(シンガポール空港での途中給油を待つ乗客)
【帰国する出稼ぎメイド・・・多分】
7月21日からインドネシア・ジャワ東部を旅行中です。
日本企業の進出も多いインドネシア第2の大都市スラバヤから入国し、22日には13世紀頃に建国されたシンゴサリ王国の遺跡も点在する高原都市マランへ、そして今日23日は阿蘇カルデラを思わせるブロモ山(2392m)の山頂近いホテルに来ています。
赤道も近いインドネシアですが、2000m近い高所となると、晴れた日中でも20℃ぐらい。明日、日の出の頃に火口見物に行きますが、そのときは数℃と冬支度が必要になります。
今回、台北乗り継ぎのチャイナエアラインを使ったのですが、台北を発った機内はいつもと雰囲気が違います。
少なくとも後部座席付近は、殆どが女性。30代、40代の女性もいますが、二十歳前後の若い女性が多いように見えます。普段飛行機を利用するような感じもありません。
推測ですが、インドネシアから台湾へメイドとして出稼ぎに出ている女性達ではないでしょうか。
インドネシアやフィリピンは女性の出稼ぎが外貨獲得においても大きなウェイトを占める国ですが、このブログでも何回か取り上げたように、メイドとして働くマレーシアやサウジアラビアなどでは虐待・暴行も多発しており、大きな問題となっています。
メイドの場合、仕事場が家庭内という閉ざされた環境にありますので、そうした虐待・暴行がおきやすいといえます。事件化したときなど、インドネシア社会の反発・批判を受けて、インドネシア政府もしばしば出稼ぎ禁止措置を採っています。
マレーシアの場合は、インドネシアと民族・文化的に近いだけに、経済成長でリードするマレーシア側の優越感も背景にあるようです。
サウジアラビアの場合は、アジア人蔑視の風潮もあるようです。
【インドネシアの光と影】
比較的最近のインドネシア社会に関する記事から2件。
最初は、明るい“光”の部分。
****インドネシア 中間層が倍増 20年までに1億4000万人見込み***
インドネシアで所得水準の上昇が進み、全国的に消費活動が活発化する見込みだ。
米国のボストン・コンサルティング・グループによると、インドネシアでは家賃を除く月間消費額が200万~700万ルピア(約2万200~約7万700円)の人々で構成される中間層が現在の7000万人から2020年までに1億4000万人に倍増するという。現地紙、ジャカルタ・グローブなどが報じた。
同グループは、安定した政治状況などから、インドネシアの堅調な経済成長は今後も続き、内需拡大と所得増が同時に進行すると予想。中間層が50万人以上暮らす生活圏も、現在の24地区から20年には54地区まで増加するとしている。地域も現在のジャワ島に集中した状態からスマトラ島、カリマンタン島、スラウェシ島などに拡大していく見込みだ。
また、同グループ幹部は、4000世帯を対象とした調査で自分よりも家族のための消費を重視すると回答したインドネシア人の割合が全体の63%にのぼったと指摘。今後は、教育、家電などの耐久消費財、保険といった「家族・家庭」をキーワードとする分野で消費拡大が期待できるとの見解を示した。【4月18日 SankeiBiz】
**************
もう1件は、インドネシア社会の抱える“影”のひとつ。
****インドネシア:軍と警察が対立 暴力団さながらの利権争い****
経済成長が続くインドネシアで、国軍と国家警察の対立が顕在化している。背景には、軍と警察の間で繰り広げられる、日本の暴力団さながらの利権争いがあるとされる。
欧米諸国から「民主化の成功例」と称賛されるインドネシアだが、民主主義の基盤である文民統治のひ弱さを露呈している。
国民はまもなく開廷する、殺人容疑などで逮捕された国軍特殊部隊隊員11人の軍事法廷の行方に注目している。隊員は3月23日、ジャワ島ジョクジャカルタ特別州の刑務所を急襲し収容者4人を射殺。4人は警察とつながりの深い地元犯罪組織のメンバーで、うち1人は元警官だった。襲撃事件の4日前、同島ソロで特殊部隊隊員を殺害した容疑で逮捕されたばかりだった。
「組織を守るためだった」。身柄を拘束された特殊部隊隊員は調べに対し容疑を認め、報復を示唆した。
