
(写真はイラク難民の家族 “flickr”より By mashuqur)
昨日目にした地震救援の話題2件。
1件目は、今月2日にロシアのサハリンでおきた地震に関して、稚内市が救援物資を送ったのですがロシア側が受け取りを拒否しているというニュース。
2日にサハリンでマグニチュード6.8の地震があり、ネベリスクなどで死者2名、負傷者10名以上の被害が出ました。
被災したアパートや公共施設は79棟、被災世帯は約1600世帯に及んだそうです。
これに対し、ネベリスクと友好都市の関係にある稚内市は、毛布、カップめん、災害用スティックパンを横田市長のサハリン訪問にあわせ、9日フェリーで送りました。
しかし同日午後、ロシア札幌総領事から「今回の地震に対し、国際的な支援は必要としない」との連絡があり、救援物資は送り返されるそうです。
これだけ聞くと「せっかくの好意を断るなんて!これだからロシアという国は嫌なんだよ!」と条件反射してしまいます。
確かに単にそういうことだけなのかもしれませんが、少し背景というか、向こうの事情もあるのかも・・・と思うところもあります。
それは、今回の地震に対する州当局の対応にプーチン大統領が激怒して、州知事をクビにしてしまったということです。
プーチン大統領は閣僚を前にして、「なぜコンクリートの床やテントで、子供たちが寝ているのか。州政府は何をやっているんだ。」「なぜ知事はすぐ現地に行かなかったのか!」と怒り、結局、州知事を解任してしまいました。
ただ、先日8日のブログでも触れたように、サハリンの石油・ガス開発に口をはさむ選挙で選ばれた現州知事を、中央の意向が伝わる任命制の知事にすげ替えたい思惑があったとも考えられ、“怒って解任した”のか“解任するために怒った”のか、どちらかわかりません。
いずれにせよ、このような事情で地震救済は現地では単に災害対策ではなく、非常にデリケートな問題になっていると思われ、州当局は“地震対策は自分達の力でキチンと対応しました”ということをプーチン大統領に示さないといけない状況にあるのでは・・・なんて思ったりもします。
2件目のニュースは立場が逆のケース。
「サウジアラビア政府は中越沖地震の被災者のため、日本政府を通じ200万ドル(約2億4000万円)の無償支援を行う」と、駐日サウジアラビア大使館が9日発表しました。
発表文によると、寄付は「サウジアラビア政府と日本政府の戦略的で重層的な友好関係」に基づくとされており、犠牲者、被災者に対して「お悔やみとお見舞い」を表明しているそうです。
まあ、お金はいくらあっても足りないですし、被災地が困っているのも事実ですから、非常にありがたい話です。
ありがたい話ではありますが、あまのじゃくのせいか、個人的には「日本のことは日本でなんとかするから、そんなお金があるんだったらもっと他の使いみちがあるんじゃないの。例えば“アラブの大国サウジ”としてイラク難民救済を追加するとか。災害で言えば、今インド、バングラデシュでは洪水で2000人を超える死者が出ている状況だし・・・」なんて思ってしまいます。
でも、そんな話が伝わるときっと「せっかくの好意を断るなんて!これだから日本という国は嫌なんだよ!」と嫌われますね。
イラク難民については、先日も日本UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)協会から私のような貧乏人のところにまで、緊急支援の依頼が届いたので、ついそんなことを考えた次第です。
イラク国内難民は200万人以上にのぼると思われ、少しでも安全な県に避難しようとしていますが、最近では県当局が「これ以上は受け入れられない」と判断して県境を封鎖する事態になっているそうです。
シリア、ヨルダンなどの周辺国に国境を越えて避難する人々も200万人ほどになっていると推測されています。
この事態に、もともと地元住民の水も不足していたヨルダンは国境を閉鎖しました。
100万人以上を受け入れているシリアには、毎日難民が流入してくる状況が続いています。
UNHCRは当面の援助活動分として約72億円を各国政府からの拠出金で確保したそうです。
しかし、緊急援助と最低限の医療・教育を提供していくためには、年間120億円以上が必要とされています。
もちろん、サウジアラビアは地域の中心国として、聖地メッカを抱える国として応分の負担をしているところだと思いますが、まだまだ資金が足りない状況です。
追加できるなら・・・。
南アジアの洪水被害は一昨日9日のブログで取り上げたように、今も被害が拡大しています。
バングラデシュやネパールでは“戦略的”友好関係にならないのでしょうが。
仕事で出る期限切れ品を廃棄するのがもったいなくて、「期限が切れる少し前に、こういうものが足りない国の支援団体に送ったらどうだろうか。ウーン、いい考えだ!」と思ったことがあります。
でも、ある支援団体の方の「殆ど使えないようなものを送ってもらうことも多くて困っている。送っていただけるなら、ちゃんと使えるものを・・・」といった話を記事で目にしました。
支援・援助は送る側は好意でも、受け取る側にも様々な事情があることも多いようです。
せっかくの好意のせいで、感情の行き違いにならないように気をつけないと。