トレヴァー・ピノックのチェンバロできいてきた「平均律クラヴィーア曲集 第1巻」(2018年8月と2019年1月録音)。とちゅう、聖霊降臨節などをはさみつつ、ようやく第24番のプレリュードとフーガ(BWV869)までたどりつきました。
70歳をこえたピノックがきかせたのは、デビュー時のような颯爽として伸びやかなバッハでした。ピノックが幼年から親しんできた曲集を、慈しみ、楽しんで弾いているようで、とくに快活な曲との相性のよさが感じられました。
個人的にはもうすこし翳りがほしい曲もありますが、さりげないコクがあって、じゅうぶん満足できる曲集の録音です。使用楽器はデイヴィッド・ウェイの1982年製チェンバロ(アンリ・エムシュにもとづく)で、調律は不等分律のA=392Hzです。
CD : 00028948384365(Deutsche Grammophon)