孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

ナイジェリア  「ボコ・ハラム」に拉致された少女らが解放される 進む掃討作戦 今後の課題も

2015-04-29 21:31:15 | アフリカ

(昨年4月、チボクで起きた女子生徒拉致事件で逃げることができた少女3名(いずれも17歳) 彼女らは襲った「ボコ・ハラム」に関し、「彼らを許すつもりだ。彼らは読み書きもできず、仕事もない人々だ」と語っているそうです。 本心からか、復讐の恐怖からかはわかりませんが。 “flickr” By Jerome Starkey  https://www.flickr.com/photos/jeromestarkey/16448091074/in/photolist-nev5xw-njnGPC-q41PcG-r4sLr9-r4szXU-rYGXgX-r4Esik-rWtRNA-bZXwtu-niztL3-s1jPvQ-qq6vRJ-byDjsu-nDG1np-jxnFXP-aFUXuT-qMrp9u-qwr5tV-o8rPWt-aqyZe3-nw88tB-nx2UsS-nzd2zM-nx9DAx-nfYs3g-nuZihw-smuMAh-nx3AFa-nvhekj-nx6PM3-nu9Y4U-nM6ZVH-nfTJRK-nyRZ7k-nz4NWs-nfRoTn-nzaVTF-nfVBw1-nxhtAa-nxjqki-nfwPdz-sbSZra-e6SC53-e6LYNz-e6SC3N-e6SC69-e6LYV2-nBoxJU-pdxqEh-qNZdHD

掃討作戦は最終局面へ
ナイジェリアではイスラム過激派「ボコ・ハラム」(現地語で「西洋の教育は罪」の意)による住民虐殺・拉致などが続いていますが、拉致されていた女性のうち300人ほどがようやく救出されています。

****ナイジェリア軍、少女ら293人救出 ボコ・ハラム拠点急襲****
ナイジェリア北部カノ(CNN) ナイジェリア国軍は28日、同国北東部のサンビサ森林地帯にあるイスラム過激派「ボコ・ハラム」の拠点を急襲し、少女200人と女性93人を救出したと発表した。

同地からそれほど遠くない北東部の村チボクの学校では昨年4月、200人あまりの女子生徒がボコ・ハラムに連れ去られる事件が起きている。

しかしナイジェリア陸軍の報道官は、今回救出されたのはチボクの女子生徒ではないと語った。別の当局者は、他の拠点への攻撃で救出された人々の中に、チボクの生徒が含まれている可能性があるとしている。

救出された女性たちはまだ身元を確認している段階で、家族との再会は果たしていないという。

関係者によれば、軍はボコ・ハラムの複数拠点を急襲して破壊した。この中には幼い子どもの訓練に使われていた場所も含まれるという。今回の作戦でボコ・ハラムの複数メンバーが死亡したとしているが、人数は明らかにしていない。

軍や自警団は数週間前からサンビサ森林地帯に踏み込んでいた。22日にはボコ・ハラムが仕掛けた爆弾のために一時撤退したが、27日に再度森に入って28日に拠点を急襲し、女性たちを救出した。【4月29日 CNN】
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チボクで拉致された女子生徒は含まれていないようですが、なにはともあれ喜ばしいことです。

「ボコ・ハラム」に対しては、ナイジェリアだけでなく、周辺国チャド・カメルーン・ニジェールの軍も参加しての掃討作戦が行われており、その支配地域は殆どなくなるところまできているようです。

今回作戦が行われた地域は、「ボコ・ハラム」の最後の拠点とされているエリアです。

****武器入手も困難に 崖つぷちのボコ・ハラム****
ナイジェリア軍によるイスラム武装組織ボコ・ハラムの掃討作戦が、ついに最終局面を迎えている。

軍はボコ・ハラムの牙城である北東部ポルノ州のサンビサ森林地帯に先週突入。そこで司令官1人を殺害したと、政府の広報官が本誌に語った。

2月から始まった掃討作戦によって後退してきたボコ・ハラムにとって、さらなる痛手だ。
政府軍の攻勢により、武器の入手も困難になっているという。

ボコ・ハラムに勝利する自信はあるかとの問いに、「もちろんだ。われわれは奴らの拠点の大半を奪っている」と、広報官は答えた。

地政学的リスクを分析するマックスーセキユリティー・ソリユーションズのフランクーチヤルナスも「ボコ・ハラムは最後の戦闘に臨んでいる」とみる。
「ISIS(自称イスラム国、別名ISIL)のような軍事組織としてはもう終わりだ」

