家訓は「遊」

幸せの瞬間を見逃さない今昔事件簿

精神的輸血

2013-04-17 06:55:13 | Weblog
妻の友人が入院した。

特殊な病気にかかっていて最近悪化したようだ。

血小板の交換をするという。

医学的に、どんなことかは分からないがたいへんそうだ。

私の父が人工透析をしていたので、その時の様子が浮かんだ。

妻とはメールを毎日交換している。

一人病院で自分の体と戦う彼女が少しでも良くなるようにと妻が湯飲みを買った。

別の友人の作った「赤焼き」の器だ。

それを届けに行った。

その朝も通常通りに妻とのメールの会話が行われた。

妻は、その日に届けに行くことを伏せておいた。

突然病室に現れた妻に友人は驚いた。

眺めの良い食堂で話をした。

友人は点滴を腕に刺したままコロコロとキャスターを転がして移動する。

「これ精神的点滴を持ってきたから」と伝えながら渡した。

友人は「こんなに高い物をありがとう」と答えた。

以前から、この器のことは知っていて欲しいと思っていたと言う。

友人は自分の病気について「家族じゃなくて私でよかった」と言う。

「えらいなぁ」と感心した。

友人の力になりたいと考える妻、そして妻の力になりたいと考える私。

精神的な点滴の効果が少しはあったと思っている。

サプライズも一つの効果を上げるための演出だ。

翌日の妻へのメールには「早く退院して自宅で、この器でお茶を飲みたい」と書かれていた。

その後退院して、そのささやかな夢を叶えたという。