毎日バッハをきいていこう!

一日一バッハ




今週からしばらくは、オリヴィエ・ラトリーによる「Bach to the future」(La Dolce Volta LDV69)を収録順にきいていきます。ラトリーは1962年生まれのオルガン奏者。ノートルダム大聖堂(パリ)の正オルガン奏者で、このCDはその大オルガンを弾いての録音です。オルガンはカヴァイエ=コルが1868年に建造したもので、解説にはその写真もいくつか掲載されています。録音年月は2019年1月、つまり火災のわずか3か月まえということです。収録曲はパッサカリアとフーガなど9曲ですが、冒頭の6声のリチェルカーレ(「音楽の捧げもの」)は、なにか別の機会とすることにし、これからきくのは、つぎのト短調のフーガ(小フーガ)です。

LDV69

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今日の日曜日は三位一体節。ふだんならカンタータですごすところですが、これからきく(みる)のはジョン・ネルソンたちによるロ短調ミサ曲(EuroArts 880242730787)です。このミサ曲の収録はパリのノートルダム大聖堂でおこなわれており、今年4月に焼損した大聖堂に思いをよせつつきくことにします。収録がおこなわれたのは2006年の3月。映像には大聖堂正面や、内陣のようすもとらえられており、美しいバラ窓が映しだされたところで、キリエがはじまります。

映像監督はオリヴィエ・シモネ。演奏は、ジョン・ネルソン指揮、パリ室内管弦楽団(首席はデボラ・ネムタヌ)、パリ・ノートルダム聖歌隊(ニコラ・コルティ指揮)で、独唱者はルート・ツィーザク(ソプラノ)、ジョイス・ディドナート(メゾ・ソプラノ)、ダニエル・テイラー(カウンター・テノール)、ポール・アグニュー(テノール)、ディートリヒ・ヘンシェル(バリトン)です。

パリ室内管弦楽団の弦楽セクションは、いわゆるバロック弓をもちいての演奏。サラとデボラ姉妹とのヴァイオリン協奏曲の録音ではバロック弓ではないので、その使用は指揮者ネルソンの意向だったのしょうか。ニケア信条のエト・イン・ウヌム・ドミヌムは、新バッハ全集どおりの歌唱で、これもネルソンの意向だったのか、ただ新全集にしたがっただけなのかは不明(可能性の高いのは後者かと)。こちらは「ミンコフスキによるロ短調ミサ曲」を参照ください。

歌手たちはみな1960年代生まれで同世代。ツィーザクとヘンシェルはドイツ、ディドナートはアメリカ(指揮者のネルソンも)、テイラーはカナダ、アグニューはスコットランドと国際色豊か。この中では、テイラーの歌うアニュス・デイが俗世を離れたような美しい歌唱で、つぎの平和を歌うドナ・ノービス・パーチェムともども感動的です。

880242730787

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先週から聖霊降臨節のカンタータをはさんできいていきた、ステファニー・トロファとジュリアン・ウォルフスによるフルート・ソナタのアルバム。これには、フルート・ソナタだけではなく、チェンバロ独奏曲も1曲収録されており、今日はそれを楽しむことにします。曲はホ短調のパルティ-タ(BWV830)で、フーガをともなう3部分構成のトッカータは、独立して楽しめるほど雄大。ウォルフスが弾くのは、ミヒャエル・ミートケにもとづくブルース・ケネディ製のチェンバロで、録音は2015年です。

CD : PARATY 165142(PARATY)

PARATY 165142

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ともにベルギーの奏者、ステファニー・トロファとジュリアン・ウォルフスの演奏できいているバッハのフルート・ソナタ。今日これからきくのは、ロ短調のオブリガート・チェンバロとフルートのためのソナタ(BWV1030)です。稀代の傑作ソナタですが、二人は構えることなく、自然体の美しい演奏を披露してくれています。使用楽器は、フルートがアラン・ウィーメルス製(ヨハネス・ヒュアキントス・ロッテンブルグ)、チェンバロがはブルース・ケネディ製(ミヒャエル・ミートケ)で、録音は2015年。なお、明日は同CDからウォルフスの独奏で、パルティータ第6番をきく予定です。

CD : PARATY 165142(PARATY)

