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(到着した昨日は天気もよく、ホテル敷地からも雄大な景色が眺められました。 緑色の独特な形の山がバトッ山(2440m)、その左がブロモ山(2393m)で、ときおり噴煙を上げています)
【霧の中で朝日を待つ】
昨日の昼過ぎジャワ東部の観光スポット・ブロモ山のホテルに到着。昨夜と今晩、2泊して、明日イジェン火口に向かいます。
ブロモ山(2393m)は、日本で言えば阿蘇山みたいな感じです
外輪山の中に広い砂地(阿蘇で言えば草千里)が広がり、その中央に現在も噴煙を上げるブロモ山(阿蘇五岳)と、そこだけ草木に覆われた、すり鉢をひっくり返したようなバトッ山(2440m 阿蘇にも米塚だか何とか言う、規模は小さいですが、似たようなものがあります。ネットが自由に使えないので名前が調べられませんが)が鎮座する雄大な景色です。
インドネシアはバリ島など一部を除きイスラムですが、この付近のテングル人はヒンズー信仰を守っており、ブロモ山は火の神が住む聖なる山です。
今朝は、ブロモ山の日の出を拝みに、ジープでカルデラ内に入りました。
3時過ぎに起床、4時出発。
早朝は気温が数℃まで下がるとのことでしたが、今朝はホテル付近では15℃ぐらいはありそうです。
気温が下がらないということは、雲で覆われているということで、日の出見物にはよくない兆候です。
月も雲で覆われています。
とにかく出発。カルデラ内の砂地をジープで走り、ブロモ山対面のプナンジャカン山のビューポイント(2770m)までガンガン上ります。
当然、周辺ホテルや近郊の都市(マランやプロボリンゴ)からも、同様に観光客が集まりますので、夜明け前のカルデラには無数のジープ・バイクが溢れ、轟音をたてています。
下ってくる車・バイクや歩いている人もいるのがちょっと不思議。
まあ、これだけ観光客が集まりますので、出店への配達とか、いろんな仕事があるのでしょう。
ジープに同乗したのは、フランス語を話すカップルと、国籍不明のヨーロピアン男性。
ホテルから1時間弱でしょうか、プナンジャカン山のビューポイント付近に到着。
駐車場なんて洒落たものはありません。ジープは狭い道路に路駐する形で、展望台まで歩きます。
道路は同じような無数のジープで溢れています。
真っ暗な中、ジープのナンバーを記憶しておきます。はたして帰りに自分のジープがわかるでしょうか?
とても不安。同乗したヨーロピアンを見失わないように・・・と思っていたのですが、あまりの人出で、すぐにわからなくなってしまいました。
ときおり雨粒が落ちてくることもあります。どう考えても日の出など無理です。
ビューポイントではすでに、200人以上の観光客が日の出を待っています。
しかし、案の定視界ゼロ。真っ白な世界が広がっているだけです。
それでも一応待ちます。
やがて空が白み始めて、日が昇ったことがわかりますが、あいかわらず視界ゼロ。
天気がよければ、ブロマモ山を正面に眺めて、カルデラ内に溢れる朝霧が外輪山を越えて流れ出る・・・という、非常に幻想的な世界が広がるはずなのですが。
“西側にはマランの夜景が広がり、流れ星を数えているうちに空が蒼くなっていく。ここからの朝景はまさに天の配材による色彩と構図のバランスだ”【地球の歩き方】
残念でした。
【カオスのなかの秩序】
山の観光は、こういう天候に左右されます。四の五の言っても仕方がありません。
特に何時に下りてこい・・・といった細かい指示はなく、適当なところで切り上げて下ります。
まだ、ジープにたどりつくという難題が残っています。
来るときは真っ暗で気付きませんでしたが、途中で道が二股に分かれており、どちらの道にもジープが並んでいます。
右か、左か・・・ここで間違えて時間をロスすると、本当に置いていかれてしまいます。
しばらく歩いても見つからず、“やっぱり右の道だったのかな・・・”と不安が高まる頃、やっと記憶のナンバーを発見。まだ、フランス語カップルは戻っていないようです。
狭い道路の両側にジープがぎっしり並んでおり、それぞれの車が似たような状況で客の帰りを待っており、動けない車も多々あります。当然大渋滞です。
この状況で、どうやって車の向きを変えて、下山できるのだろうか・・・・とも思っていましたが、まあ、なんとかなるもので、しばらく待っていると車を動かせるようになりました。
部外者にはカオスのように見えるなかにも、それなりのルールとか習慣・秩序とかあるのでしょう。
【火口内部で網を持って立つ人々】
プナンジャカン山を下りきってカデラ内の砂地に戻ると、今度はブロモ山火口まで歩いて登ります。
馬もいますが、殆どの人は歩きます。私も。
でも、少し歩いただけで、“馬に乗ればよかったかな・・・”
軟弱な足には上り坂がこたえます。きっと2000mほどの高地のせいもあるでしょう。でも、周囲の人は平気そうです。
30分ほども歩くと火口に向かう階段にとりつきます。
痛みに悲鳴をあげる足で上れるだろうか・・・とも思ったのですが、杞憂でした。
同じ時間帯に人が集中していますので、階段は大渋滞で1歩上っては2~3分止まり、2歩上っては・・・という状態です。
おかげで元気は回復しましたが、これではいつまでたっても火口に着きません。
体力のある人は階段からはずれて、火山灰の急勾配を這い登っています。
比較的すいている下り用階段を、ひとをかきわけて上る人も。インドネシア人に多いようです。
どうして上り階段の列が動かないのか不思議だったのですが、どうやら火口到着地点付近が、火口を見物する人、階段を下りる人などで身動きできない状態のためのようです。
後から来る人のことを考えて、階段付近はあける配慮がほしいものです。そうした指導を行う係員がいてよさそうですが、ここはインドネシアです。
なんだかんだで、ようやく火口に到着。
でも、火口はやはり白一色。下りる頃に風で霧が流れ、かすかに火口らしきものが見えたぐらいです。
まあ、火口なんて阿蘇もブロモ山も同じです・・・なんてね。
そんな白一色の世界の中で面白かったのは、火口内部の急坂に大勢の人がいて、火口壁の観光客をじっと見上げていることです。網を手にしている人もいます。
なんだか、檻の外の見物客が投げる餌を待つ動物園のクマ・・・といった感じもします。
しばらく眺めていてわかったのですが、観光客というか、“聖なる山”参拝客が火口に向かって投げるお供え物をキャッチしようと待っているようです。
投げられるものは芋とかカボチャとか野菜系のものが多いようです。
投げる方も、バラけずに受け取りやすいようにビニール袋に包んで投げることが多いようです。
キャッチできなかったものは、火口に向かってころがっていきます。
“動物園のクマ”なんて失礼な言い方をしましたが、きっと土着信仰に根ざした行為なのでしょう。
なお、カルデラ内にはちょっとした規模のヒンズー寺院があります。
ブロモ山観光を終えてホテル帰着は8時過ぎ。
雨粒と霧に濡れた髪に、火山灰・砂がこびりつき、ゴワゴワ・ジャリジャリ状態です。
朝食を終えた頃、雨が降り始めました。
観光の間、殆ど雨は降らなかったのは不幸中の幸いでしょうか。
期待した幻想的な光景には出会えませんでしたが、旅の楽しみは綺麗なもの、珍しいもの、壮大なものを見るだけじゃないよ・・・という話は、また明日にでも。