モスクワで何回も食事をしたことがあります。どの料理も塩辛くてよくこんな料理をロシア人は食べているもんだと正直思いました。
ロシア人にとって日本の味はとてつもなくおいしいはずです。
◎動画の中で現地法人の社長が、ロシア人にはその都度いちいち指示がいると言っていますが、今から30年ほど前に阿智胡地亭はモスクワでこんな経験をしました。
⇒ソ連運輸省への行き帰りは、商社の車で移動しますが、この車が猛スピードで街中を飛ばします。大通りを横断する人は命懸けで渡るし、乗ってるこちらも生きた心地がしないほどです。助手席に乗ったベテランの商社駐在員が大声のロシア語でロシア人運転手を叱りつけるとようやく速度を落としますが、次に乗る時は又同じことで、前以上に怒鳴って何とか通常に戻ります。
あまり同じ事が繰り返されるので、その支店次長に運転手を毎回こんなに怒鳴らんといかんのですかと聞きました。答えによると、オフィスの事務員から運転手まで全てソ連邦外務省に申請してその部局に登録している人間が派遣されてくる。必ず雇用するように義務づけられているので断る訳にはいかない。また、その中にエージェントも紛れ込んでいる。社会福祉政策の故か、殆どが戦傷者の退役兵だが、無学文盲に近いのもいて、その場合は運転手にしか使いようが無いが、軍用車を運転する感覚しかない。色々やってみたが、この連中はまあ犬が悪さをした時と同じで、その場で怒らないとわからないと。
どうみても立派な顔立ちの白人を犬呼ばわりして叱り付けるとは、何と言うことやと顔に出たのでしょう。彼からすぐに言われました。ここは日本と違って階層差がきついんですよ、連中も社会的に生まれた時からずうっとそういう扱いをされているからそういうもんだとしか思ってない。この運転手に、このご主人様はいくら飛ばしても怒らないと一回思われたら、命がいくつあってもたまらないと言われてしまいました。
当方は九州若松で、ギブミーチョコレートと進駐軍のジープを追いかけた最後の世代ですから、白人と見ると無意識に一歩引くというインプリンテイングをされていたなーと思いました。彼は、官庁の上級役人の前でも、愛想笑い一つ浮かべず堂々と振る舞っていましたが、こういうところで単身赴任を続け、ビジネスをやってるという日本人がいるんやなと実地に知りました。商社マンの中に、社会主義国ビジネス専門に携わるプロの分野があった時代かも知れません。
出会いとは面白いものでこの次長さんとは、数年後北京で駐在されている時にもお会いしました。何人かの個性豊かな商社マンと一緒させてもらいましたが、今でも忘れられないお一人です。 「海外あちこち記 その二十一 ソ連邦/モスクワ篇②」から部分引用。