同7日には国軍兵士約100人が、南スマトラ州の警察署を襲撃し警官と兵士、民間人の計8人が負傷した。この事件も国軍の警察への報復とされる。今年1月、同州で国軍兵士が、交通違反を巡り口論となった警官に射殺されていた。
国軍と警察への国民の見方は割れる。国軍の横暴に国民から批判の声が上がる一方、汚職が絶えない警察を非難する動きもある。国軍による刑務所襲撃を巡っては、市民グループが「英雄的行為」とたたえ、刑の減軽などを求める署名活動が進んでいる。
対立の原因は、日本の暴力団同士の抗争にみられるような、繁華街での“みかじめ料”など利権争いがあるとされる。人権団体「行方不明者と暴力被害者のための委員会」によると、2005〜12年に国軍と警察が衝突した事件は26件に上り、計11人が死亡している。
1998年のスハルト政権崩壊後の民主化の過程で、国内の治安維持は2000年に、国軍から分離した国家警察に移管された。
国軍と警察の内部事情に詳しい関係者は「警察への治安権限移譲で、国軍が主な裏金収入源としていた犯罪組織と結びついた繁華街の警備や麻薬販売などの利権を巡り、各地で警察との間で争奪戦が始まり、今も後を絶たない」と話す。
特殊部隊の隊員が元警官らに殺害されたソロでも、警察、国軍とそれぞれ結びついた犯罪組織同士の抗争が激化していた。【5月14日 毎日】
***************
“みかじめ料”をめぐり、軍と警察が衝突・・・・なんともあきれた話です。
【「日本は昔は武力で、今度はカネで我々の土地を奪おうとしている」】
日本絡みで目下問題になっているのが、日本が官民一体で進める中ジャワ州バタン県の石炭火力発電所建設に反対する
****インドネシア:日本大使館前で抗議 発電所計画撤回求め****
インドネシアの首都ジャカルタの日本大使館前で22日、日本が官民一体で進める中ジャワ州バタン県の石炭火力発電所建設に反対する地元住民ら約120人が抗議デモを行った。
「発電所はいらない」。建設予定地や周辺5村の住民らは約2時間、横断幕や旗を掲げ、声を張り上げて計画への反対を訴えた。住民代表のリヨノさんは「日本政府に日本企業による発電所への投資の撤回を要請する。発電所は我々の土地や仕事、若者の将来への希望を奪う」と訴えた。
「中部ジャワ発電所計画」は総発電量200万キロワットで、完成すれば発電量がアジア最大級となる巨大プロジェクト。日本の伊藤忠商事とJパワー(電源開発)が出資する事業会社は今年10月の着工を目指すが、環境破壊などを懸念する一部住民が強く反発している。【7月23日 毎日】
*************
*************
中部ジャワ発電所を巡っては、地元の環境管理局長が今月1日、「8月にも計画書が承認される」と発言。反対派住民や環境保護団体は「環境管理局は中立ではない」と反発している。
事業会社は5月、建設用地の8割の買収が完了したと発表。今年10月の着工に向け、現地で地質調査や周辺道路の整備などを進めている。これに対し反対派は「事業許可の取得前に作業を開始し、明らかな違法行為」と非難。売却に反対する地主の土地も含まれているとして警察に通報するとしている。一方、事業会社の現地責任者は毎日新聞の電話取材に、「取得済みの土地のみで作業しており合法」と反論した。
完成後は発電量がアジア最大級となるこの石炭火力発電所計画を巡っては、環境破壊を懸念する住民の一部が強く反発。今も事業会社との交渉を拒否している。一方、事業会社や政府は10月着工を厳守するとしており、反対派との対立が更に先鋭化する恐れがある。【7月6日 毎日】
**************
“住民は賛成・反対に分かれて鋭く対立。事業主体に日本企業も加わっており、反日感情も高まっている。”【6月28日 毎日】とのことで、
“カラングヌン村には第二次大戦中、日本軍が侵攻した。リヨノさんは「日本は昔は武力で、今度はカネで我々の土地を奪おうとしている」と話し、反日感情も高まっている。”
“一方の賛成派。2500平方メートルの農地を事業会社「ビマセナ・パワー・インドネシア」(BPI)に売却したヘルさん(43)は「発電所ができれば、若者が働く場所も増える。貧しい村が豊かになる」と話す。BPIは病院建設や高速道路整備の計画も進め、住民子弟の進学のための奨学金制度の創設も約束している。”【同上】とも。