第3139回の月光発電でも書いたように太陽光発電の最大の弱点は夜や雨・曇など太陽の光がなくなると発電できないことです。月や、星の光で発電できる感度の良い電池ができればそれに越したことは無いのですが、いくらなんでもそれは無理と言うものでしょう。
もう一つはバッテリーで蓄電することで夜も使えるようにすることですが、これも今まで何度も取り上げてきたようにコストの問題があります。
発想を変えた面白い方法もあるようです。
太陽エネルギーを保存しておくのは多額の費用がかかるが、MITはこれを安く効率的に実現する方法を発見した。 2008年08月01日 17時46分更新
太陽光エネルギーを保存しておいて、日が照っていないときに使えるようにする方法を、米マサチューセッツ工科大学(MIT)が発表した。
現時点では、太陽エネルギーを保存しておいて後で使うには多額の費用がかかり、効率も悪い。だが、MITは植物の光合成をヒントに、安価で効率的な保存方法を発見したとしている。
その方法とは、太陽光エネルギーを使って水を水素と酸素に分解し、後でこの水素と酸素を燃料電池内で化合させて電気を作るというもの。カギとなるのは水から酸素ガスを発生させる新しい触媒で、コバルト金属、リン酸塩、電極で構成される。これを水に入れて電極に電流を流すと、コバルトとリン酸塩が電極上に薄い膜を作り、酸素ガスが発生する。この触媒は室温で、中性の水の中で作動し、使うのも簡単だという。これをプラチナなど、水から水素ガスを発生させる触媒と組み合わせると、光合成の際に起きる水の分解反応を再現できると研究者は説明している。
MITの研究者ダニエル・ノセラ氏は、今回の発見は「われわれが何年も前から語ってきたパラダイスだ」としながらも、「これは始まりにすぎない」としている。現在の電気分解装置は高額で高塩基性環境が必要になるため、人工光合成には適していない。今回の発見を既存の光電池システムに統合するためには、工学面でさらなる取り組みが必要になるという。
ノセラ氏は、10年以内に、家庭で光電池を使って太陽光で電気を作り、余ったソーラーパワーで水素と酸素を作り出して家庭用燃料電池に使えるようになると期待している。同氏らの研究成果は7月31日号の「Science」誌に掲載される。
面白そうですが、実際にものになるのでしょうか。水素を作り出すところまでは良いのですが、それを燃料電池で発電するというところに疑問を感じてしまいます。何時も言っているように、太陽電池の最大の利点は稼動部分が少ないと言うことです。それに反して燃料電池は複雑すぎます。複雑なものはコストもかかるし故障が付きまといます。その点で私は燃料電池を買っていません。
それでも実現できれば面白いでしょう。しかし、バッテリーとどちらが本物になるでしょうか。どちらも難しそうですが、多くの選択肢ができることは可能性も高くなるでしょうから期待はしたいものです。
それにしても、こうしていろんな技術が開発されると言うことは太陽光発電の夜明けは遠いようで近いのかも。
もう少しの辛抱か!