阿智胡地亭のShot日乗

日乗は日記。日々の生活と世間の事象記録や写真や書き物などなんでも。
1942年生まれが江戸川区から。

東日本大震災が起こった翌年の [ 2012年06月05日(火)の阿智胡地亭の非日乗ブログ ] 再掲載

2024年07月06日 | 東日本大震災ブログ
 
2012年06月05日(火)
 
 
 
電源喪失対策は必要ない理由を作文するように依頼 
原子力安全委員会
 

原発安全指針 電力会社に作文指示
6月4日 18時25分 NHKニュース

 東京電力福島第一原子力発電所の事故の原因となった長時間の電源喪失について、国の原子力安全委員会の作業部会が、

20年余り前、電源喪失の安全指針の見直しを検討した際、電力会社側の強い反発を受けて、見直しを見送っていたことが分かりました。

安全上重要な指針の見直しに電力会社側の意向が反映されていた実態が、改めて浮き彫りになりました。

原発の電源喪失の安全指針の見直しを巡っては、原子力安全委員会が平成3年に作業部会を作り、非公開で検討しましたが、

停電の発生が少ないことなどを理由に見送っていたことが明らかになり、安全委員会が当時の会議資料などを去年10月までに公表しました。

ところが、国会の事故調査委員会からの要請で、改めて当時の経緯などを安全委員会が調べた結果、

これまで公表していなかった電力会社側と安全委員会のやり取りを示した文書が見つかったということです。

それによりますと、当時、電源喪失への対策を指針に盛り込むことについて、電力会社側が「リスクが特に高いとは思えない」などと強く反発し、

これを受けて作業部会が、平成4年10月に当時の事務局の科学技術庁を通じて、「対策を取らなくてもよい理由を作文してください」と電力会社側に文書で指示していたということです。

