(中国製とされるワクチンを接種した際の同意書と接種を受けた人のリスト【1月1日 毎日】)
【「ワクチンを急げ!」との声が上がらない日本の不思議 副作用恐怖症と責任回避?】
日本では新型コロナ感染の急拡大を受けて緊急事態宣言が出され、市民生活・経済活動の自粛・制約が再び強く求められています。
一方、感染拡大からの出口と期待されるワクチン接種については、「当初2月中に製薬企業の治験データがまとまるということだったが、日本政府から米国本社に対し、強く要請し、今月中にまとまる予定だ。そのうえで安全性、有効性の審査を進め、承認されたワクチンをできる限り2月下旬に接種を開始できるよう、政府一丸となって準備を進めている」(1月4日 菅首相)とのこと。
自粛に対する社会的同調圧力・自粛警察的な風潮が大嫌いな私としては、個人的な思いを言えば、「国民に多大な犠牲を強いる自粛・制約を求めるのなら、もっと出口戦略のワクチンを急げよ! 何とかの一つ覚えみたいに自粛・三密回避ばかり繰り返すんじゃなくてさ!」といったところ。
世界各地ではすでに欧米・中国・ロシアなどでワクチン接種が始まっており、関心は「いかに効率よく接種するか」に移っているのに、なんとも慎重というのか、おおらかというのか、のんびりした対応にも思えます。
英調査会社によれば、ワクチンが普及し社会が日常に戻る時期について、日本は先進国の中で最も遅い22年4月となることが見込まれています。これじゃ、オリンピックなんて到底無理ですね。オリンピックにあれだけこだわってきた政府・東京都は、そこをどうかんがえているのだろう?
当然ながら、政府としても訳もなく遅らせているのではなく、2月末になるのは、それ以上は早められないのは理由あってことでしょう。
たとえそうであっても、「製薬会社の首締めてでも、土下座してでも、札束で横っ面はたいてでも、1日も早くワクチン接種を実現するのが政治の責任だろうが」と言いたくもなるのですが・・・。
ただ、私には非常に不思議に思えるのですが、そうした「ワクチンを急げ!」といった声は、TVでも、新聞でもまったくというぐらい目にしません。私一人のたわごとのようです。
国民はみな、「早くて2月末・・・そうか」と、文句も言わず納得しているみたい。不思議だな・・・
基本的に、過去の薬害の経験もあって、日本は他国に比べてワクチンに警戒感が強いようです。
国民も急ぐことを無理強いしないし、政府も急いだ結果何らかのトラブルが出た際の責任をとりたくない・・・ということで、政府・国民ともに「無理に急がない」という姿勢なのでしょうか。
****ワクチンに警戒感根強い日本、普及後れの可能性-過去の薬害が影か****
日本の新型コロナワクチン接種意向は69%-平均を下回る水準
ワイドショーの扇動的な報道による高齢者への影響を懸念する声も
英国や米国などで新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が始まる中、日本国内では過去の薬害や副反応に対する扇情的な報道などの影響でワクチンに対する懐疑的な感情が根強いことから、普及が他の先進国に大きく後れを取るとの見方が広がっている。
「潜在的に国民の頭の中にワクチンは副反応があるということがこびりついている」。北里大学の中山哲夫特任教授(ウイルス感染制御学)はそう指摘する。9月に英医学誌ランセットに掲載されたワクチンへの信頼度に関する意識調査では、調査を実施した149カ国のうち、日本が最も低い国の一つであることが明らかになった。
新型コロナのワクチンでも日本人の忌避の傾向は顕著だ。世界経済フォーラムと調査会社イプソスが共同で15カ国を対象に実施した意識調査では、日本の新型コロナワクチンの接種意向は69%にとどまり、インドの87%や英国の79%よりも低く全体の平均の73%も下回った。
現在、政府は米ファイザーとは来年6月末までに1億2000万回分、米モデルナとは来年の第3四半期までに5000万回分、英アストラゼネカとは1億2000万回分(来年3月までに3000万回分)の供給を受けることで基本合意している。
ファイザーは18日に日本で製造販売の承認を申請しており、国内での臨床試験の結果を2月までに取りまとめることを計画している。モデルナのワクチンの国内流通を担う武田薬品工業も、来年1月にも国内で臨床試験を開始する予定。中山氏は、現在国内で進行中の臨床試験で良好な結果が出れば、3、4月にも承認されることを想定していると話した。
