[単行本]
湯原 かの子 (著)
出版社:新潮社
発売日: 2001年9月
田中一村記念美術館ができる一ヶ月前の出版ということになる。
それまでに出版されていた奄美に関する紹介、一村の人生や芸術活動に関する事実関係に加え、それらと一村の芸術とがもつ今日的意味について語られる。
一村の作品の写真は使われていないが、ひとつひとつの作品に関する文学的描写は、読み応えがあった。著者自身による各地での取材とあわせて、一村の絵の中にこめられている魂の奇跡が、ドラマチックに再現される。
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絵のなかの魂―評伝・田中一村 価格:¥ 1,995(税込) 発売日:2001-09 |
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田中一村 豊饒の奄美 [単行本]
大矢 鞆音 (著)
単行本: 254ページ
出版社: NHK出版 (2004/4/29)
一村晩年の「クワズイモとソテツ」などに見られる
「隈からの視点」
作家の目は藪や林の茂みの中にあって、前景に大きくひろがったクワズイモやソテツの葉の隙間を通して見る海と空は、中景は省略されいきなり極端な遠景として描かれる。フラットな印象。
P236「この安定感のある構図は一村の描いた構図であると同時に、かならずしも一村の創作ではない、ということを奄美に何度も通って知った。この独特の構図は、奄美の自然、風土、植生そのものが有している特徴であり、奄美に見られる隈の存在も忘れてはなるまい」
という著者の指摘は重要であると思った。
それは、奄美に住む人たちの心の中にもあるのではないか?(説明すると長くなるが)
「奄美に何度も通って知った」著者のこの気づきは、奄美の人々と親しく交流しながらの取材のなかにも現れていてこの本に深い奥行きを与えている。
田中一村 豊饒の奄美
価格:¥ 2,415(税込)
発売日:2004-04-29