○里山(6-6)>押し出し>●大雷童(6-6)だいらいどう
●旭南海(2-10)<送り倒し<○海鵬(5-7)
大相撲夏場所は早12日目です。
曇りばかりの東京、今日は雨も降りました。
里山が勝ち越すまで、晴れてやらないつもりでしょうか。
「押し相撲、当たりの厳しい、一気の攻め」の大雷童が今日の相手です、里山。
四股名(しこな)の漢字の形のような、あんこ型の大雷童との体重差は40キロ。
待ったありません。
仕切り線から、かなり下がっているぞ、大雷童。
さあ、たった。
「踏み込み、勝った里山!」
里山、今日はもぐりません。
まわしにもかまわず前に出ます。
大雷童の張り手、一発、二発左右の顔面に受けるも、ものともせず、
突いて前へ出て白房、土俵際まで、大雷童を追い詰めた。
しかしすぐに、攻勢に出た、大雷童のはげしい突っ張り。里山、これに真っ向から突っ張りで応戦します。
「見てて、気持ちがいいですよね」解説
土表中央、大雷童のきびしい、のど輪があごを下から押し上げる。のけぞりながらも、懸命に耐える里山。
下がらない里山、再び攻勢に出ます。
土俵際、いなされるが、動じず、すぐに体勢を整えると同時に猛然と頭突き押しに転じる。そのあまりの速さにたじろいだ大雷童。今日の勝負のポイントです。
里山の軽快な足の運びは大雷童に大きなプレッシャーとなっています。攻守共に後手にならざるを得ません。ひとつ一つの早い動きがヒジョーに巧みな里山。学生相撲で培ったものです。
「下から押し上げる」
「里山の攻め!」
最後は、大雷童の胸板にドンと頭から体当たり、ワジワジきた大雷童に一瞬の隙も与えません、里山、怒涛の突き押し、一発、二発。
「流れは里山ぁー、押し出しー!」
「里山の勝ち!」
「真っ向勝負で勝ちました!、里山」
大雷童は正面青房下(画面手前左)。
いつもと違う里山の気迫に満ちた相撲に、アッケにとられたように静まりかえっていた館内。
行司の動きにつれ、肩を揺らす、白髪のおじさん、時々扇子をゆらす手を止めます。
拍手の手を胸の前で止め、祈るように、左右に体を揺らしながら見入る若い女性のお客さん。
勝負が決まると、4時前の国技館、一番大きな拍手と歓声が沸き起こった。
「フジガネさん、いいーいちばんでしたねー」
「えー、すばらしいですね、気迫の一番でしたねぇー」
==============fiction
「オジヤマさん!里山の、この、のど輪をしのぐ体勢、いかがですか」
>そうですね、これは、バルトとのね、毎朝の、三連勝、あ、いや三番稽古ですね、三番稽古。まあ、どうしても勝てないんですがね、それでも毎日毎日やる、ね。これはね、体力的にもそうですが、精神的にもね、ヒジョウにきついもんがあると思いますよね」
「ええ、ですから、それも先ほどわたくしが、放送で・・・」
>あ、そうでしたか。まあ、そういった努力の賜物ですね、今日の一番は、ハイ。体の大きな相手ともね、十分真っ向勝負でね、逆に自分の体の小さいことをね、有利に生かす相撲を取り切る術を身につけていますよね。ハイ。把瑠都との身長差(197-177=20センチ)体重差(172-115=57キロ)とくらべればね、他の力士との差はあまり、気になりませんからね。
まあ、バルトもね、あまり三連勝ばかりしないでね、稽古の時は、たまにはね、三連勝さすくらいの、ハイリョとかね、そういったね、このぉ・・・お、ついに把瑠都も10勝目ですな。いよいよ優勝です」
>旭南海はね、やはり、5日目に痛めた左脚ですね、本来、休場してね、治すべきところでしょうけどね、旭南海は、頑張りたいんでしょうね、これからの一勝は三勝に値すると思いますね。