英調査会社エアフィニティーは、新型コロナのワクチンが各国・地域で普及し社会が日常に戻る時期を予測。来年に東京五輪・パラリンピック大会の開催を目指す日本では、先進国の中で最も遅い22年4月となることが見込まれている。
日本政府は通常の経済活動や日常生活を取り戻すために早期にワクチンを承認する必要がある一方で、国民の信頼を損なわないよう慎重に審議を進める事も求められている。
過去の薬害が影
ワクチンを避ける国民感情には過去に何度か起きた薬害が影響している。1948年から翌年にかけてはジフテリアの予防接種で製造企業のミスが原因で924人に健康被害が及び83人が死亡した。89年から93年にかけてはしか・おたふくかぜ・風しん(MMR)ワクチンの接種により多くの子供が無菌性髄膜炎に感染し、約1800人の被害者が出た。
これらを背景に94年の改正予防接種法では定期接種に課せられた「義務接種」が「努力義務」へと変更された。近年では子宮頸(けい)がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)感染予防のためのワクチン接種を巡る副反応が大きな話題となった。
早稲田大学政治経済学術院の田中幹人准教授(科学技術社会論)は、センセーショナルに報道する傾向があるワイドショーの影響を懸念していると話す。ワクチンの恩恵を最も大きく受けるのが高齢者である一方で、高齢者にとっては「ワイドショーが重要な情報源」となっているためだという。
東京大学大学院の坂元晴香特任研究員(公衆衛生学)は、新型コロナワクチンの接種を普及させるためには政府やメディアが積極的に広報の役割を果たすことが求められると指摘する。
HPVワクチンではメディアが副反応を大きく取り上げた結果、最終的には政府が積極的勧奨を差し控える事態となったことを例に挙げ、それぞれが果たす役割は重要との認識を明らかにした。
その上で、ワクチン忌避はどこの国でも存在するものの「違うのはマスコミ報道の在り方とそれに対する政府のスタンス」と述べた。(後略)【12月23日 Bloomberg】
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副作用について言えば、副作用のない薬なんて世の中に存在しません。新型コロナワクチンだって当然に副作用はあります。なかには重篤な事態に陥る場合もあるでしょう。(また、ワイドショーが騒ぐんだろうな・・・)
でもそれは、どんな薬剤でも同じです。要は、その薬剤がもたらすベネフィットとリスクの比較です。
大勢が感染し、重傷者・死者も増加する、自粛・制約を強いられるなかで多くの事業者・雇用者が廃業・失業に追い込まれ、なかには自殺等に追い込まれる者もでる・・・そういう状況で慎重に安全性の確認を続ける・・・そのリスクとベネフィットの比較です。
私的には、こうした危機的状況での慎重さは、不合理な副作用に対する警戒・不安、誰も責任を負いたくない無責任体制の結果のように思われるのですが。
その結果、自粛を強要される期間が長引く・・・苛立つ思いです。
【“抜け道”を探す者も】
さきほど、“「ワクチンを急げ!」といった声は、TVでも、新聞でもまったくというぐらい目にしません。私一人のたわごとのようです。”と書きましたが、「早くワクチンを接種したい。たとえ非正規なルートでも」と考える者が日本でもいないわけでもないようです。当然でしょう。
****国内富裕層が未承認コロナワクチンを先行接種 中国人ブローカー持ち込み****
中国で製造したとされる新型コロナウイルス感染症の未承認のワクチンが日本国内に持ち込まれ、日本を代表する企業の経営者など一部の富裕層が接種を受けていることが明らかになった。
2020年11月以降、既に企業トップとその家族ら18人が接種を受けたという。ワクチンは、中国共産党幹部に近いコンサルタントの中国人が持ち込んでいる。
個人が自分で使う以外の目的で海外からワクチンを持ち込むのは違法の可能性があるが、中国側がワクチンをテコに影響力拡大を狙っている姿が浮かんだ。(後略)【1月1日 毎日】
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“中国側がワクチンをテコに影響力拡大を狙っている姿が浮かんだ”・・・それは筋違いでしょう。
中国側の意図はともかく、話の大前提にあるのは「海外では接種が進むのに、日本ではワクチンを接種したくても当分できない」という事実、それに対する一部の者の焦りでしょう。
どうしてそこを問題にせず、「中国側が・・・」といった陰謀論みたいな話になるのかな???
