日本男道記

ある日本男子の生き様

タイガー理髪店心中 小暮夕紀子

2020年02月22日 | 読書日記
 
◆内容紹介◆
穏やかだった妻の目に殺意が兆し、夫はつかの間、妻の死を思う。
のどかな田舎町で変転する老夫婦の過去と行く末。
「これでお互いの老老介護が終わるのだな。楽になる。そうだ、楽になるのだ」
伸びやかでスリリングな視線、独自の土着性とユーモア。
老いた妻の発作的な豹変に戸惑う夫の緊張感を描き、井上荒野氏、角田光代氏、川上未映子氏の選考委員諸氏に絶賛された第4回林芙美子文学賞受賞の表題作。
幼少時に亡くした母親の記憶を繰り返し反芻する老女の感慨を描く「残暑のゆくえ」を収録。

「わたしの血は、最近よもや青くなってはないだろうな」(「タイガー理髪店心中」より)

選考委員・評論家諸氏絶賛! !

井上荒野氏「息子が落ちた『穴』を通じて封印してもしきれない悲しみや恐怖や後悔を浮き上がらせていく」
角田光代氏「寅雄という八十過ぎの老人ののどかな悪意、善意にも見える無関心、肯定という鈍感、それらをとにかく静かな筆致で描いている」
川上未映子氏「舞台設定、人物造形、小道具や、風景描写のひとつひとつ――この小説を構成する複数の要素が的確に配置され、機能し、物語に資している」
(以上、選評より)

磯崎憲一郎氏「単にユーモラスなだけでは済まない、独特の緊張感すら漂う夫婦の関係が巧みに描き出されている」(朝日新聞平成30年3月30日 文芸時評)、
石原千秋氏「一言で、この作品の全編に殺意がみなぎっていたのだと『錯覚』させる。これが文学というものだ」(産経新聞平成30年3月25日 時評文芸)、
倉本さおり氏「閉じた関係性から滲み出すのは鈍感さという名の暴力だ」(文學界平成30年6月号)

◆著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)◆
小暮/夕紀子
1960年岡山県生まれ。岡山大学法文学部卒業。2018年「タイガー理髪店心中」で第四回林芙美子文学賞を受賞しデビュー。家族は夫一人 と猫九匹。

【読んだ理由】
新聞の書評を読んで。岡山県関連作品。

【最も印象に残った一行】 
希望の少なめ同士、半人前ずつの幸せを足すと一人前になるけれど、、うっかり掛け合わせると四分の一人前になる、それも覚悟の上のスタートだった。

【コメント】
少し解りにくいところもあるが、読ませる力がある文章だ。

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