(1月の壁爆破のときの様子 “flickr”より By samdaq (AT) hotmail
http://www.flickr.com/photos/10948116@N08/2249963737/)
昨年6月以来のパレスチナ・ガザ地区の封鎖は相変わらず続いています。
実効支配するハマスのイスラエル攻撃、それに対抗するイスラエルの輸出入禁止措置によって、ガザの住民約150万人は食糧、医薬品、燃料の欠乏に直面。
ガザが必要とする食糧の2/3を提供している国連難民救済事業機関も、燃料不足で4月末から食糧配給の停止を余儀なくされています。
最近の記事から拾うと・・・
*****エジプト、ガザ検問所を要治療者のため開放******
【5月11日 AFP】エジプト政府は10日、イスラム原理主義組織ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザ地区のラファ検問所を開き、高度な治療が必要なパレスチナ人550人を医療施設に搬送した。
ハマス幹部は治療が必要な住人やガザ地区またはエジプトから居住地に戻れなくなった人々のために検問所が10日から3日間開放されることを認めた。
ハマスによる制圧以降、イスラエルは限られた人道支援を除きガザ地区の通行を規制している。
*****ガザ地区で再び停電、燃料不足で発電所が稼働停止****
【5月12日 AFP】ガザ地区で11日、イスラエルからの燃料供給が4日続けて途絶えたため地区内唯一の発電所が稼働を停止し、再び停電となった。
人口が密集し窮乏するガザ地区の電力供給は、30%が地区内唯一の発電所から、ほかの大部分がイスラエルから直接行われており、わずかにエジプトからも供給されている。
イスラエル政府は、パレスチナの武装勢力が4月9日、燃料備蓄施設を攻撃し、イスラエル市民2人を殺害したことから、ガザ地区への燃料供給を削減した。
*****イスラエル:ロケット弾が着弾、11人負傷*****
【5月15日 毎日】イスラエル南部アシュケロンで14日、隣接するパレスチナ自治区ガザ地区から発射されたと見られるロケット弾がショッピングセンターに着弾、爆発し、ロイター通信によると少女や女性を含む少なくとも11人が負傷した。
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そんななかで“なるほどね・・・”と思ったのが、こちら。
****パレスチナ住民の大量越境に備えるエジプト政府****
【5月14日 IPS】ハマスのリーダー、ハリール・アル・アヤ氏は最近、「包囲が解除されなければ、貧窮するガザ市民は、食糧、日用品を求めてシナイ半島に大量脱出するかもしれない」と語った。
同発言を脅威と受け取ったエジプト政府は、報道および国境地帯住民の証言によると、ここ数週間、国境警備の大幅増強を行っているという。
エジプト国境から40kmのところにあるアル・アリシュに住むジャーナリスト、ハテム・アル・ブルク氏は、「4月初めから国境警備の強化が始まり、配備された治安部隊の数は750人から2,750人に増加した。また、エジプト政府は、国境沿いのバリケード建設を急いでいる」と語る。
同氏によれば、20業者が、国境全域にわたる高さ4m、厚さ2mの壁の建設に当たっているという。
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今年1月23日に、壁が爆破され、食料品などを求めて50万人ともいわれるパレスチナ人がエジプトに押し寄せたことは、記憶に新しいところです。
“なるほど”と思ったのは、エジプト当局が懸念する理由で、「ガザ市民の大量越境があれば、イスラエルは再びガザを占拠して国境を封鎖するだろう。そうなれば、パレスチナ人はエジプト国内に止まざるを得ず、パレスチナ問題のシナイ半島拡大の可能性も出てくる。エジプト政府は、それを恐れているのだ」とのこと。
パレスチナ難民支持は“アラブの大義”の冒頭にくるものではありますが、実際問題としては、アラブ各国にとって難民はお荷物であり厄介者です。
なんとかこの厄介の自国内シナイ半島への拡散を防ぎたいというのが、エジプト当局の本音のようです。
ブッシュ大統領は14日、中東歴訪の最初の訪問国イスラエル入りしていますが、オルメルト・イスラエル首相は自身の収賄疑惑に絡み、警察当局がエルサレム市庁舎の捜索を行うような状態。
オルメルト首相が汚職疑惑で捜査を受けるのは、2006年の首相就任以来5度目(!)となるそうで、「検察当局が私を起訴する場合には辞任する」と述べてはいますが、収賄疑惑が相次ぐオルメルト首相に対する国民の不信感は高まっているそうです。
一方のアッバス議長は泣かず飛ばず状態が続いています。
交渉の両当事者の国内基盤が脆弱な状態では、国内反対者を封じ込める必要のあるなんらかの譲歩を伴う交渉は進みようがありません。