阿智胡地亭のShot日乗

日乗は日記。日々の生活と世間の事象記録や写真や書き物などなんでも。
  1942年生まれが東京都江戸川区から。

海上保安官の画像流失問題・・「その行動を咎めるべき」という佐藤優は本質を押さえている

2023年02月15日 | 「過去の非日乗&Shot日乗」リターンズ

2010年11月25日(木)「阿智胡地亭の非日乗」掲載

 
♪尖閣諸島の動画を海上保安官がYouTubeに流失させた行動が咎められないとなると、二・二六事件のような国内クーデターの再現につながる恐れがあると指摘したのは、目下のところ「佐藤優」氏だけだ。

一部引用開始・・

 第1に、この保安官が流した映像が国民の知る権利に真に応えているとはいえないからだ。この映像は、海上保安庁によって編集されたものだ。意図的もしくは無意識のうちに海上保安庁の利益を反映する構成になっていることが、当然、考えられる。例えば、中国漁船の船長を逮捕する過程の映像が欠落している。「ユーチューブ」に投稿された映像のみで、事件を判断することは危険だ。

 第2は、官僚の規律違反を容認することが、最終的に国民の利益に相反すると考えるからだ。海上保安庁が機関砲をもつ国際基準では軍隊に準じると見なされる「力の省庁」だ。官僚には上司の命令に従う義務がある。武器をもつ「力の省庁」の職員には、特に強い秩序感覚が求められる。この点から見て、保安官の行為は、官僚の服務規律の基本中の基本に反した行為で、厳しく弾呵されるべきだ。

 仮に保安官が、尖閣諸島沖中国漁船衝突事件に関する日本政府の処理に不満をもち、思い詰めていたならば、まず上司に「映像を公開すべきだ」という意見具申を行うべきだった。上司が意見具申を却下し、どうしても「義挙」したいならば、海上保安庁に辞表を提出し、一私人の立場として行動すべきだと思う。いかなる状況においても、軍隊に準じる「力の省庁」の現役職員による下剋上を認めてはならない。

 「力の省庁」に属する官僚の下剋上について、われわれは苦い経験をもっている。1932年5月15日、政界と財界の腐敗に義憤を感じた海軍と陸軍の青年将校が決起し、犬養毅首相らを殺害した。「方法はよくないが、動機は正しい」と五・一五事件の犯人たちへの同情論が世論でわき起こり、公判には多くの除名嘆願書が届けられた。本来、死刑もしくは無期禁錮が言い渡されるべき事件であったにもかかわらず、裁判所は世論に流され、被告人に対して温情判決を言い渡し、五・一五事件の首謀者、実行犯は数年で娑婆にでてくることになった。この様子を見た陸軍青年将校がクーデターを起こしても世論に支持されればたいしたことにはならないという見通しで、1936年2月26日に1400名の下士官・兵士を動員しクーデターを起こした。二・二六事件は、昭和天皇の逆鱗に触れ、徹底的に鎮圧された。しかし、二・二六事件後、政治家、財界人、論壇人などは軍事官僚の威力に怯えるようになり、日本は破滅への道を歩んでいくことになった。

 海上保安官のような「力の省庁」の職員による下剋上の動きを入り口で封じ込めておくことが国益に適うと筆者は確信する。
 引用終わり

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