その後作業部会は、電力会社側からの回答をほぼそのまま受け入れた報告書を作り、「原発の長時間にわたる電源喪失への対策については考慮する必要はない」として、

指針の見直しを見送っていました。

安全指針の見直しを巡っては、これまでにも耐震指針の見直しの際に、電力会社側や保安院から「古い指針でも安全は確保される」などとする

趣旨を盛り込むよう要請があったことが明らかになっています。

原発の安全に関わる指針の見直しが電力会社側の意向を受けて見送られたことについて、安全委員会の班目春樹委員長は、

「今回明らかになった報告書の原案を電力会社に執筆させていたことは、明らかに不適切で大変申し訳ない」と話しています。

原子力安全委 電源喪失対策 文書「隠す」
2012年6月5日  東京新聞朝刊

電力会社に、長時間の全電源喪失を考えなくていい理由を「作文」するよう求めた原子力安全委の文書

 東京電力福島第一原発事故の主因となった長時間の全交流電源喪失(SBO)をめぐり、原子力安全委員会の作業部会が一九九三年に「

考慮する必要はない」とした国の安全指針を追認していた問題で、安全委が関連する全資料を公開したと説明しながら、一部を伏せていたことが分かった。

安全委は四日、残る文書を公開。班目(まだらめ)春樹委員長は「結果的に隠ぺいしたとみられても仕方ない」と謝罪した。 

 文書には、事務局だった科学技術庁原子力安全調査室が電力会社側に短時間の電源喪失を考えるだけでよい理由を「作文」するよう求めたものも含まれ、

官業が一体化して安全を軽視していた実態が明らかになった。

 作業部会は海外で全電源喪失事故が起きたことを受け、九一年に設置。有識者による専門委員五人のほか、東京電力などの外部協力者も参加して非公開で協議を重ね、

九三年に報告をまとめた。文書は作業部会で配布された資料などで、A4判で計約六百ページある。

 公開文書によると、東電は報告の骨子案に対し、SBOだけを安全指針に取り込むのは「バランスの取れないもの」と主張。

関西電力は「指針への反映は行き過ぎではないか」と難色を示した。

 報告書の原案では、電源喪失対策の現状などの主要部分について電力会社に執筆が割り振られていた。

 事務局の「作文」指示に、東電は「日本の原発は設計に余裕があり、十分な安全性が確保される」などと答えた。作業部会は、ほぼ受け入れ、全交流電源喪失が起きても

「重大な事態に至る可能性は低い」と記した報告書を作成。安全指針は見直されなかった。

 安全委は会議資料を昨年十月までに全部公開したと説明していたが、国会事故調査委員会が五月下旬、非公開の資料があるのではと指摘し提出を要求。公表漏れが分かった。

 電力側と一体で報告書をまとめたことに対し、班目委員長は「原案を電力会社に執筆させていたのは明らかに不適切で、大変申し訳ない」と話した。

 安全委事務局は「非公開文書は報告書とともに昨年六月に見つかっていた。公開の準備を進めていたが、防災指針の見直しなどで忙しくなり、忘れてしまった」と釈明した。

官庁と企業の力関係の上で、日本で唯一電力会社だけは、企業の力と格が官庁より強くて高いことを証明している。

エネルギー庁の長官が変わると、業界企業の社長たちは就任御祝いのあいさつに出向くが、東電さんだけには長官自らが

東電本社によろしくと挨拶にいくことが長年の慣行になっていることでもわかるが。

 
 
がれきで森を再生させる84歳の学者
 
20120603 「がれきで森を再生」84歳学者の闘い 報道ステーションSUNDAYより。被災地のがれき受け入れをめぐって国民の意見が二分されているが、この苗木ががれき問題を解決するカギを握っている。復興の足かせとなっている震災がれきの処分率は5月21日現在で15.5%だが、画期的な打開策が動き出そうとしている。岩手県大槌町で、4月下旬、全国初のある催しが行われた。 大勢の人達が盛り土に苗木を植えているが、その盛り土の中にはがれきのコンクリートを砕いたものとか津波で流された丸太など、震災がれきが使われている。その日行われたのは大槌町「千年の杜」植樹会で、町民やボランティアなど約550人が参加して3300本の苗木が植えられた。 このプランを震災直後から提唱しつづけてきたのが、84才の生態学者、宮脇昭さんだ。宮脇さんは植物生態学の第一人者であり、世界1400カ所で植樹を指導してきた森林再生の世界的権威だ。

20120603 「がれきで森を再生」84歳学者の闘い 投稿者 PMG5
 
 
 
『私の責任』という無責任。言葉をもてあそぶ野田という首相
 

社説:再稼働と原発の安全 「私の責任」という無責任
毎日新聞 2012年06月01日 02時31分

 関西電力大飯原発の再稼働を関西広域連合が事実上容認した。政府の安全基準や、それに基づく判断を「暫定的」と位置づけた上で、

「限定的」な再稼働に理解を示した。これを受け、政府が近く最終判断するとみられる。

 客観的状況が変わらない中での同連合の再稼働容認は釈然としない。しかし、それ以上に納得できないのは野田佳彦首相の言動だ。

 東京電力福島第1原発の過酷事故から1年2カ月。これほどの事故を経験しながら、国の原子力政策についても、原発のリスク軽減についても、

国民の心に響くメッセージを発していない。にもかかわらず「私の責任で判断する」といった具体性に欠ける言葉で再稼働を推し進めようとしている。

 私たちは原発再稼働のためにはいくつかの条件を満たす必要があると考えている。事故の検証を踏まえ、新しい規制組織が再稼働の判断基準を示すこと。

その基準は各原発の弱点を比較できるようなものであること。免震棟のように時間のかかる対策が未整備であることのリスクも評価すること。

原発を動かさないリスクが動かすリスクを上回ることをきちんと示す、といったことだ。

 しかし、いずれも納得のいく状況ではない。

 
 
