午前中は、激しい雨がきそうもなかったので、それこそ大降りになるまでに、今年の小糸枝垂桜に出会いたくて、宇陀市室生区の、大野寺まで車を走らせた。 幸なことに途中から雨もやみ、お寺に着いたときは、小雨になり、殆ど傘をささずにしっとりとした樹齢300年余と言われる小糸桜との出会いが叶った。
青空がないのは本当の残念なことだったが、小糸枝垂桜も薄紅色の白に近い花も、境内の紅しだれも、最後の美しさを訪れる人に優しい色で、で迎えてくれた。
宇陀川を隔てた対岸の岸壁の、大磨崖仏の弥勒菩薩様の線刻を拝して、「この日にお参りできたこと」への感謝に手を合わせた。
大雨の予報にもかかわらず、観光バスが駐車場に並び、近府県以外のナンバープレートの乗用車も多く見かけた。
花びらが濡れた境内の土の上に落ちで、この花の終わりに近いように思われたが、花自体は大風が吹かない限りまだまだしなやかな美しさを保つことができそうだ。
グレーの空の下だけに枝垂桜の存在が、明るく、華やいで見える。
今もまだ風雨もなく静かな夜に入ろうとしている。 夜中に降るのだろうか。雷が鳴るのだろうか。どうかどうか、このまま静かなときが流れて欲しい。 6185
デジブック 『大野寺の小糸しだれ』