定年まで後4年あったので今で言う若年退職者の部類に入るのだが、その頃は多くの先輩が大体そのような退職をした時代だった。
T君は2年生で最後に担任したクラスだった。
それ以来、誕生日前になると、T君からのバースデーカードが、近況報告と共に送られてきた。
そのT君が今年大学院を卒業して、社会人としての出発をすることになったという電話を帰郷した時もらっていた。
新人研修を終え、配属になった関東で新しい生活を始めたことを、筍を持ってきてくださったお母さんから聞いて、喜びを共にした。
掘り立ての筍を、おばあちゃんが、湯がいてお母さんが旬になると届けてくださるのは、T君のバースデーカードと同じだけの年の重なる季節の味便りだ。
T君が新しい環境に早く適合しながら、今まで身につけたことを生かし、新社会人としての道を歩んでいくことを心から願っている。
コバルトブルーの清らかな小さい花の集まりが、陽春の中で輝いて見える。