団塊の世代のつぶやき

誇れる日本を取り戻そう

★★市場から退出

2008年10月01日 | 非正規・派遣

  第3263回で人件費を削るために派遣を利用しなければ成り立たないような企業は市場から退場すべきですと怒りを込めて書きましたが、私はもともと、従業員を安くこき使わなければ成り立たない業種や低賃金を求めて海外進出する企業も嫌いでした。そんなことまでして儲けようとする経営者は経営者というより人間失格ではないかと思っています。そして、それは起業することのできなかった自分への言い訳が含まれているのかもしれません。
  そんな私が久しぶりにこれはと思った記事がありました。

  9月26日、読売新聞コラム「論点」より

 最低賃金引き上げ  支払い 企業の社会的義務

 橘木(たちばなき) 俊詔(としあき)同志社大教授(労働経済学)男女協同参画会議議員。著書に「格差社会」など。65歳。

 ・・・略

 ヨーロッパの最低賃金はイギリス、フランスが1時間あたり1200円前後、デンマークでは2000円以上である。ちなみに日本は全国平均で700円前後。デンマークの人の話では、従業員が食べていけるだけの賃金を企業が払うのは、社会的義務と考えられているようだ。食べていけない賃金しか出せない企業は非効率なので、市場から退出すべきだ、との社会合意があるのかもしれない。効率性の高い企業が参入し、食べられる額の賃金を払える企業のみが市場に残る。結果的にそういう仕組みになっているとも考えられる。

 日本企業にこのようなことを求めれば、企業経営者からの猛反発を受けそうである。最低賃金を引き上げて企業が倒産してよいのか、という声は強いだろう。低い賃金でも働きたい人がいれば雇用を保つことになり、失業者が出ないメリットは大きいとの声もある。

 その主張はよくわかる。何よりもこの声を多くの日本人が容認してきたからこそ、最賃は低いままだったのである。

 しかし、日本でもデンマークのような新しい発想をしてよい時代になっているのかを検討してよい。非効率な企業が退出し、高率の高い企業が多く参入すれば、国の経済成長率も高まる効果がある。それが無理なら、非効率、あるいは生産性の低い企業の生産性をもっと上げる政策を、本格的に議論して導入するしかない。

 これも反発を受けるかもしれないが、最低賃金を生活できる水準まで上げるための財源として、株主や経営者への配分、給料の高い従業員の給与を少し下げる案もありうる。労働分配率のアップ策と低賃金者への再配分策である。

 最低賃金引き上げで困るのは中小の下請け企業である。多くの中小企業の製品は大企業に納入されているが、日本では、下請け企業の価格転嫁を不当に防ぐ、いわゆる「買いたたき」が存在するといわれる。公正な取引が実行されるように、政府の監視と罰則の徹底が必要である。

  何気なく読んでいたら「市場から退出すべきだ」に目が覚め、必死で読んでしまいました。こんなことを書く人もいるんだと思わず誰だろうと名前を確認しました。何とわが母校の教授じゃないですか。それも65歳と言えば、もしかしたら同時期に同じキャンパスで学んでいた先輩かもしれません。尤も、私は滅多にキャンパスには行ってないですが。

  何はともあれ、こうした考えが紙面に載るということは時代も変わったのかもしれません。
  日本の若者を雇わずに中国からの研修ということで安い賃金で働かせることでしか成り立たない企業が多いそうですが、そうした企業も市場から退出すべきでしょう。将来の日本を考えずに今の自分さえ良ければの経営者ばかりがこの国をここまでおかしくしたと言えば総すかんを食いそうですが、企業を経営するのならそれなりの矜持を持って貰いたいと思うのは私だけでしょうか。

理想に過ぎるでしょうか!