若山牧水は秘湯白骨温泉に、好んで滞在したという。胃腸が弱く一か月余りも
滞在したという記録もある。この時代お腹(身体)を暖めるのはなによりの静養。
碑文:『 秋山に 立つむらさきぞ なつかしき
墨焼く煙む かつ峰にみゆ 』
歌意:紅葉の乗鞍岳の麓には炭焼きの煙が立ち昇り遠い故郷の里山にいるみたい
映像:慌ててカメラを向けて撮影成功。なんとも言えない「ぬえ」表情だ。
白骨温泉の湯元齋藤旅館の湯殿は、乗鞍岳麓の山林に沿った場所にある。
極上の湯船にまったり入浴していると入浴客の一人が突然「ぬえ!」と
叫んだ。窓の外にカモシカが悠然と通り過ぎていく。自然を感じた一瞬。
ぬえ(鵺):古来、得体のしれない物の怪のことを表す言葉だが、ここ南
信州では、カモシカのことを親しみを込めて「ぬえ」と言うらしい
映像:燻し銀のような湯元齋藤旅館の湯殿。よく見ると画面左上にカモシカが!
南長野の名湯と言ったらやはり、白骨温泉。その中でも藩政時代からの総湯元
斉藤旅館が老舗旅館。一時期、入浴剤問題が当地で発生したがこの老舗も迷惑
を被ったと女将はいう。入浴剤など必要のない湯船が視認できる極湯を味わう。
【Data】含土類ー硫化水素泉 47℃ PH6.7 源泉:湯元1,2,3,4号混合泉
参考:本物の名湯ベスト100‐70白骨温泉(講談社現代新書:石川理夫著)
学術:日本温泉地域自然資産No.76噴湯丘と球状石灰華(日本温泉地域学会編)
指定:国民保養温泉地(環境省:昭和49年3月)
🔵白骨温泉の真骨頂、湯元齋藤旅館の露天風呂(入浴モデルは同行温泉仲間A氏)
浴感:乳白色とはこの温泉のことをいうのだろう。内風呂はやや青白色だが
ご覧の露天風呂では、成分が酸化や光の加減で綺麗な乳白色になる。
映像:日帰り入浴施設媒香庵の露天風呂(5人も入れば満杯)
白骨温泉に到着した。今日はここの老舗旅館:湯元斉藤旅館の
別館に宿る。先ず荷をほどき、早速有名な公共野天風呂を目指
したが工事中。そこで、湯元斉藤旅館直営の露天風呂に入湯だ。
【Data】土類硫化水素泉 39.7℃ PH6.6 源泉:湯元5号
参考:本物の名湯ベスト100‐70白骨温泉(講談社現代新書:石川理夫著)
学術:日本温泉地域自然資産NO.76噴湯丘と球状石灰華(日本温泉地域学会編)
参照:公共野天風呂(白骨温泉2008年)
中里介山といえば小説「大菩薩峠」。その中に出てくるのが白骨温泉。白舟温泉
といわれていたのを「白骨温泉」と描いたことから全国的に有名となった。謂わば
白骨温泉の恩人である。その文学碑周辺も今では手入れが十分でないのが寂しい。
中里介山:小説家、代表作「大菩薩峠」は長年新聞に連載されたが未完に終わる。
小説記載:「・・・やがて白骨の温泉場に着いて、顧みて小梨平をながめたときはお
雪もその明媚(めいび)な風景によって、さきほどの恐怖が消えてしまい
ました。殊に、龍之助はここへ着くと、まず第一に『これから充分眠れ
る』という感じで安心しました。」 中里介山『大菩薩峠』より抜粋
同じく乗鞍高原の温泉。解放感溢れる露天風呂が特徴。
源泉温度が温泉法ギリギリの25℃である。周辺に沢山
温泉がある中加温での誘客には厳しい物があるだろう。
【Data】重炭酸土類泉 25℃ PH6.6
源泉:乗鞍高原休暇村温泉
長野県の温泉力を考えた場合やはり北、中央、南アルプスの山岳を考えず
にはいられない。日本を代表する山岳群こそ長野県を実質温泉地数日本一
にしたともいえるだろう。その代表的な乗鞍岳を見上げる温泉施設である。
【Data】単純硫黄泉(硫化水素型) 46.8℃ PH3.3 源泉:湯川源泉
浴感:公社が経営する温泉施設らしくしっかりした造りだ。平成25年の
新設。露天風呂から乗鞍岳を眺望できるのがこの温泉の醍醐味だ。
映像:普通の民家の縁側の奥に地元民が通う個人経営の共同浴場
長野県は温泉大県であるが諏訪湖の辺にこのような名湯があるとは!
諏訪で初めて温泉を感じたのは今から十数年前中央高速道諏訪SAで
の立寄り湯だった。今回、諏訪の町はずれに感激の街中秘湯を発見!
【Data】 単純硫黄温泉 68.9 ℃ pH8.7 源泉:湯小路原湯
参考:本物の名湯ベスト100-73 下諏訪温泉(講談社現代新書:石川理夫著)
参照:ハイウェイ温泉諏訪湖(上諏訪温泉)
所感:およそ名湯とはこういう人知れずひっそりと地元民が愛用する
生きている温泉なのだろうか?知れば知るほど温泉の魅力は多様だ。
映像:奇祭の象徴である御霊柱が天に向かって直立。力の象徴でもある。
長野県諏訪大社上社に伝わる伝統の行事。勇ましい様はニュースにも
なるほど全国的に知られる奇祭である。木曽の銘木にまつわる催事で
これ迄に5回死者がでる事故も起きている。その御霊柱が境内に鎮座。
参照:諏訪大社上社本宮(長野県)
山梨県甲府市の武田神社を詣でたあと、中央高速道で長野県諏訪市訪問。
目的は勿論、諏訪市にある古くからの温泉場探査だがその前に諏訪大社
を参拝。ここは武田信玄の息子武田勝頼の母故郷であり所縁の地である。
社格:式内社、信濃国一宮、旧官幣大社 祭神:建御名方神、八坂刀売神
行事:御柱祭 指定:国重要文化財(諏訪大社上社本宮他15棟)
参照#御柱(御柱祭使用)