震災の翌年5月の神戸新聞にボランティア団体が解散するという記事が出ました。飼主が避難するときに手離さざるをえなかったり、
会社に行く前に今日、犬を見てくると彼女から聞いていましたが、家に帰るとボサボサの毛の痩せこけた茶色のかなり大きな犬がいました。
話を聞くと、本部を訪ねたらその犬を一時預ってくれているお宅へ連れて行かれたそうです。
相方が犬を見るとその犬がすがるようにじっと見つめ返したそうです。
その瞬間、相方はこの犬連れて帰りますと言っていました。
預っていた家の奥さんの運転で家まできた犬が車から降りて、前からいるタローが近づいてくるのを責任者や奥さんや相方は息を潜めて見守りました。
タローはじっと身じろぎもせずお座りしている犬の全身をぐるっと廻って時間をかけて匂いをかいだあと、吠えもせず静かに座りました。
奥さんはこれ結局食べてくれなかったんですよと言いながら、車に積んできたドッグフードの袋を犬と共に残してそそくさと帰って行きました。
団体の責任者の話によると、この犬は阪神電車の青木駅の改札のところに何日もうずくまって、どこにも行こうとしないので困った駅員さんから電話があって引取ったのだそうです。
当時学校から帰った長女が(いまでも時々笑いながら話しますが)、家に帰ったら見知らぬ薄汚れた大きな犬がいてエッ何!と思ったら、
犬もそのとき家のメンバーから認めてもらおうと必死だったんだねと言います。
飼ってからわかりましたが、なるほどドッグフードを食べません。皆で想像したのですが、家の中でお年寄りの飼主が食べる食事と同じものを貰っていたのではと。
犬だから食器に入れておいたらハラが減ったらかならず食べるよと私は言いましたが、口の中に押し込んでも食べようともせず、
長い間ろくなものを食べていないらしく、骨はスカスカ、毛は硬くてバサバサで身体はタローより大きいのに抱くと半分ほどしか体重がありません。
ちゃんとお座りも出来ないほど骨が弱っていたので、今思えば最初噛む力も弱かったのかも知れません。
茨城県北相馬郡生まれの11歳のタローは随分年下ではあるけど、生まれて初めてガールフレンド(獣医さんの推定ではパティは2歳)が出来て、