福島第一4号機が持つ『謎』、米NRCヤツコ委員長の辞意
 

 長い論考でしかも重い内容を含んでいます。日本の大手メディアでこの内容はこれからもまず取り上げられないでしよう。

地球上で生きていくには、もう誰も避けて通れない原子力発電の負の側面をまっすぐ見るしかありません。一読を切望します。

 ■ 『from 911/USAレポート』第576回

    「福島第一4号機の謎と、米NRCヤツコ委員長の辞意」
       冷泉彰彦:作家(米国ニュージャージー州在住)

 大飯原発の再稼働問題に関して、動きが急になってきました。私は、エネルギーの多様化を進める中での、変動のない電源供給の一つである原発の供給力は維持したほうが

社会全体のリスクが低くなるという立場です。ですが、福島第一の事故原因が曖昧なままの再稼働というのは、いかにも拙速な印象を与えます。

 と言っても、主要な原因は震災と津波による全電源喪失だということは分かっているわけです。とりわけ、福島の1号機から3号機に関しては、詳細の経緯はともかく

「非常停止時の全電源喪失」を避けることができれば、再発は防げるという中核の部分に関しては原因に関する専門家と社会の合意はできているわけです。

 ですが、私がどうしても気になるのは4号機です。4号機に関しては、事故当時は定期点検中のため原子炉内の燃料棒は全て除去されて、

使用済み燃料棒と定期点検のため使用中の「熱い」燃料棒が、建屋内の上部(オペレーションフロア)にある「燃料プール」で冷却されていました。

事故当初は、この冷却水循環が止まり、加熱した燃料棒のジルコニウム皮膜から水素が発生して爆発したという理解がされていたのです。

 この燃料棒の加熱を防止するために、何よりも東京消防庁や自衛隊の「決死隊」が編成されて注水の作業が必死に行われたことから考えて、

4号機の水素爆発に関しては「プール内での燃料棒加熱」という説明、また「燃料プール空焚き」という解説もされています。

 ですが、その後に東電は何度も「燃料棒の写真を見ると損傷していない」ということから、「燃料プール空焚き説」を否定しています。

私はこの説明に関しては、一度も信じたことはないのですが、信頼できる人物で、この事件を現在に至るまで綿密に取材しているジャーナリストの方からも

「空焚きはなかった」というコメントをもらっています。どうやら「空焚き」や「燃料棒の冷却停止による加熱」というのは「なかった」というのが政府と東電としては、

強固な公式見解であるようです。

 その代わりの説明としては「3号機の燃料棒加熱で発生した水素が配管を通じて4号機の建屋に回った」というのです。

確かに3号機と4号機はタービン建屋でつながっていますが、3号機と4号機には稼働時期にも2年の差がある中で、配管は独立していると考えられます。

また、仮に行ってはならない水素が遠くの4号機まで回った、そんなことが起きるまでに「配管に損傷があった」のであれば、

事故の位置づけが「全電源喪失事故」ではなく、地震と津波による物理的な破壊という面からの分析を要求することになってしまいます。

 更に冷静に考えれば、水素というのは非常に比重が軽いわけです。ですから、配管にズレや漏れがあれば、その場所から抜けてすぐに上方に行ってしまいます。

配管にはトラブルがあって、3号機からタービン建屋経由で水素が回ったけれども、その経路を通じては水素が抜けるようなことのない「密閉性」が

保たれていたというのはどうにも腑に落ちません。

 もっと言えば、3号機の水素爆発が3月14日で、4号機での水素爆発が15日、その後何度か4号機では発火があったと報告されています。

また、その後は20日前後になって「決死の注水作戦」が4号機に対して行われています。

 更に妙なのは、昨年の後半から今年にかけて、この4号機のプールの「耐震性」の話が何度も蒸し返されています。

報道によれば、プールの底に鋼鉄製の支柱を設置して周りをコンクリートで固める工事を行い、耐震性を20%高めたとか、

注水の際に入った海水によってプールが腐食するのを防ぐため、塩分を取り除く装置も設置したそうです。

更に東電は、最近になって燃料プールの水位を測定したり、建屋の壁の傾きを光を当てて直接調べたり、プールのコンクリートの強度を特殊なハンマーを使って調べたりするなど、