PARATY 165142

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これからきくのは、ステファニー・トロファとジュリアン・ウォルフスによる、ホ長調のフルートと通奏低音のためのソナ(BWV1035)です。トロファ(ベルギー/1980年生)はまず、フルート(フラウト・トラヴェルソ)をパトリック・ビュークルス、リコーダーをトマ・ヴェセルに学び、ブリュッセル王立音楽院で、マルク・アンタイバルトルド・クイケンフランク・トインスらに学んだということですから、おそらく習得のはじめからフラウト・トラヴェルソを手にしていたのではないでしょうか。トロファの演奏をきいた(みた)のは、クリストフ・ルセの「諸国の人々」の映像。上村かおりも参加していたその演奏で、じつにのびやかなフルートを披露していたのがトロファでした。2015年に録音したこのバッハのソナタ集でも、やはりのびやかで、生き生きとした演奏をきかせてくれます。ウォルフス(ベルギー/1983年生)はまず、母のアン・マリー・ダシーにチェンバロを学んでおり、アムステルダム音楽院でメノ・ファン・デルフト、さらにリヨン国立高等音楽・舞踊学校でも学んでいます。

CD : PARATY 165142(PARATY)

PARATY 165142

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先週の土曜日からききはじめた、ステファニー・トロファ(フルート)とジュリアン・ウォルフス(チェンバロ)によるフルート・ソナタ集。聖霊降臨節のカンタータのため、きくのは3日あいてしまいましたが、また今日から楽しんでいきます。これからきくのは、イ長調のオブリガート・チェンバロとフルートのためのソナタ(BWV1032)。使用楽器は、ヨハネス・ヒュアキントス・ロッテンブルグにもとづくアラン・ウィーメルス製のフルートと、ミヒャエル・ミートケにもとづくブルース・ケネディ製のチェンバロです。

CD : PARATY 165142(PARATY)

PARATY 165142

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聖霊降臨節第3日にきくのは、クリストフ・コワンと、アクサンテュス室内合唱団、アンサンブル・バロック・ド・リモージュによる「彼は己の羊の名を呼びて」です。このBWV175は1725年5月22日に初演。レチタティーヴォとアリア(クリスティアーネ・マリアーネ・フォン・ツィーグラーによる)が3曲ずつにコラール(ヨーハン・リスト)という、全7曲からなるカンタータです。コワンの弾くヴィオロンチェッロ・ピッコロは第4曲のテノールのアリアに登場。また、2本のトランペットは第6曲のアリアのみ登場します。録音は1994年です。

CD : E 8544(Astrée)

E 8544

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聖霊降臨節第2日にきくのは、鈴木雅明とバッハ・コレギウム・ジャパンによる「高く挙げられし血肉」です。このBWV173は、1724年5月29日(あるいはく1727年6月2日)の初演。といってもケーテン侯のための「いとも尊きレーオポルト殿下よ」を改作したもので、こちらのBWV173aは1722年初演とみられています。音楽はレチタティーヴォにはじまり、アリア、アリア、二重唱、レチタティーヴォ、そして合唱におわる全6曲。フルート(フラウト・トラヴェルソ)こそ編成されていますが、比較的こぢんまりとしたカンタータです。鈴木たちの録音は2001年。独唱者(合唱も歌います)は、野々下由香里、波多野睦美、ゲルト・テュルク、ペーター・コーイです。

CD : BIS-CD-1271(BIS Records)

BIS-CD-1271

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聖霊降臨節第1日にきくのは、鈴木雅明とバッハ・コレギウム・ジャパンによる「人もしわれを愛せば、わが言を守らん」です。このBWV74は1725年に初演された、全8曲からなるカンタータ。台本は先週のきいた「人々汝らを除名すべし」と同じく、女流詩人クリスティアーネ・マリアーネ・フォン・ツィーグラーによるものです。音楽はこの日を祝うにふさわしい華やいだ気分があり、トランペットをともなう管弦楽が編成されています。独唱者(合唱も歌う)は野々下由香里、ロビン・ブレイ、櫻田亮、ペーター・コーイ。録音は2006年です。

CD : BIS-SACD-1517(BIS Records)

