ユタとノロってどう違うのですか?
と観光のお客さんに聞かれて、「どうしてそれを知っているワケ?」
と言って時間をかせぐ。
ちょっとしたことなら、本などで調べるより、インターネット検索がはるかに便利だ。
奄美に限ったことではないと思うのですが、地元の人より、観光客の方がよく知っているということは、ままあることです。
「ユタ神様はウラナイみたいなものだけど、ノロは、どう違うのか・・・説明するとなると」
一般の地元の人の答えはおよそこんなふう。
奄美の人ならみんな知っているというわけではないのです。
奄美の民俗文化などの研究は、県内の他の地域と比べても、むしろ、と言ってはあれですが、進んで事が多く、文献も多い。お客さんに突っ込まれることを恐れたら、勉強が大変です。(突っ込まれることはあまりないのですが)
しかし、ユタとノロは奄美理解には欠かせない。
そこで本で調べて書く。
ノロは、沖縄、奄美の各集落で、神々や祖先などをまつる、神祭りなどを行なう祭祀集団、個人。
ユタと違い、女性だけ。昔、琉球王朝の王の姉妹の聞得大君(きこえのおおきみ)がノロたちを統率していた。ノロは王府から辞令書で任命され、政治的、宗教的権威をもつ公的な存在。呪術行為を行なう。田畑を支給され、ノロ殿地という屋敷に住む。世襲が認められていた。(写真は奄美でわずかに残る名瀬市大熊のトネヤ。近年の都市計画で移転新築)
ノロが行政に関与し、公的祭事を司るのに対し、ユタは、個人の依頼を受け、個人の禍福吉凶を占ったり、死者の意思を遺族たちに伝えたりする、民間の呪術者でシャーマン的機能を持つ霊能者。本人が 突然、何からの霊的存在に憑かれた状態(カンガカリ)となる巫病(ふびょう)を経て、次第に霊的能力をそなえるようになることが多い。男女とも神によって選ばれた、セジ(神威)高い人である。
国語辞書
巫覡 (ふげき) 巫は女のかんなぎ、覡 は男のかんなぎの総称
かんなぎ (巫覡)
〔古くは「かむなき」。神(かむ)和(な)ぎ、の意〕神に仕えることを務めとする人。神をまつり、神楽(かぐら)を奏し、また「神降ろし」をする。祝(はふり)とともに禰宜(ねぎ)より下級の神職。かみなき。こうなぎ。
ユタもノロも過去において厳しい弾圧を受けた。
参考文献 神谷裕司 著『奄美、もっと知りたい』ガイドブックが書かない奄美の懐 南方新社
『南島雑話の世界』名越左源太の見た幕末の奄美 南日本新聞社
他に 山下欣一 著『奄美のシャーマニズム』弘文堂
『奄美説話の研究』 法政大学出版局
改訂『名瀬市誌』第三巻 民俗編 改訂名瀬市誌編纂委員会
2005.01.15
奄美、ルーツ探しの旅、道之島代官記集成
奄美では神様をつけて、「ユタガミサマ」と呼ばれている。沖縄では少し違うらしいところは興味深い。
ユタ頼みは、その「弊害」を指摘されることもあるが、根強い需要がある。
現在でも、「少なからぬ人」あるいは「一部の人たち」がユタガミサマを訪れ、相談を受けたりしている。
「少なからぬ人」あるいは「一部の人たち」がどの位のことかというと、あなたが道行く人にいきなり尋ねても無理かもしれませんが、地元に長く住んでいる親切な人で、その時暇がある人なら、もし本人が知らなくても、2,3人の知り合いに電話して、あなたに、ユタガミサマの電話番号を教えてくれる事が出来るだろうくらいには、親しまれていると思います。
ユタガミサマは名瀬市内にも何人かいます。あらかじめ電話をして行きます。普段は、他に仕事を持つ人もおり、普通の人なので、おどろおどろしいことはない。普通の自宅で、相談の時はそれらしい、白装束。相場の料金を封筒に入れて渡す。紙に、自分や家族の名前を書いて、相談する。帰りに小さいビンの焼酎をもらう。市販のそれに、ラベルが貼ってあり、名前と生年月日を入れてくれる。天孫降嶽阿麻彌神境から始まる、150字くらいの難しい漢字が書いてある。後で解読しよう。
天孫降嶽阿麻彌神境はこれか。
2004.12.21
笠利町 アマンデー(奄美嶽)
「後学のため」と思い、昔一度だけ行ったことがあります。確か、当たっていたような・・・そうでないような、でした。
結論、ノロとユタの違いは、公と私、二文字か。
この記事の文字数は数える気力がない。