色々なことをしているのです。

 更に、政府も4月23日には復興庁の中塚一宏副大臣が「4号機の建屋の中を視察し、健全性を確認したと強調するなど、不安の払拭(ふっしょく)に全力を挙げていた」

(NHKによる)などという報道もあります。こうした報道においても「政府と東電の公式見解」は貫かれています。

 しかし、これも不自然な話です。まず1号機や3号機など水素爆発を起こした建屋の損傷状態を見れば分かるように、福島第一の各炉は「万が一の水素爆発」を想定して、

建屋上部のオペレーションルームの外壁は薄くしてあるのです。4号機もこの点に関しては同じだと考えられますし、

事故後の外観写真からもハッキリ、オペレーションフロアから上の外壁が吹っ飛んでいるわけです。

 勿論、水素が濃ければ相当な爆発となり建屋全体に負荷がかかるでしょう。ですが、上部の外壁が特に薄く作ってあり、そこが吹っ飛んだ場合に、

固いコンクリートの建屋下部は崩壊しないという設計になっているのです。しかも繰り返しになりますが、水素というのは比重が軽いので建屋の最上部に充満し爆発したと考えられます。

その場合に、爆発によって外壁が吹っ飛んで爆発エネルギーが放出されるより前に、エネルギーが建屋のコンクリート造りの下部を破壊したり、

水があった(という説明ですが)プールの水を爆発の衝撃波が圧迫してプールの底や側壁が破壊されるというのも不自然です。

 この4号機の問題に関しては、3号機から回った水素が混入して爆発したのではなく、4号機の燃料プールの燃料棒が加熱したと考えるのが自然です。

燃料棒から水素が発生して建屋の爆発になったし、燃料棒が加熱することでプールの構造から建屋全体の構造が劣化したと考えれば辻褄が合うからです。

爆発の後に発火が見られたということの説明もつきます。

 では、仮にそうした可能性が強いとして、どうして「水素は3号機から回った」という説を公式見解にしなくてはならないのでしょうか? 

それは当初考えられた「4号機では全電源喪失により、燃料プール内の燃料棒が加熱し、水素が発生して爆発に至った」というシナリオは、

仮にそうだとすると、大変なインパクトを持つからです。

 まず、1号機から3号機に関しては稼働中の原子炉を緊急停止したところ、全電源喪失により冷却ができなくなり、

炉内の燃料が高温となって圧力容器損傷に至ったというのが事故の要約です。従って、現在一部に議論があるような「原子炉を稼働させない」という措置を取れば、

この種の事故は避けられる、その点に間違いはありません。

 ところが、使用済み核燃料の冷却というのは、「脱原発」を即刻やるにしてもやらないにしても、原発を一旦利用した社会は背負っていかねばならない問題です。

仮に原子炉建屋内のプールに貯蔵しておこうが、そこから隔離した敷地内のプールに集めようが、あるいは各々の原子力発電所の近くではなく集約して管理するにしても

(一旦相当冷やさないと運ぶのは不適当ですが)水の循環冷却が必要だという現実から逃げることはできないのです。

 また、1号機から3号機の事故は、ある意味ではこの世代の原子炉が持っていた脆弱性に原因があるとも言えるわけです。

少なくとも、現在新しく販売がされている「第三プラス世代炉」では、受動安全性つまり全電源喪失を想定した緊急時の自動停止機能を持っているわけで、

福島第一と同じような負荷がかかった場合にも同様の事故を起こすとは考えにくいわけです。

 一方で、使用済み燃料プールの構造というのは、ハッキリ言って原発が実用化されて以来、何の進歩もないのです。

水を満たしたプールに燃料棒を入れてポンプで水を循環させて熱を取る、その基本的な構造は全く変わりません。

進歩があったとすれば、炉に近い建屋内に燃料プールを設置するのは危険だから少し離れた場所にしようというぐらいの話です。しかも、この使用済燃料プールというのは、全世界の原発には必ずあるわけです。