BIS-SACD-1517

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今日からきいていくのは、ステファニー・トロファ(フルート)とジュリアン・ウォルフス(チェンバロ)によるソナタ集。トロファとウォルフスはともにベルギーの奏者で、2015年の録音のアルバムには、フルートとチェンバロのためのソナタ、BWV1034、BWV1032、BWV1035、BWV1030が収録されています。きいていくのは収録順。したがって、これから楽しむのはフルートと通奏低音(ここではチェンバロのみ)のためのホ短調のソナタです。使用楽器は、フルートがヨハネス・ヒュアキントス・ロッテンブルグにもとづくアラン・ウィーメルス製、チェンバロはミヒャエル・ミートケにもとづくブルース・ケネディ製です。

CD : PARATY 165142(PARATY)

PARATY 165142

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先週からきいてきた、エドゥアルド・エグエスによるリュート作品集。アルバムは2巻の分売で、第1巻は1999年、第2巻は2000年の録音です。これから楽しむのは、ハ短調のプレリュード(BWV999)。これをはじめてきいたとき、そのテンポの速さ(1分20秒ほど)にちょっと驚かされました。不安感とか焦燥感を覚えさせるような雰囲気がありますね。ほかの演出臭のない自然体な演奏をきいてきたあとだけに、最後の最後でこれはおもしろいとしかいえません。なお、使用楽器は、アメリカの製作家ロバート・ランドバーグの13コースのリュート(1992年製)です。

CD : M054A(Ma recordings)

M054A

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ベルンハルト・モールバッハ著の『バロックの音楽世界』(法政大学出版局)は、「当時を代表する理論家マッテゾンをはじめデカルト、キルヒャー、ライプニッツらの音楽論を参照し、多数の譜例と図版によりバロック音楽の楽理的特徴と歴史的・社会的背景を解き明かす」大著です(著者の『中世の音楽世界』と『ルネサンスの音楽世界』をふくめ三部作が完結しました)。

もともと600頁ほどの大著なうえに、CD-ROMも付属しており、楽譜や資料が多数収録されていて、PCさえあれば、ながめているだけもおもしろいですね。ただし、中世、ルネサンスには音楽もふくまれておたのですが、バロックについては音楽がなくなっています。これは「この時代の音楽は付録のCDにふさわしくないのと、そもそも、それは一般のCDで入手可能なものが多いから」だとのことです。

訳はほかの『音楽世界』と同じく井本晌二。たいへんな労作に感謝したいところですが、手持ちの初版第1刷には誤りと思われるたいへんな訳語があります。訳語というより、カナ表記なので訳ともいえないのかもしれませんが、それは44頁に3度でてくる「アルカイダ」です。おそらく(というよりまちがいなく)、これは「アルカディア」でしょう。どうしてこうなったかは推測するしかありませんが、なぜかはともかく、ちょっと考えられないまちがいです。

バロックの音楽世界

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これからきくのは、エドゥアルド・エグエスによる無伴奏チェロ組曲第1番(BWV1007)。ヴァイオリンやチェロの無伴奏曲は、さまざまな楽器用に編曲されていますが、ここではリュートです。この録音でのリュート編曲にあたっては、原調ト長調は変ホ長調に移調されています。使用楽器はロバート・ランドバーグの13コースのリュート(1992年製)で、録音は2000年です。

CD : M054A(Ma recordings)

M054A

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これから楽しむのは、エドゥアルド・エグエスによる無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番(BWV1001)。もちろん、エグエスはリュート奏者ですから、ここできくのはリュート用に編曲されたソナタです。このソナタ第1番のフーガには、ヨーハン・クリスティアン・ヴァイラウフによるタブラチュア譜(BWV1000)も伝承されており、この録音でもフーガの部分はタブラチュア譜にもとづいています。使用楽器は、ロバート・ランドバーグの13コースのリュート(1992年製)です。

CD : M054A(Ma recordings)

M054A

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先週からきいている、エドゥアルド・エグエスによるバッハのリュート作品。昨日までは1999年録音の第1巻からきいていましたが、今日からは200年録音の第2巻に入ります。第2巻には、これからきくBWV1006a、ほかにBWV1001、BWV1007、BWV999と、編曲をふくめたリュート曲が収録されています。BWV1006aは番号からも推測できるように、無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番(BWV1006)を原曲とする編曲。バッハの自筆譜で伝承されていますが、楽器についてはリュートをふくめて異論があります。なお、使用楽器は、ロバート・ランドバーグのバロック・リュート(1992年製)です。

CD : M054A(Ma recordings)

M054A

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