利用者はいくら払ったんだろう?そこに記事が触れていないのは、「その額だったら私も・・・」という者が続出するのを警戒してのことでしょうか。
でも、個人が自分で使う目的なら海外からワクチンを持ち込むのは合法か・・・(そう言えば、私も普段、ある種の薬を個人輸入しています)
そのうち、ネット上で中国産ワクチンの個人輸入という形での販売が始まるかも。
ただ、内服薬ではなく特殊な扱いを要する注射なので、個人だけでは利用できませんね。医療関係者をまきこまないと。たとえ個人輸入でも、そのあたりで違法性が出てくるのではないでしょうか。
当然ながら、中国政府は関与を否定しています。
****「未承認ワクチン国内接種」本紙報道に中国大使館「日本で広める権限与えていない」****
未承認の新型コロナウイルスワクチンが中国から日本に持ち込まれ一部の富裕層が接種を受けていると毎日新聞が報じたことについて、在日本中国大使館は7日、「中国政府は今まで、いかなる企業や個人に対しても日本でワクチンを広める権限を与えていない」とコメントした。
コメントによると、報道を受けて暫定的な調査を行ったが、ワクチンを開発した中国の国有製薬会社は「日本と関係するいかなる個人とも接触したことがない」といい、「生産したワクチンが日本に流入したという状況は今のところ見つかっていない」という。
そのうえで、「中国は各国と共同でワクチンの偽造販売や不法な国外流出など犯罪行為を取り締まる」と強調。「出所不明のワクチンの接種を受けるのは重大なリスクがあり、だまされないよう希望する」と注意を呼びかけた。【1月7日 毎日】
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利用が制約されていると、なんとか抜け道を探して・・・、あるいは特権を利用して・・・という話になりがちなのは日本でも、他国でも同じ。フィリピンでは・・・
****ワクチンどう密輸? 比大統領の警護隊が極秘接種****
フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領の警護隊員が昨年秋、新型コロナウイルス予防ワクチンを接種していたことが明らかになった。だが、当時も今も、フィリピンではどのワクチンも承認されていない。
野党議員は、警護隊員らがいかにして新型コロナウイルス予防ワクチンを接種したのか、その経緯を追及している。
ワクチンを巡るスキャンダルは先月、ドゥテルテ氏が大統領の警護を担当するフィリピン軍の複数の隊員が自身への報告なくワクチンの接種を受けていたと述べたことで発覚した。
その後、警護隊の司令官はドゥテルテ氏を感染リスクから守るために、「一握り」の警護隊が9月と10月にワクチン接種を受けたと明らかにした。
その司令官は、ドゥテルテ氏は警護隊員が必要な2回の接種を受けた後にその件について知ったと説明。警護隊は他の当局による承認、もしくは支援を受けずに単独で行動したとしており、テレビインタビューで「自分たちでワクチンを接種した。とても簡単なことだ」と述べた。
今回のスキャンダルは政界を揺るがす問題に発展。フィリピン国家捜査局(NBI)が捜査に乗り出したほか、上院での公聴会開催を求める声が強まった。これまでフィリピン食品医薬品局(FDA)に承認されたコロナワクチンはまだない。NBIとFDAはコメントの要請に応じていない。
フィリピンは国内でワクチンを製造しておらず、ワクチンがどこからいつ持ち込まれたのかなどの疑問がくすぶっている。
ドゥテルテ氏は先月、国内には中国国営医薬品の中国医薬集団(シノファーム)傘下の国薬控股(シノファーム・グループ)が開発したコロナワクチンを接種した人が複数いると明らかにしていたが、4日のスピーチでは、警護隊が接種したワクチンの製造元は知らないと述べた。(中略)
シノファームのワクチンは7月に緊急使用許可が認められた後、第3相試験(フェーズ 3)で79%の予防効果が確認されたことで、昨年12月下旬に中国で暫定承認を受けている。シノファームは11月、中国では100万人以上が接種を受けたと明らかにしていた。
在マニラの中国大使館によると、シノファームはフィリピンで今週、緊急使用許可を申請する予定。
ドゥテルテ氏は4日、議員らに対し、警護隊は自身を守るという任務を遂行しているだけだと述べ、追及しないようけん制。議会が調査に乗り出しても証言に応じないよう、警護隊の責任者に指示した。
フィリピン(人口1億0600万人)は東南アジア諸国の中ではコロナ感染が極めて深刻で、感染者数は約50万人、死者は9300人以上に達している。フィリピン当局は2~5年に6000万~7000万人のワクチン接種を目指している。同国はこれまで唯一、英製薬大手アストラゼネカから260万回分のワクチンを調達することで合意している。【1月7日 WSJ】