 歴史上、大きな原発事故というのはチェルノブイリ、福島、TMI(スリーマイル島)が有名であり、その他にも原子力関係の開発に伴う事故というのは、

米国、ソ連、英国などでかなり深刻な事故の歴史があるのです。ですが、原発の歴史の上で、商用に供されていた原発から出た使用済み燃料の冷却失敗による加熱、

そして水素爆発という事故は、いまだに発生したことがないのです。他に起きたことがない一方で、どこでも起きる可能性のある事故、

仮に燃料プールの冷却失敗というのが現実に起きたとしたら、そうした深刻性を持っているわけです。

 問題はプールでの冷却時に全電源喪失が起きたら大変だというだけではありません。この問題は、そもそも使用済み核燃料をどう処理するかという、

原子力のエネルギー利用の長期的な政策に関わってきます。これまで、フランスもアメリカも日本も、使用済み核燃料に関して悩み続けてきました。

 この中では、フランスと福島以前の日本(その他にもロシア、中国など)に関しては、世論はともかく政府と電力業界の方針は比較的ハッキリ決まっていました。

それは、使用済み核燃料は、再処理工場で化学処理をしてプルトニウムを抽出するという方向性です。抽出したプルトニウムは、

中長期的には炉内の中性子速度を減速させない高速増殖炉(ブリーダー)で高効率の発電に利用するか、

短期的にはウランと混ぜたMOX燃料にして「プルサーマル炉(和製英語ですが)」で使用するのです。いわゆる「核燃料サイクル」です。

 一方でアメリカは、プルトニウムという物質は核兵器に転用できることから、世界全体におけるプルトニウムの総量を減らすことが核テロや「

ならず者国家」の核武装の危険を下げることになるという立場であり、これを率先垂範するという名目で「核燃料サイクル」に否定的でした。

もっとも、最近は化石燃料の枯渇や高騰という危険を意識する中で、MOX燃料の製造を試験的にやろうという動きはあるのですが、基本的には「再処理しない」という立場です。

 さて、この「再処理しない」という政策を前提としますと、膨大な使用済み燃料棒をどうやって保管するかというのは、

エネルギー政策上の大問題になるわけです。勿論、再処理をするにしても高濃度の放射性廃棄物は出ますが、再処理をしないで全量を冷却保管するとなると、やはりその量の問題は違ってきます。

 このように、仮に4号機の水素爆発について、使用済燃料が加熱したというのが原因であるということになれば、それは大変なインパクトがあるのです。

従って、日本政府、東京電力に関しては、仮に核燃料サイクルを止めた場合に使用済燃料の処分という大問題と向かい合わねばならず、その際に「加熱事故」があったという現実があるのとないのとでは、自分たちの施策の自由度は全く違ってくることになります。

 もっと言えば、アメリカの場合は、そもそもこの「使用済み燃料問題」について、ここ10年ぐらいの間、色々な形で政治的な対立があり、

極めて敏感になっているという事情があります。選択肢を狭めないとか、余計なコストをかけたくないという立場に立って考えると、

アメリカの場合は日本以上に「使用済み燃料プールの加熱事故」というのは「起きて欲しくない」と政府や業界が考えていると見て良いでしょう。

 以上のストーリーは、水素爆発と4号機の損傷という問題をめぐる考察に関しては、私なりに真剣に検討した結果ですが、

日本とアメリカの政府や業界の思惑という話に関しては、全くの状況証拠的な推測を積み重ねただけです。ですが、先月5月の21日に、

そうとも言えないと思わせるニュースが飛び込んできました。

 アメリカの原子力政策に関する独立機関、NRC(原子力委員会)のグレッグ・ヤツコ委員長が辞意を表明したというニュースです。

報道によれば、ヤツコ委員長は委員長を含む総勢5名で構成される委員会の中で完全に孤立しており、他の委員との間で修復不可能な認識の相違があったとされています。

他の委員は、昨年この問題に関して、ヤツコ委員長を更迭してほしいという請願をホワイトハウスの大統領補佐官に文書で申し立てているというのですから、穏やかではありません。

