桜の花の散る頃になったら、必ず思い出す好きな詩がある。
「花ふぶき」阪本越郎
さくらの花の散る下に、小さな屋根の駅がある.
白い花びらは散りかかり、駅の中は、花びらでいっぱい
花びらは、男の子のぼうしにも、せおった荷物の上にも来てとまる。
この村のさくらの花びらをつけたまま、遠くの町へ行く子もあるんだな。
待合室のベンチの上にも、白い花びらは散りかかり、
旅人は、花びらの上にこしかけて、春の山脈をながめている。
この町には駅が三つある。五条駅は駅員さんがいるけれど、五条駅の東にある北宇智駅は、スイッチバックのあることで鉄道フアンにはよく知られた駅だったが、それもなくなり、昔懐かしい駅舎はなくなり小屋のように小さい駅舎で、無人である。 五条駅の西にある大和二見駅も、無人駅となっている。
阪本越郎さんの「花ふぶき」の作品は3年生の児童と、国語で学んだ詩で、その長閑な情景と旅人、汽車に乗っていく少年、その少年の帽子に乗ったまま一緒に旅する。そんなイメージの駅は、前に北宇智に駅舎があったときには、そこをイメージしながら、山脈を眺める、その山脈さえも、金剛山をイメージして、子供たちも深く読み取っていった、とってもいい詩だ。
和歌山線の沿線の駅には、まだこのような大和二見駅のようなイメージの駅舎があるだろうけれど、JRには殆ど乗らないので、この駅が上の「花ふぶき」のイメージにいつまでも浮かぶ駅として、五十年近く経った今も、花の散る頃になると、忘れることなく大好きな詩として蘇ってくる。
有名な桜でもなく、何処にでもある1本の桜だが、何にもかえがたい人生の大切な思い出の木なのかもしれない。
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