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『人斬り半次郎〈全〉』 [単行本] 池波 正太郎 (著)

2010年12月28日 | 本と雑誌

101228_book_hitokiri_2 人斬り半次郎〈全〉 [単行本]
 
池波 正太郎 (著)

単行本: 597ページ
出版社: 立風書房 (1994/12)

幕末編

賊将編

内容(「MARC」データベースより)
「今に見ちょれ。今に見ちょれ」薩摩の唐芋侍から無双の剣によって身を起こし、はては賊将として西郷隆盛に殉じたわが国最初の陸軍少将、中村半次郎こと桐野利秋の生涯。前後篇合わせた一冊。巨匠自らが好きだった作品。再刊。

101228_book_hitokiri_1 黄ばんでビスケットの匂いがする古い本。

二段組の小さな活字で576ページもある分厚い本。

おもしろくて一気に読めた。

半次郎が10歳の頃、父、与右衛門は徳之島に流罪に処せられ、そこで病死している。
父の罪も貧乏に起因するもので、半次郎の妹の命を助けるため、医療費にあてようと公金を一時流用したというのも。だから半次郎や家族の皆は父に感謝こそすれ恨みがましい気持ちをいだいたことはなかった。家禄を召し上げられ、半次郎は貧しさの中、罪人の子として蔑まれ少年期を過ごす。どこの藩でもそうだが、薩摩では特に上下の身分の差別が激しい。「今に見ちょれ。今に見ちょれ」が口癖の中村半次郎だった。

一家の経済を支えるため、18才の半次郎は全精力をふりしぼり百姓仕事に取り組んだ。

剣の腕に並外れてすぐれた美男子で長身の半次郎は、のちに京や江戸でおなごはんにえろうもてはりましたどすえぇ。半次郎の最初の恋人は、珊瑚のかんざしをした琉球風の美人であった。名前が幸江と漢字のせいか具体的な島美人のイメージがつかめなかったのが残念。

と、そのごの半次郎の物語もすこぶる面白いが、当然のごとく西郷隆盛について語られる物語は、幕末から西南戦争までの日本のいや世界の激動期。なかでも征韓論の変についての著者の歴史感を注意深く読んだ。おもしろい。

このブログ2010年12月 5日 (日曜日)
『明治維新 1858-1881』 (講談社現代新書) and 『伊藤博文』―知の政治家 (中公新書)

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2010年11月26日 (金曜日)
『西郷隆盛と“東アジアの共生”』高 大勝 (著

桐野利秋よりも西郷隆盛に対する認識を新たにした。人望を集めた理想人西郷は結局政治家ではなかった、と描かれているが、今日の政治家をみていると西郷のような人にこそ政治家になってもらいたいと思うが、それは芸術家に政治をまかせるようなものであるらしい。著者も「西郷隆盛は、むしろ、〔芸術家〕として大成する素質をそなえていたのではあるまいか。」と述べている。P559

桐野利秋   Wikipedia

風雲児半次郎 - Wikipedia

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↑ 中村半次郎こと桐野利秋をイメージするために