 具体的な対立というのは、例えば今年に入ってNRCはアメリカの2箇所の原発の新規建設を認可しているのですが、その際の評決では他の4名は賛成、

ヤツコ委員長のみが少数意見を述べて反対という結果になっているのです。ちなみに、ヤツコ委員長の反対理由は「福島第一の事故原因が十分に究明され、

事故を受けた米国での対策が十分でない以上、新規建設は時期尚早」というものでした。

 実は、ヤツコ委員長は同僚の委員たちとの確執にとどまらず、委員会の事務局の女性に対して恫喝に近い暴言を吐いたとか、色々なトラブルが伝えられています。

その中でも、有名な確執というのは、オバマ政権の閣僚である、スティーブン・チュー・エネルギー長官との対立です。

 これが、他でもない福島第一の4号機の問題なのです。事故発生の直後である3月16日にヤツコ委員長は、アメリカ議会の下院エネルギー・商業委員会で証言しているのですが、

4号機について「燃料プールの水は沸騰し、カラになっていると思う」と述べているのです。これに対して、順序としては「政権側のチュー長官が否定、両者が対立、ヤツコ氏本人が福島第一を視察して空焚き説取り下げ」というプロセスを踏んでいます。

 勿論、この話も政府東電の公式見解とは辻褄が合うわけです。チュー長官も、そして説得された後のヤツコ委員長も「空焚きはなかった」というのが現在の公式見解なのですから。

但し、今回、ヤツコ氏が辞任表明したということになると、そこにはどうしても強い政治性を感じざるを得ないのです。

 ところで、今回の辞任劇(ちなみに後任が指名されるまでヤツコ氏は留任しますが)の際に、最も大きな原因とされたのはヤツコ委員長が

「ユッカ・マウンテン貯蔵施設計画」を潰した際に暗躍しているのであり、その際に「施設の建設に不利になるデータだけを、不法に公表した」という問題である、そう報道されているのです。

 さて、この「ユッカ・マウンテン」の施設ですが、先ほど申し上げたようにアメリカは「再処理」を基本的には否定しているので、

使用済みの燃料棒は最低5年間は「プールで冷却(ウェット貯蔵)」の後は、「金属キャスク」という容器に入れ、

不活性ガスを充填したコンテナに密閉すること(ドライ貯蔵)になっています。

 一方で、911の同時多発テロを受けた「ポスト911」の「空気」を受けて、「核物質の盗難」や「貯蔵場所への攻撃」に対する危機感が増す中で、

この際、半永久的な「地層処分」をやろうということになったのです。その結果として、ブッシュ政権はネバダ州の「ユッカ・マウンテン」という堅い岩盤の中に施設を作る、

しかも「100万年」という長期間の保管を前提に計画を立てたのです。

 ところが、この場所が商業都市のラスベガスに近いことなどから、反対運動が激しくなり最終的には、2010年に中止が決定されています。

この時に、反対論の急先鋒に立っていたのは地元選出のハリー・リード上院院内総務(民主)であり、実はリード議員はこの2010年の中間選挙が改選に当たり、

ティーパーティー系の女性候補に追い詰められて苦しい情勢の中、ユッカの施設への反対論を選挙戦の決め手に使ったという状況もあったのです。ヤツコ氏は、その反対論に極めて近い立場にいたわけです。

 つまり、ヤツコ委員長という人は、相当に一貫して「使用済み核燃料の危険性」について強い懸念を持っていたということが言えます。

そのヤツコ委員長が今回5月に辞任に追い込まれたということ、その一方で、今年に入って福島第一の4号機では「燃料プールを含む建屋の構造の劣化」という懸念が増している、

この2つを結びつけて考えると、どうしても「空焚きはなかった」とか「3号機からタービン建屋経由で大量の水素が4号機に回って爆発」というストーリーには疑いが残るのです。

