毎日新聞
諏訪湖(長野県)に出現する御神渡(おみわた)りの認定と神事をつかさどる八剱神社(諏訪市小和田)の宮坂清宮司(70)は13日早朝の湖面観察で、諏訪湖の全面結氷を認定した。御神渡り拝観があった2018年2月以来3季ぶりで、氷に乗った宮坂宮司は「この景色を久しぶりに見ました。うれしいですね。これからの観察が楽しみ。御渡(みわた)り出現をぜひ期待したい」と喜んでいた。
長野地方気象台によると、諏訪市の朝の最低気温は氷点下7・4度で今月最低を記録。湖面観察場所の舟渡川河口(諏訪市豊田)の午前6時半ごろの気温は氷点下9・3度、水温0度。諏訪湖には前日まで見られなかった氷の筋や盛り上がりが何本も東西方向に走っていた。同市豊田有賀の高台から諏訪湖を観察してきた観察総代の笠原清一さん(63)が「全面結氷です」と報告すると参加者に笑顔が広がり、「やっと諏訪の冬が来た!」。
その後、諏訪湖全体が見下ろせる諏訪市の立石公園から全面結氷を確認した宮坂宮司は「北澤美術館前から御渡りになる可能性のあるきれいな筋が延びている。とてもいい。去年は(暖冬で)波とカモを見ていただけだったからね」と笑い、室町時代中期の1443(嘉吉3)年以来578年続く御神渡りの記録「御渡(みわたり)帳」に「13日を全面結氷日と書き記す」と明らかにした。【宮坂一則】
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諏訪湖3季ぶり全面結氷 御神渡り期待膨らむ 長野日報 2021年1月14日 6時00分
全面結氷した諏訪湖を諏訪市立石公園から眺める宮坂大総代
晴天となり放射冷却の影響で冷え込んだ13日、諏訪湖の御神渡り(御渡り)の判定と神事をつかさどる八剱神社(諏訪市小和田)は、宮坂清宮司(70)や総代ら6人が諏訪市豊田の舟渡川河口近くで湖面の状況を観察し、「全面結氷」を認定した。全面結氷は御神渡りが出現した2018年以来3季ぶりとなる。御神渡りへの期待が膨らんだ。
午前6時半の気温は、宮坂宮司の温度計で氷点下9度と5日に観測を始めてから最も低かった。湖岸の氷は厚さを増し、総代らが湖面に出て、氷を割るための「氷斧」で三角形の形に割って厚さを測ると、5センチあった。
この日は、結氷の範囲が河口からでは判定できないほど広範囲に及んでいた。笠原清一観察総代(63)=同市渋崎=が湖面全体を見渡せる有賀峠の中腹まで行き、確認してから認定した。全面結氷の報告を聞いた瞬間、関係者からは驚きと共に歓声が上がった。
湖岸での観察後、諏訪市立石公園に移動して湖面全体の様子を観察。北澤美術館の周辺から湖の中央に向かって、肉眼でもはっきり見えるほどの氷の亀裂が白い筋となっていた。
宮坂宮司は「全面結氷している姿を久しぶりに見た。雄大で、いつ見てもすごいと思う。次の寒気が来れば、亀裂部分が隆起するのではないか」と話していた。宮坂平馬大総代(67)=同市高島=は「きれいに凍った諏訪湖が見れてうれしい。ぜひ御神渡りができて、平和で落ち着いた1年になってほしい」と期待を込めた。
前回、御神渡りが出現したのは18年2月2日。この時には1月15、27日の2回、湖が全面結氷した。
長野地方気象台によると、県中部地方は16日ごろまでは平年より高めの気温が続くが、17日から20日にかけて平年並みの気温になると予想している。