10時過ぎ、お天気を気にしながら、明日香へ車を走らせました。
家を出るときは上空は真っ青な青空だったのですが、大淀町に来た時の前方の空に発達しそうな入道雲が不気味に高くなってきました。
「やばいかなあ、洗濯物を軒に干してくればよかった。」 気にかかりながら甘樫丘の駐車場に着いた時、フロントガラスに雨粒が少し落ちてきました。
6月にここを通り過ぎた時には、ほとんど草原状態だった撫子が草むらの中に沢山咲いています。正式には「カワラナデシコ」と言うそうですが、川原に生えているからでなく、野原や草むらの中に咲いているという意味だそうです。中国から渡来したセキチク系でなく、万葉の昔から日本にある花だそうです。
明日香村の甘樫丘の麓に植栽されているのも、石舞台古墳の丘の上に植えてある紅花のように、古代の万葉人に愛でられた花であるからだと思いました。
万葉集には撫子の歌が二十七首あって、大伴家持は撫子の花がよほど好きだったと見えて、そのうちの十二首も詠んでいるとのことです。調べていましたら二十六首のうち十一首だと書いてあるのもありました。いずれにしても、大伴家持の愛でた撫子だったようで 、古代の歴史の地に咲く撫子を見ながら、その優しい花姿に見とれていました。幸い雨は遠のいて、ベンチに座っている時間、大伴家持の歌を調べてみたくなりました。
大きくしてご覧ください
二十六首も調べられなかったのですが、五つの画像に載せて五首選んでみました。
万葉集に見る大伴家持の撫子の詠
★「わが屋戸に まきし撫子 いつしかも 花に咲きなむ なそへつつ見む」
★「久方の 雨は降りしく 撫子が いや初花に 恋しきわが背」
★「うら恋し わが背の君は 撫子が 花にもがもな 朝な朝(さ)な見む」
★「 なでしこが花見るごとに娘子らが笑まひのにほひ思ほゆるかも 」
★ 「我がやどの なでしこの花 盛りなり 手折りて一目 見せむ子もがも 」
甘樫丘の展望台への道・登ろうかなぁと思ったのですが雨が降ってくると困るし、雷が鳴るとさらに恐ろしいのでやめておきました。
ここで出会った高齢のご夫婦は、奥様はストックをついていましたが、お元気に展望台まで行ってきたとのことでした。
雷が怖いので止めにしますと話したら、ご主人が「僕は雷なんかこわくない、臍がないのでね。」こんな冗談を言って駐車場へ行きました。
御杖村から来られたと聞きましたので、「半夏生」の花の群生地があるのですってね。」情報をお訊ねしたり、気軽に誰とでも話すのが歳を取ってからの母親とそっくりだと、自分でもおかしくなりました。
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