 既に原発を相当期間稼働して大量の使用済み核燃料を抱えている社会としては、その安全な冷却のためには24時間365日コンスタントに

電力を安定供給できる原発はゼロにはできないというパラドックスを抱えているのもまた事実です。ですが、この機会に使用済み核燃料問題への議論を深め、

具体的には建屋内プール保管の禁止、炉だけでなく燃料プールに関しても電源の三重のフェールセーフ体制の徹底などを実現してほしいと思うのです。

燃料サイクルの問題、中間貯蔵やその先の問題も避けては通れません。

引用元

 
 
アユ解禁なれど「お先真っ暗」柏木支配人 茨城・奥久慈
 
茨城県のアユ解禁 放射能の影 規制、風評に苦慮
2012年6月4日 10時23分 東京新聞

アユ釣りが解禁され、釣りを楽しむ人たち=茨城県大子町の奥久慈大子観光やなで


 茨城県内各地の河川でアユ釣りが解禁され、本格的なアユ釣りのシーズンを迎えている。しかし、各漁協や観光やな関係者は、昨年の東京電力福島第一原発事故から続く川魚への風評被害や今年四月からより厳しくなった放射性セシウムの新基準に神経をとがらせている。 (小沢慧一)

 本県はアユの漁獲量が都道府県で一位。河川でも栃木県と本県を流れる那珂川は全国一位となっている。漁業関係者によると、昨年は原発事故後の風評被害のあおりで売り上げが半減し、県内有数の那珂川漁業協同組合も例年の半分程度に減少したという。

 風評被害に加え、今年は放射性セシウムについて、従来の暫定規制値が一キログラム当たり五〇〇ベクレルだったのに対し、新基準で同一〇〇ベクレルに強化された。

 今年のアユ解禁は多くが一日から。それに先立つ県によるアユのセシウム検査では、新基準値を大きく下回るか検出せずだった。

 アユ放流量は例年の漁獲量に合わせて各漁協などが決めるが、那珂川漁協は今シーズンの漁獲量が減少すると予測し、放流量を例年の半分の五百キロ程度に減少させる方針だ。

 同漁協担当者は「昨年五月に検査した時は(セシウムが)一キログラム当たり一二一ベクレルだったのに対し、今年は一九ベクレルと数値は低い。だが今後、アユの成長過程で数値が変わり、新基準の規制にかかる可能性もあるため」と理由を説明する。

 昨年は売り上げが震災前の六割弱に減った大子町の奥久慈大子観光やな。今シーズンは五月初めから営業しているが、やはり震災前の五割程度にとどまっているという。例年なら入り始める団体客の予約もほとんど入っていない。支配人の樫木廣美さん(72)は「こんなに長く被害が続くなんて。お先真っ暗だ」と肩を落とす。
 
