今日の日曜日は三位一体節。ふだんならカンタータですごすところですが、これからきく(みる)のはジョン・ネルソンたちによるロ短調ミサ曲(EuroArts 880242730787)です。このミサ曲の収録はパリのノートルダム大聖堂でおこなわれており、今年4月に焼損した大聖堂に思いをよせつつきくことにします。収録がおこなわれたのは2006年の3月。映像には大聖堂正面や、内陣のようすもとらえられており、美しいバラ窓が映しだされたところで、キリエがはじまります。
映像監督はオリヴィエ・シモネ。演奏は、ジョン・ネルソン指揮、パリ室内管弦楽団(首席はデボラ・ネムタヌ)、パリ・ノートルダム聖歌隊(ニコラ・コルティ指揮)で、独唱者はルート・ツィーザク(ソプラノ)、ジョイス・ディドナート(メゾ・ソプラノ)、ダニエル・テイラー(カウンター・テノール)、ポール・アグニュー(テノール)、ディートリヒ・ヘンシェル(バリトン)です。
パリ室内管弦楽団の弦楽セクションは、いわゆるバロック弓をもちいての演奏。サラとデボラ姉妹とのヴァイオリン協奏曲の録音ではバロック弓ではないので、その使用は指揮者ネルソンの意向だったのしょうか。ニケア信条のエト・イン・ウヌム・ドミヌムは、新バッハ全集どおりの歌唱で、これもネルソンの意向だったのか、ただ新全集にしたがっただけなのかは不明(可能性の高いのは後者かと)。こちらは「ミンコフスキによるロ短調ミサ曲」を参照ください。
歌手たちはみな1960年代生まれで同世代。ツィーザクとヘンシェルはドイツ、ディドナートはアメリカ(指揮者のネルソンも)、テイラーはカナダ、アグニューはスコットランドと国際色豊か。この中では、テイラーの歌うアニュス・デイが俗世を離れたような美しい歌唱で、つぎの平和を歌うドナ・ノービス・パーチェムともども感動的です。