
(2月4日 コロンビアやグアテマラやペルーなど中南米各地で、コロンビアで政治家らを人質にとっている左翼ゲリラ「コロンビア革命軍(FARC)」に対する人質解放を求める抗議デモが行われました。写真はコロンビアのMedellín で行われたデモ 人質達の写真を掲げて行われました。 “flickr”より By medea_material http://www.flickr.com/photos/medea_material/2242763076/)
【膠着したイランの人質事件】
前年10月にイラン南東部で誘拐された中村さん(23)の事件で、犯人グループが人質解放と引き替えに死刑判決を受けた親族(犯人の息子)1人の釈放を要求しているそうです。
中村さんは現在イラン国内ではなく、パキスタンとアフガニスタンの間の国境地帯で拘束されているようですが、イラン・ケルマン州警察長官は「そのような要求には屈しない」、「社会で権威が維持されるためには犠牲が払われる必要もある」と述べてますので、解放はまだ時間がかかりそうな状況です。【5月26日 AFP】
【FARC最高司令官の死】
誘拐というと“本場”は南米コロンビア。
そのコロンビアで、左翼ゲリラ、コロンビア革命軍(FARC)のマルランダ最高司令官(80)が死亡したことを各紙が報じています。
今年3月にはコロンビア軍によるエクアドル領内への越境攻撃を受けて、FARCナンバー2のラウル・レジェス幹部も殺害されています。
父親が左翼ゲリラの犠牲者でもあるウリベ・コロンビア大統領の強硬路線によって、以前は全土の3分の1の地域を実効支配していたFARCは、最近ではベネズエラ国境付近、南西部ジャングル地帯に追い込まれており、人員もかつての1万8千人から、今は1万人を割る状態になっていると言われていました。
(4月21日 http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20080421 参照)
その上に最高司令官、ナンバー2の相次ぐ幹部の死で、一層の組織弱体化が推測されています。
【人質解放の期待】
ウリベ大統領は、FARCの複数の幹部から電話を受け、身柄の自由が保障されるならFARCを脱退し、ベタンクール元大統領候補ら人質を解放すると提案されたことを明らかにしています。
提案に対し大統領は、人質を解放するなら「政府の答えはイエスであり、メンバーの自由を保障する」との姿勢を示したそうです。
(ベタンクール元大統領候補については、3月29日 http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20080329 参照)
更に“人質を解放したコロンビア革命軍幹部の身柄をフランス捜査当局に移送する道を示唆し、「彼らはフランスで自由の身となろう」と述べた。大統領はさらにコロンビア革命軍のメンバーに対し、人質を解放すれば総額1億ドル(約100億円)の報奨金を支給するとして、政府への投降を強く求めた。”【5月25日 AFP】とか。
コロンビアに限らず、武装勢力との内紛に終止符を打つ際には、投降後の身分保障や職業訓練プログラムなどが提示されることはよくあります。
それはそれで結構なことですが、一方で、彼等の活動や紛争で犠牲になった人々への補償は殆どなされないことが多く、いささかバランスを失していることも目にします。
犠牲者へのより篤い補償策も忘れずに進めてもらいたいものです。
いずれにしても、ベタンクール元大統領候補など700名以上が人質として拘束されていると聞きますので、これらの人々が1日でも早く解放される方向に事態が進んでもらいたいものです。
【人質、ジャングルからプロポーズ】
FARCの人質に関して、ちょっと変わったところでは、つい先日こんな記事もありました。
****FARC人質、ジャングルから恋人にプロポーズ 解放議員が代役*****
【5月19日 AFP】コロンビアの左翼ゲリラ「コロンビア革命軍FARC)」の人質となっている米国人男性が、FARCが拠点とするジャングルから、恋人にプロポーズの言葉を届けた。
プロポーズしたのは、5年にわたりFARCの人質となっているStansellさん(43)。
Stansellさんは米フロリダ州出身で、米民間軍事会社の麻薬対策要員だったが、2003年2月13日、内偵中に同僚2人とともに乗っていた航空機が奥深いジャングルに墜落し、その場で連れ去られた。
一方、プロポーズの言葉を受け取ったのは、Medinaさん(36)。
Stansellさんが人質となったとき、Medinaさんは妊娠4か月で、Stansellさんとの間に双子の子どもを身ごもっていた。誘拐後、3人の情報はほとんどなく、メディアは「忘れられた人質」と名付けた。
同じく人質となっていた、ペレス元同国議員がほかの2人とともに解放されることになり、Stansellさんはペレス氏に、恋人へのプロポーズの伝言を依頼した。
Medinaさんは、ペレス氏の解放直後、多数の支持者が詰めかけた空港で同氏と面会した。Medinaさんは、人質となっている恋人の情報をわずかでも得ようと、ペレス氏との面会を申し入れていた。
ペレス氏は抱えていた花束から花を1輪抜き取ってMedinaさんに手渡し、Stansellさんの代わりにプロポーズした。
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報じられた19日時点では解放の目処もなく、読んで複雑な気持ちになる、どちらかと言うと悲しくなるような記事でしたが、昨日・今日のニュースを踏まえると、遠くない将来、この二人が再開できる日もあるかも・・・と思いたいものです。
【ゲバラブーム】
今朝TVを観ていると、最近チェ・ゲバラの本が多数出版されており、ブームだとか。
“ふーン”と思いネットで検索すると、確かにそのようですが、04年頃のブログで“最近チェ・ゲバラがブームで・・・”なんてものもいくつか目にします。
最近だけに限らず、ゲバラに対する想いというのは常にあるのでしょう。
およそ“革命”という言葉は死後となってしまった現代においても、不平等、不公正などは減ることなく、むしろ拡大する傾向さえあります。
そんな現実に生きる人々は、“信念の人”として“革命”に一生を捧げたゲバラに対して思うところがあるのかも。
コロンビアにしても世界第2位の国内難民を抱える社会ですから、“革命”の要素がなくなった訳ではないでしょう。
しかし、誘拐と麻薬に頼る組織であっては弱体化も止むを得ないところですし、ゲバラが泣いているのでは・・・と思われます。