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『もっと知りたい田中一村』―生涯と作品 大矢 鞆音 (著)

2010年08月08日 | 本と雑誌

100808_book_isson もっと知りたい田中一村―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション) [単行本]
大矢 鞆音 (著)

ひところの田中一村についての本のなかには
首をかしげたくなるような事が書いてあったり、本を売るために急いで書いたような本もあった。

あれから田中一村美術館もでき、ネットの普及で奄美の情報も入手が簡単になって、そのような本は少なくなったといえるだろうか。

美術館で一村の、時代ごとの作品を見てまわったとき、奄美時代の画風が劇的に一変しているのにおどろきと感動を覚えた記憶がある。

しかし、本書を読んで、一村の画才が奄美で突然輝いたのでもなく、一村の絵の本質が変わってしまったのでもなく、奄美での作品は一村の過去の業績の集大成であるということがよくわかったのは、大きな収穫であった。
奄美ぬきに一村は語れないが、あまり「奄美の一村」が強調されすぎてはならないとあらてめて思った。

本書では子ども時代からの一村の画家としての天才が、時系列の並べられた作品と画の技法の説明や略年譜、手紙などの資料によって奄美に来る前の一村の人生のエピソードなどとともに、コンパクトに説明されている。一村研究の伸展と深まりとが感じられた。千葉時代の作の中での奄美での作品につながる画風の発見は新鮮であった。

奄美初期の頃、一村自身が撮影したソテツ雌花の写真(P54中段中)は、
私が子どものころ絵を書いる所へ散歩の途中の一村が通りかかり、絵をほめてもらったという例の?丘から撮影されたものに違いないと思う。その背後の風景は、その時私が描いていた風景に違いないと思われる。

これまで、よく言われたゴーギャンとの比較。

似てなくもないが、一方で、似ていながらこれほど違うものもない、という感想も。

よく言われるアンリ・ルソーとの比較。
ナゼ比べるの?という感想。
一村は、生き様も画も比較ならない天才であると思った。

ポール・ゴーギャン( 1848年 - 1903年)
フランスのポスト印象派の画家 wikipedia

アンリ・ルソー(1844年 - 1910年)フランスの素朴派の画家。wikipedia

youtube 検索でそれぞれの絵を見ることができます。一村は?

もっと知りたい田中一村―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション) もっと知りたい田中一村―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2010-05