孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

韓国“通貨危機” 不況に流行るコンドームと結婚仲介業 日本の不況対策は?

2008-12-13 21:38:03 | 世相

(韓国・釜山の夜 写真左側の赤いものはソジュ・テントと呼ばれる屋台 釜山には行ったことはありませんが、博多の屋台みたいな感じでしょうか
“flickr”より By William George
http://www.flickr.com/photos/thewilliamg/2322938134/)

【暴落した韓国ウォン】
今日13日,福岡・大宰府で日中韓3カ国の首脳会議が開催されます。
(歴史的に大陸文化の受入れ窓口だった大宰府で・・・というのは、よい選択のように思えます。)

世界的な金融危機がアジアの実体経済にも深刻な影響を与えている事態を受けて、東アジアで大きな経済規模を占める3カ国の首脳として危機克服に向けた「結束」をアピールするとのことです。

日本の不況深刻化の懸念は連日報じられているとおりですし、中国経済減速・雇用情勢悪化についてもこれまで取り上げたところです。
韓国の経済情勢悪化も同様というか、日中以上に厳しい“危機的”状況です。

韓国ウォンは2007年10月末に1ドル900ウォンを切るまで上昇しましたが、その後下落が続き、特に、9月のリーマン・ブラザーズ破綻で暴落状態になっています。
11月には1ドル=1500ウォン付近にまで低下したと報じられていましたが、今日のレートで見ると、1ドル=1369ウォンですから少しは回復したようです。
それでも、ピーク時の5割近くも下落しています。

この“通貨危機”状態に対し、中央銀行はドル売り・ウォン買いの為替防衛を懸命に行っていますが、資金が不足しており、危機感が増幅しました。
10月段階では“IMF金融支援”の危機も取り沙汰されました。
10月末、中央銀行の韓国銀行とFRB(米連邦準備理事会)が最大300億ドルの通貨スワップ協定を結び、ようやくウォンは下げ止まったようです。
しかし、不安定な状況は続いており、“12月危機説”とか、「決算を控えた日本の銀行が一斉に韓国から資金を回収し、来年3月に経済危機が発生する」という日本発の“3月危機説”などが、まことしやかに噂されたりしています。

【通貨安定に向けての日中韓首脳会議】
金融危機への対応が中心議題のひとつとなる今回の日中韓首脳会議に先立って、韓国の通貨安定のための対策が、日韓・中韓で相次いで発表されています。

****1兆8000億円を相互融通=日韓中銀が合意、為替介入に活用も****
日銀は12日、韓国の中央銀行である韓国銀行との間で円とウォンを融通し合う通貨スワップ協定について、利用限度額を30億ドル(約2700億円)相当から200億ドル(約1兆8000億円)相当に拡大することで合意したと発表した。近く正式協定を結び、2009年4月末までの時限措置として実施する。日銀は短期資金を潤沢に供給できる環境を整えることが目的としているが、下落の著しいウォンを買い支える市場介入に活用される可能性もある。
日韓両国政府は、中銀間のスワップ協定とは別に、アジア通貨危機のような非常事態が発生した場合に備え、100億ドルを融通し合う協定を結んでおり、通貨の融通枠は総額300億ドル相当になる。【12月12日 時事】 
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****韓国と中国、通貨スワップの約280億ドル拡大で合意=韓国中銀
韓国銀行(中央銀行)と中国人民銀行は、38兆ウォン(282億9000万ドル)相当の新たな通貨スワップ協定を締結することで合意した。韓国銀行(中央銀行)が12日、発表した。すでに締結されている40億ドルの通貨スワップに追加される。
韓国中銀は声明で「今回の合意は、基本的に健全な両国の金融システムにおける短期流動性の状況改善を支援することが狙い」と表明した。【12月12日 ロイター】
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なお、中国人民銀行は、韓国以外の他の中央銀行とも通貨スワップ協定締結の可能性を積極的に探る姿勢を表明しています。
資金的には今世界で一番体力のある中国ですから、この機会に存在感をアピールしようとのことでしょう。

