2019年8月28日 東京新聞朝刊 新元号「令和」の考案者とされる国文学者の中西進さん(90)=写真(右)=と、昭和史ノンフィクションの第一人者で作家の半藤一利さん(89)=同(左)=が
戦後七十四年のこの夏、「令和の平和」をテーマに対談した。二人は東京大文学部国文学科の同級生。
それぞれの戦争体験に始まり、青春時代、新元号「令和」などを語り合い、平和憲法の大切さを訴えた。 対談は終戦の日の翌十六日に、東京・内幸町の東京新聞で行われた。
半藤さんは昭和二十(一九四五)年三月十日の東京大空襲で、九死に一生を得た。中西さんは勤労動員先の東京・高田馬場の工場で空襲で亡くなった人々の遺体を目撃するなどした。
こうした戦争体験をベースに、二人は憲法九条の平和主義(戦争放棄)の大切さに言及。中西さんは、憲法と聖徳太子の十七条憲法との類似を指摘し、憲法の平和主義は「深い深い身体的英知」だと話した。
半藤さんは憲法が発表された時の喜びを振り返り、「これほど良い憲法はないと今もって思う」と語った。
最後に令和に語り残すメッセージとして、半藤さんは「過去を顧み、深い反省の上に立って、惨禍を繰り返さないことが大事」、中西さんは「争わないという肉体感覚が大事。それをつくるべきだ」と話した。
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2019年8月28日掲載