 
特別手配犯を17年間見逃していた警察。実質自首で逮捕
 

江川紹子さん“警察が緊張感欠く”
6月4日 17時44分 NHKニュース

 菊地直子容疑者が逮捕されたことについて、オウム真理教の一連の事件や裁判の取材を続けてきたジャーナリストの江川紹子さんは

「逃走犯全員を逮捕するためには一歩前進したと言えるが、ここまで事態が長引いたのは、いちばん肝心の警察に緊張感が欠けていた問題が大きい」と指摘しました。

江川さんは、菊地容疑者が逮捕されたことについて、「ずっと情報がなかったので、生きて捕まってよかった。

菊地容疑者自身は古参信者ではなく、特別な技能を持っていたわけでもないので、どこまで自分の行動の意味が分かってサリンの生成に関わっていたかは疑問だ。

これまで出てこなかった教団の秘密が明らかになるといったことは期待できないだろう」と話しました。

そのうえで、菊地容疑者が、現在も逃走している高橋克也容疑者と6年前、一緒にいたとされることについて、

「高橋容疑者の逃走先や支援者、逃走方法についてもヒントが得られるのではないか。取り調べでも追及すべき点だと思うし、

高橋容疑者の身柄確保というところまでつながることも期待でき、逃走犯全員の逮捕に向けて一歩前進したと言える」と指摘しています。

一方で、菊地容疑者が家の外に出ることが多く、人と接する機会の多い介護ヘルパーの仕事に就いていたなかで、これまで逮捕されなかったことについて、

「17年もの潜伏という事態を許したのは警察の大きな問題。特別手配犯というのは指名手配犯と違い、警察が何が何でも捕まえたいという存在のはず。

全国にポスターを貼って国民に協力を求めているのに、いちばん肝心の警察に緊張感が足りず、組織を挙げた引き締めや教育も行わなかった。

警察組織の大きな反省点だ」と指摘しました。

☆大手マスコミの今回の逮捕報道は警察のメンツを出来るだけ保つようにしているが、警察という行政機関批判はメディアの職務の一つだ。最近は特にタブー化しているような気がする。

 
毎日新聞世論調査 再稼動「急ぐな」が71%
 
毎日世論調査:大飯再稼働「急ぐな」71%
毎日新聞 2012年06月04日 00時23分

拡大写真 毎日新聞は2、3両日、全国世論調査を実施した。政府が週内にも最終決定する関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働について「急ぐ必要はない」と答えた人は71%に達し、「急ぐべきだ」の23%を大きく上回った。

2030年時点での国内電力に占める原子力発電の割合を巡り、望ましい比率として「15%」を挙げた人が48%で最多。次いで「原発を0%にする」が25%に上り、国民の「脱原発志向」の高まりがうかがえる。

 野田内閣の支持率は5月の前回調査より2ポイント下がり、25%にとどまった。昨年9月の政権発足以来、過去最低を更新。一方、不支持率は2ポイント増えて、52%に達した。

 政府は2030年の総発電量に占める原子力発電の割合について「0%」「15%」「20〜25%」「数値を定めず市場の選択に任せる」の四つの選択肢を示している。

東日本大震災前の10年度が26%だったことを示したうえで、どの選択肢が望ましいかを聞いたところ、「震災前に近い、20〜25%にする」はわずか7%。「数値目標を設けない」は15%だった。
 
 
原子力ムラ解体をするために共に闘う 菅と河野
 

「原子力ムラ解体」へ共闘 菅氏・河野氏ら訴え
2012年6月4日 東京新聞朝刊

今後のエネルギー政策などについて語る菅直人前首相(右)と自民党の河野太郎衆院議員=3日午後、東京都国分寺市で


 脱原発を訴える菅直人前首相と自民党の河野太郎衆院議員が三日、東京都国分寺市内で討論会に出席し、太陽光発電など再生可能エネルギーの推進や、「原子力ムラ」の解体を訴えた。

与野党は国会での法案審議をめぐり激しく対立しているが、両氏の主張はほぼ一致し、笑顔で意見を交わす姿もみられた。

 河野氏は、東京電力について「政府が資金援助しなければ、東電は賠償金と廃炉費用を払いきれない。料金値上げは破綻処理をして、銀行や株主に負担させてからだ」と主張。

これに対し菅氏は「破綻させるべきだとの議論は早い段階であったが、事故処理と被災者への補償責任を取らせるために『待とう』と言った」と述べた。

 菅氏は事故直後、原発メーカーに協力を要請しても「能力を持っているのに、電力会社ににらまれるのが嫌で縮こまっていた」と語り、原子力ムラの解体を訴えた。

河野氏は「電力会社から選挙や資金の支援を受けている国会議員もいて、変な政治的しがらみがある。地元の議員事務所で問いただして」と会場に呼び掛けると、菅氏も拍手を送った。

 討論会は「東京都でのエネルギー地産地消の可能性」をテーマに、日本青年会議所東京ブロック協議会が主催した。

 
 
 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« シジュウカラが巣立った巣箱... | トップ | 07月05日に目に留まったSNS・... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

東日本大震災ブログ」カテゴリの最新記事