カフェテラス

テラスの片隅で一人心に呟くように

栗に寄せて・・・彼のこと

2004年09月21日 | ★ 日々の呟き
ころころした栗が、袋いっぱい彼の家から届いた。
届けてくれたのは、彼のお父さんだ。いつもは、お母さんが見えて、暫く話して帰られるのだが、その日はお勤めで、少しでも早くと、お父さんが来てくださった。
彼は、退職した当時小学2年生、最後の教え子だ。1年2年と受け持ち、一区切りの時の退職は、後顧の憂いがなかった。
彼はやんちゃで可愛い普通の少年で、特に世話が掛かったり、困らせられたこともなかった。

退職した年、一つの決心をした。それは、この子達21名が20歳になるまで、誕生日におめでとうのはがきを書こうと。
それから高校1年になるまで、続いた。ところが彼らが高校1年になった年の4月6日生まれの子に出すのを忘れてしまった。遅れても出そうかと思ったが、そこでストップにした。

私がバースデーカードを出さなくなっても、1月の私の誕生日に必ず一枚のカードが届いた。
今年は、雪深い米沢から来た。差出人は栗を届けてくれた家の彼である。
大学3年生で、今就職を本気で探しているという。

小学3年生から、大学3年生までの彼のはがきは、文字も内容も人間としての成長の足跡を見ることが出来る。とかく、此の頃の若い子は・・・と批判の多い中、1枚のはがきに見る青年の健全さが嬉しい。

春のイチゴ、初夏の筍(それもゆがいてすぐ調理できる状態)そして秋の栗と、退職した年から、届く季節便りは、農家である彼の家の心の篭った贈り物である。
コメント (6)
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