【韓国 不況で流行るもの】
ところで、厳しい経済事情の韓国ではコンドームの売上げが伸びているそうです。

“韓国のコンビニ・チェーン店「GS25」によると、全国3300店舗で8月上旬から11月中旬にかけてのコンドームの売上げが、前年比19.3%増だったという。
同社の広報担当者はAFPに対し、「一部の専門家は、経済的苦境によるストレスに耐え、不安を払しょくするために、人々は快楽を求めていると指摘しており、これがコンドームの売上げ増加の背景にあると考える」と述べた。
経済が回復するまで、子作りを延期しているとの見方もある。【11月26日 AFP】”
後者の理由は“なるほどね・・・”と思ってしまいます。

なお、同記事によれば、コンドーム以外にも売上げを伸ばしているのが口紅と安酒だそうです。
口紅は“女性にとって、不景気の際に自分を美しく見せる最も安価な方法であるためだとみられている。”とのこと。
メークの流行の影響もあるのでは・・・との見方もあるようですが。
安酒の焼酎「ソジュ」が伸びるのは「苦しい時期に、韓国人はウイスキーやビールをあきらめて、経済的なソジュで満足しようとする傾向がある」と、こちらはわかりやすい理由です。

もうひとつ、「結婚仲介業」がブームだとか。
こちらは、韓国社会の現状を反映したもののようです。

****韓国で「結婚仲介業」ブーム、金融危機で親に焦り****
世界的な金融危機のなか、韓国では結婚仲介業が好景気に沸いている。
結婚仲介大手の一つDuo社によると、背景には無職の女性が結婚生活に経済的な安定を求める傾向や、父親が定年を迎えるまでに子どもを結婚させたいと、子どもに代わって親が仲介サービスに申し込むケースが増えているという。(中略)
Duo幹部によると、このようなブームは1997-98年のアジア金融危機の際にもみられたという。
韓国では現在も見合い結婚が広く行われており、特に上流階級では一般的だという。【12月12日 AFP】
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【日本 景気回復のためには】
話を本筋にもどしましょう。
景気悪化・雇用不安への対策の話です。
日本も麻生政権が景気回復に向けて多彩な施策を打ち出していますが、政局がらみで効果には疑問も持たれています。
そんななかで、雇用不安がどんどん深刻化しています。

世界的な同時不況で先が見えず企業の投資意欲は落ち込み、雇用不安を抱えるような厳しい状況で消費者の購買意欲も落ち込み、さらに金融不安で金融機関は貸し渋りへ走り、また、金融機関の経営基盤へのひとびとの信頼感も揺らぎ・・・といった状況では、政府の金融政策も財政支出もなかなか効果が出にくいように見えます。

経済学の教科書が教えるケインズの“流動性のわな”(金利があまりにも低くなり、すべての人々が資産として債権ではなく貨幣を保有しようと考え、そこで貨幣需要が無限に弾力的になって、中央銀行がどんなに通貨を供給してもお金がうまく回らず、消費や投資が伸びない現象)のような状況です。

“流動性のわな”の話は、今も昔もよく理解できないといころが多々ありますので、深入りしません。
こうした日本経済を素人的に考えると、凍りついた消費マインドに点火するためには、先ず国民の不安感を払拭することが一番大切なように思えます。
そのためには、年金・医療・社会保障について、政府は将来にわたり“絶対にこれを死守する”確固たる姿勢を国民にアナウンスする政策を打ち出すべきです。

【将来の消費税引上げの効果は?】
そのためには財政的裏づけを同時に出す必要があります。
そうなると、やはり消費税でしょう。
選挙対策として“とんでもない”という話以外に、“増税を口にすると、この不況時には消費意欲を引き下げる”との考えもあります。

もっともな感じもしますが、ただ、理屈的には逆ではないでしょうか?
将来の消費税引き上げが明示されれば、“買うなら今のうちに”という心理を誘い、購買意欲を高める方向で作用するのでは。
一種の“調整インフレ”です。

現実的に可能なら、現在の消費税を2%下げる、その代わり1年後には必ず2%引き上げ、2年後には更に2%引き上げ、3年後にはまた2%引き上げ・・・ということにすれば、“じゃ、今のうちに・・・”ということにもなるのでは?

やみくもに“これでもか、まだだめか・・・”と金融緩和・財政支出に走っていると、2年後・3年後に何らかのきっかけで投資・消費意欲が回復したとき、それまで溜まっていたマネーが一気に動き出し、ハイパーインフレーションを引き起こすという事態も危惧されます。
日本国内はともかく、今年の世界的な食糧価格・原油価格高騰をみると、世界的にはおおいにあり得るかも。




コメント
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