と観光のお客さんに聞かれて、「どうしてそれを知っているワケ?」
と言って時間をかせぐ。
ちょっとしたことなら、本などで調べるより、インターネット検索がはるかに便利だ。
奄美に限ったことではないと思うのですが、地元の人より、観光客の方がよく知っているということは、ままあることです。
「ユタ神様はウラナイみたいなものだけど、ノロは、どう違うのか・・・説明するとなると」
一般の地元の人の答えはおよそこんなふう。
奄美の人ならみんな知っているというわけではないのです。
奄美の民俗文化などの研究は、県内の他の地域と比べても、むしろ、と言ってはあれですが、進んで事が多く、文献も多い。お客さんに突っ込まれることを恐れたら、勉強が大変です。(突っ込まれることはあまりないのですが)
しかし、ユタとノロは奄美理解には欠かせない。
そこで本で調べて書く。
ノロは、沖縄、奄美の各集落で、神々や祖先などをまつる、神祭りなどを行なう祭祀集団、個人。
ユタと違い、女性だけ。昔、琉球王朝の王の姉妹の聞得大君(きこえのおおきみ)がノロたちを統率していた。ノロは王府から辞令書で任命され、政治的、宗教的権威をもつ公的な存在。呪術行為を行なう。田畑を支給され、ノロ殿地という屋敷に住む。世襲が認められていた。(写真は奄美でわずかに残る名瀬市大熊のトネヤ。近年の都市計画で移転新築)
ノロが行政に関与し、公的祭事を司るのに対し、ユタは、個人の依頼を受け、個人の禍福吉凶を占ったり、死者の意思を遺族たちに伝えたりする、民間の呪術者でシャーマン的機能を持つ霊能者。本人が 突然、何からの霊的存在に憑かれた状態(カンガカリ)となる巫病(ふびょう)を経て、次第に霊的能力をそなえるようになることが多い。男女とも神によって選ばれた、セジ(神威)高い人である。
国語辞書
巫覡 (ふげき) 巫は女のかんなぎ、覡 は男のかんなぎの総称
かんなぎ (巫覡)
〔古くは「かむなき」。神(かむ)和(な)ぎ、の意〕神に仕えることを務めとする人。神をまつり、神楽(かぐら)を奏し、また「神降ろし」をする。祝(はふり)とともに禰宜(ねぎ)より下級の神職。かみなき。こうなぎ。
ユタもノロも過去において厳しい弾圧を受けた。
参考文献 神谷裕司 著『奄美、もっと知りたい』ガイドブックが書かない奄美の懐 南方新社
『南島雑話の世界』名越左源太の見た幕末の奄美 南日本新聞社
他に 山下欣一 著『奄美のシャーマニズム』弘文堂
『奄美説話の研究』 法政大学出版局
改訂『名瀬市誌』第三巻 民俗編 改訂名瀬市誌編纂委員会
2005.01.15
奄美、ルーツ探しの旅、道之島代官記集成
奄美では神様をつけて、「ユタガミサマ」と呼ばれている。沖縄では少し違うらしいところは興味深い。
ユタ頼みは、その「弊害」を指摘されることもあるが、根強い需要がある。
現在でも、「少なからぬ人」あるいは「一部の人たち」がユタガミサマを訪れ、相談を受けたりしている。
「少なからぬ人」あるいは「一部の人たち」がどの位のことかというと、あなたが道行く人にいきなり尋ねても無理かもしれませんが、地元に長く住んでいる親切な人で、その時暇がある人なら、もし本人が知らなくても、2,3人の知り合いに電話して、あなたに、ユタガミサマの電話番号を教えてくれる事が出来るだろうくらいには、親しまれていると思います。
ユタガミサマは名瀬市内にも何人かいます。あらかじめ電話をして行きます。普段は、他に仕事を持つ人もおり、普通の人なので、おどろおどろしいことはない。普通の自宅で、相談の時はそれらしい、白装束。相場の料金を封筒に入れて渡す。紙に、自分や家族の名前を書いて、相談する。帰りに小さいビンの焼酎をもらう。市販のそれに、ラベルが貼ってあり、名前と生年月日を入れてくれる。天孫降嶽阿麻彌神境から始まる、150字くらいの難しい漢字が書いてある。後で解読しよう。
天孫降嶽阿麻彌神境はこれか。
2004.12.21
笠利町 アマンデー(奄美嶽)
「後学のため」と思い、昔一度だけ行ったことがあります。確か、当たっていたような・・・そうでないような、でした。
結論、ノロとユタの違いは、公と私、二文字か。
この記事の文字数は数える気力がない。
amazon で見てみましたが、おもしろそうな本ですね。