは蕎麦が大好物でして…。口にすると、つい、力が出て暴れたくなってしまうのです」
「困った奴だな…」
「でも、実は私らには苦手なものがありましてね」
「苦手な物? 何だ、それは。教えないと…」
「唐辛子です!蕎麦の薬味に入れる…。あれが体にかかると、腐って死んでしまうんです」
「なるほど。だから、蕎麦には唐辛子がつき物なのかな。それで?」
「腐ると困りますから、唐辛子が来たら別荘のほうへ逃げます」
「別荘? 何処だい?」
男性の、下のほうでブラブラしている奴…。それが別荘なのだとか。
「いいかい。お前たちは、人間の体に間借りしている借家人みたいなものじゃないか。それなのに、お…お? 夢か」
そこに丁度、疝気に悩んでいる人から往診の依頼が入り、「これはいいことを聞いた」と先生張り切って出かけていった。
「まず、蕎麦を用意してください。用意が出来たら、旦那様にその匂いをかがせながら、貴女が食べてくださいな」
疝気の虫は蕎麦の匂いがするので、勇気百倍。
すぐ亭主からかみさんの体に乗り移り、腹の中で大暴れするので、今度はかみさんの方が七転八倒。
「イタ…イタタタタ…」
「おかみさん、唐辛子を溶かした水を飲んでください」
「そんな、金魚が目を回したんじゃないんだから…」
「いいから、早く!!」
仰天した虫は急いで逃げ込もうと、その場所に向かって一目散に腹を下る。
「別荘…別荘…。別荘?」
そこで噺家は首をひねり、キョロキョロしながら退場する。

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

【オチ・サゲ】
考え落ち(パッと聞いたところではよく分からないがその後よく考えると笑えてくるもの )

【噺の中の川柳・譬(たとえ)】
『悋気(りんき)は女の慎むところ、疝気は男の苦しむところ』

【語句豆辞典】
【疝気】要するに、昔は男のシモの病全般をひっくるめて疝気と称していた。具体的にいうと…。尿道炎、 胆石、 膀胱炎、 睾丸炎、これらの病を総称したものが疝気であり、落語に登場の病気では、癪・恋わずらいと並んで『ビッグ3』と呼べるかも知れない。

【この噺を得意とした落語家】
・五代目 古今亭志ん生
・四代目 三遊亭圓遊

【落語豆知識】
【高座返し】出演者が交代するときに座布団やめくりの名札をひっくり返して次の演者の出の準備をすること。前座が行う。

 




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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
読めませんでした。 (地理佐渡..)
2008-05-03 06:50:42
おはようございます。

「疝気」

読めませんでした。辞書で調べました。
「せんき」ですね。
文中にある解説通りの意味合いもわかりました。
なんか、お題のことより言葉の読み調べに
熱中してしまいました(笑)。
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Re:読めませんでした。 (日本男道記)
2008-05-03 07:30:32
おはようございます。

失礼しました。そういえば読みにくい字ですね。

私も初心者の頃、落語を聴いていて、

『悋気(りんき)は女の慎むところ、疝気は男の苦しむところ』

が出てくるので、何のことだろうかと思っていました。

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