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超法規的殺人が横行する国ですから、こんな話、あって当然でしょう。
【欧米では効率的ワクチン接種の方法が議論】
ワクチン接種が始まっている欧米で問題となっているのは、変異型ウイルスへの有効性と、効率的ワクチン接種の方法の問題。後者については・・・
“英国でワクチン接種方法めぐり論争”【1月4日 日テレNEWS24】
“米政府、モデルナ製ワクチンの半量投与を検討 接種スピードの加速狙い”【1月4日 ロイター】
“米FDA、コロナワクチンの接種回数や間隔の変更は「時期尚早」”【1月5日 ロイター】
“NY・フロリダ州、病院にワクチン接種加速要請 応じなければ配布停止も”【1月5日 ロイター】
****ワクチン接種間隔めぐり英政府とファイザーが対立 新型コロナ****
米製薬大手ファイザーと独バイオ企業ビオンテックが開発した新型コロナウイルスのワクチンの接種方法をめぐり、英政府とメーカー側の意見が分かれている。
同ワクチンは1人につき2回の接種が必要だが、英政府は多くの国民に1回目の接種を行き渡らせるため2回目の時期を遅らせる方針なのに対し、ファイザーは英政府が掲げる方法は「安全性が検証されていない」と懸念を示している。
英国で昨年12月8日に接種が始まったファイザーのワクチンは、1回目の接種から21日後に2回目を行うことで発症を防ぐ95%の有効性を発揮するとされる。
しかし、新型コロナの変異種の感染が拡大したことを受け、英政府は12月末、少数の国民に2回投与するよりも、1回目の接種をより多くの国民に早く実施することで感染者数を減らす考えを主張。1回目から2回目の間隔を最長3カ月にする方針を決めた。
米メディアがファイザーの臨床研究の担当者に取材したところ、同社ワクチンは1回目の接種で有効性は約52%確保できるとみられている。
ジョンソン英首相は初回の投与だけでも「(新型コロナの)影響から国民を守れる」と判断。英政府は今月4日に接種が始まった英製薬大手アストラゼネカなどが開発したワクチンに関しても、2回目を遅らせる考えを示している。
だが、ファイザーとビオンテックはこの方針に不安を隠せない。ロイター通信によると、両社は今月4日、ワクチンの臨床試験(治験)と異なる間隔での投与は「安全性や有効性が検証されていない」と警告した。
このワクチンの接種間隔をめぐっては、各国や機関で対応が分かれている。米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は1日、米メディアに「私たちは治験で21日間の間隔をあけることが最適と知っている」と英政府の方針を支持しない見解を示した。
一方、欧州連合(EU)の欧州医薬品庁(EMA)は42日以内に2回目を行うべきだとの認識だ。世界保健機関(WHO)も42日間以内に行えば効果が得られるとしている。
両機関はワクチン不足を想定し、1回目の接種を十分に確保するためにファイザーなどが主張する間隔を延ばしたとみられている。ただ、英国が示す接種間隔はEMAやWHOよりもさらに長く、ワクチンの有効性を大きく下げる恐れも指摘される。【1月8日 産経】
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製造会社が嫌がっているのに強行するというのは、ジョンソン首相はずいぶん強引ですね・・・“初回の投与だけでも「(新型コロナの)影響から国民を守れる」と判断”って、どういう根拠でしょうか。
まあ、それだけイギリスの状況が切羽詰まっているということであり、そこを考慮すると合理的判断なのかも・・・逆に言えば、そうした危機的状況で漫然とルールどおりに行動するのは「不作為の過失」を犯すことになるとの政治判断でなのでしょう。
****英国、ワクチン130万人が接種 新規感染者は初の6万人****
ジョンソン英首相は5日、昨年12月から国内で始まった新型コロナウイルスのワクチンを約130万人が接種したと明らかにした。5日発表の新規感染者は6万916人で、初めて6万人を超えた。8日連続で5万人以上となり、ウイルス変異種の拡大が続いている。
ジョンソン氏は記者会見で、首都ロンドンを含むイングランドでは80歳以上の23%がワクチンを接種したと説明。介護施設や病院の職員、高齢者ら優先度の高い全ての対象者が2月15日までに接種できるよう計画を進めているとした。【1月6日 共同】
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