ただし問題は、彼らが地下に潜り散発的なゲリラ攻撃を仕掛けてくる可能性が否定できないこと。完全に息の根を止めるにはまだ時間がかかりそうだ。【5月5日号 Newsweek日本版】
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3月28.29両日に投票が行われた大統領選で、「ボコ・ハラム」対策の遅れを批判されて敗れたジョナサン大統領にすれば、もう少しこの成果が早く出ていれば・・・というところかも。

ただ、本来であればもとっと早い段階に解決しておくべく問題であり、もう少し早く云々の話ではないことは間違いありません。

国際人権団体アムネスティ・インターナショナルの推定では、ボコ・ハラムが昨年初めから拉致した女性や少女は、少なくとも2000人に上るとされており、今後より多くの犠牲者が解放されることを期待します。

未だ続く抵抗 今後のゲリラ活動も 「ボコ・ハラム」を生んだ社会の改革が根本課題
掃討作戦は“最終局面を迎えている”とはいいつつも、「ボコ・ハラム」側の抵抗がおさまった訳ではありません。

****ボコ・ハラムがカメルーンの村を襲撃 住民16人を殺害****
ナイジェリアを拠点とするイスラム過激派「ボコ・ハラム」が隣国カメルーンの村落を襲撃し、少なくとも16人の住民を殺害したことが分かった。軍報道官が18日、CNNに語った。

同報道官によると、国境のチャド湖に面した村が16日、数百人の集団に襲われた。この村はボコ・ハラムの勧誘活動の場となっていた。

地元の州知事によれば、ボコ・ハラムは物資を求めてカメルーン側への襲撃を繰り返している。前回は先月10日、軍基地の占拠を図ったものの失敗に終わった。

ボコ・ハラムはイスラム法に基づく国家の樹立を掲げた政府軍との戦闘から、近年は村落への襲撃や住民の集団拉致、市場や教会での爆破テロなどに活動を拡大。カメルーンを含む近隣諸国への越境攻撃も激化している。【4月19日 CNN】
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****ボコ・ハラムがニジェール軍基地を襲撃、死者多数の可能性****
ニジェール国防省は25日、チャド湖のカラムガ島にある基地がイスラム過激派組織ボコ・ハラムに襲撃されたことを明らかにした。同国軍に多数の死者が出たとみられている。

同省によると、モーターボートに乗ったボコ・ハラムの戦闘員らがこの日未明に島の基地を攻撃した。同島は治安部隊の拠点であるボッソの北西に位置する。

同省はテレビで事件を公表し、「支援者らのサポートを受けながら、テロ集団の野心に対抗する作戦を実施している」と付け加えた。

省は死傷者が出ているかどうか明らかにしなかったものの、ニジェール南東ディファの当局者は詳細への言及を避けつつ、軍に「非常に多数」の死者が出たと警告した。

国営テレビによると、マハマドゥ・イスフ大統領は、今回の襲撃事件を受けて国家安全保障委員会の会合を招集した。

ニジェールは先日、チャドやカメルーン、ナイジェリアと連携してボコ・ハラムの掃討作戦に乗り出した。ボコ・ハラムは6年前から勢力を拡大し、これまでに1万3000人を殺害。この影響で約150万人が自宅からの避難を余儀なくされている。【4月26日 AFP】
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上記ニジェールでの襲撃の続報では、兵士46人と民間人28人が殺害され、ボコ・ハラム側も156人が死亡したと報じられています。

仮に支配地域を一掃する形で掃討作戦が成功しても、それは“最終段階”というよりは、第1段階の終了という方が正確でしょう。

前出【5月5日号 Newsweek日本版】にもあるように、“地下に潜り散発的なゲリラ攻撃を仕掛けてくる可能性”が考えられます。

ウガンダを中心にアフリカ中部5か国で活動する武装組織「神の抵抗軍」などは、30年にわたり活動を続けており、その間に10万人以上を殺害し、6万人以上の子どもたちを拉致したとされています。【1月8日 AFPより】

5月29日の就任式がよていされているブハリ新大統領には、「ボコ・ハラム」への軍事的作戦はもちろん、「ボコ・ハラム」を生む土壌となっている貧困・格差・腐敗の是正が求められています。
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