可笑しな色合いの夕焼け写真になったのは、どうしてなのかわかりません。設定を変えたわけでもないのです。
あえて画像を触ったとしたらいつもと同じように大きい画像で撮っているので、リサイズしただけなのに、和紙に絵具をこぼしたようになってしまった夕焼け空です。
こんな空を撮って、家に入ろうとした時、塀に噛り付くようにくっ付いている黒い生き物です。
虫はどうも気味が悪くて、「飛ばないでよ。」と念じながらカメラを向けました。この家の近くにはカブトムシの住処になるようなクヌギの木もありません。
家の庭木もカブトムシのお宿向きではないのです。一体いつ、どこから来たのでしょう。夜飛ぶのだと思うのですが、夕方のまだ明るい時間帯です。
暫く見ていました。コンクリートの塀は足がかりがなく滑るようで、なかなか上に登れません。可哀想だけど、私には捕まえてどこか木のある所に持って行ってやることは到底できません。
「頑張ってね。そのうち暗くなったら、君の行きたいところへ飛んでいきなさいよ。」
ここに住んでから、カブトムシの訪問者は、たとえ塀の外とはいえ初めてのことでした。
4756