花の名前は通常カタカナで表記するようになっているが、この花筏は漢字で書き表したいいくつかの花の一つである。
葉っぱの中央に花を載せている姿は何かドラマを創りだしそうな気がする。山野草を多く載せているお師匠さんのサイトでこの花を見て名前を覚えてから、どこかで見ることがあるだろうかと登山をしたときなど、気をつけて見るがなかなかお目にかかることがない。
唯一、ハナイカダと出会えたのは、もう何年か前の今頃のことだった。あの時は木の丈がまだ低かったように記憶している。
雌雄異株で、花を見れば分かると説明してくださったが、このように札を付けてくれていると区別がつくのがありがたい。
どれもまだ緑の蕾で花が咲くとやや黄色っぽい白さの花だそうである。
ピンボケになってしまった。
どの葉にも中央に花を載せている。花筏と命名されたのが納得できる。
桜の花が散って、川面に浮かびそれが流されていく様は、「花筏」で、これもまた美しく趣がある。確か演歌にも「花筏」と題する歌があった。美しい花はいつかは散って水面に浮かんでも次第に流されていくし、筏は川の流れに乗って視界から消えていく。何かそこはかとない儚さをイメージするのが二つ重なっているから更に儚く、儚いゆえに印象に残るのが「ハナイカダ」である。
當麻寺西南院の、山門と庭園の終わりの「ハナイカダ」を、私の好みに任せて写真を載せたが、お寺は今牡丹と石楠花がとても綺麗である。
水禽窟の雅な音色に耳を澄ませ、池泉回遊式庭園を巡ると、西塔の裾を飾る石楠花の清楚な花に、安らぎをおぼえる。心字の池には、逆さの西塔と季節を浮かべ、どの季節に訪れても心満たされる。