第3327回で日本のメーカーの優位も危ないと書きましたがどうやら本当になりそうです。
ロイター.co.jpの続編より
太陽電池特集:主導権握る装置メーカー、高度化が生き残りのカギ 2008年 10月 24日
[東京 24日 ロイター] 「太陽電池ビジネスの主導権はパネルメーカーから製造装置メーカーに移った」という指摘が、業界周辺から多く出ている。
材料を入れると太陽電池が製造できる「ターンキー」と呼ばれる一貫製造ラインがでてきたことで、資金さえあれば比較的容易に太陽電池製造への参入が可能になりつつある。研究開発と製品化で先行してきた日本メーカーにとって、製品やビジネスモデルの一層の高度化の成否が生き残りを左右する。
<一貫製造ライン、世界各地に導入>
「当社の顧客が前週末、薄膜太陽電池の量産を開始した。画期的な出来事だ」──。10月17日日本時間朝。国際電話での取材に応じた半導体製造装置で世界最大手の米アプライド・マテリアルズのジョン・アントン・ヴァイスプレジデントは声を弾ませた。アントン氏はアプライド社製の薄膜太陽電池一貫製造ラインを導入した米太陽電池メーカー、シグネット・ソーラー社がドイツ・ドレスデン近郊の工場で量産を始めたことをロイターに明らかにした。
アプライド社の薄膜太陽電池一貫製造ライン「SunFab(サンファブ)」は面積5.7平方メートルのガラス基板を使う。他社の薄膜太陽電池の製造ラインに比べ4倍近い大型サイズだ。基板サイズが大型ならば、製造が軌道に乗れば生産効率を高めやすくなるが、製造の難易度は高まる。サンファブから薄膜太陽電池は本当に量産されるのか。世界中の業界関係者が注目する中で、シグネットはサンファブを用いて量産を開始した初のメーカーとなった。太陽電池製造装置分野に昨年本格参入したアプライドは、既に8カ国11社からサンファブの受注を獲得。アントン氏によると、これまでに30億ドル(約3000億円)分の製造装置を受注したという。
日本にも注目の装置メーカーがある。神奈川県茅ヶ崎市に本社を置くアルバックだ。半導体や液晶パネルの製造装置で成長してきた同社は、太陽電池製造装置を今後の成長戦略の柱に置く。注力するのはアプライド同様、一貫製造ライン。08年6月期は約400億円だった太陽電池製造装置の受注が、09年6月期は700億円に伸びる見込みだ。
アルバック関係者によると、受注の伸びが目立ってきたのは08年4─6月期。アルバックの製造装置を導入した台湾の太陽電池メーカー、ネクスパワー社が5月から生産・出荷を開始。アルバック関係者は「ネクスパワーが5月に量産を始めたことで、(アルバックの装置が)信用できるとの認識が広まった」と力説する。08年6月期には一貫製造ラインを8ライン受注。09年6月期は15ライン受注する見込み。半分は中国からの受注で、残りが台湾、韓国、欧米、日本だという。・・・以下略
開発力の差より製造設備の競争になるのでしょうか。金に任せて大規模装置を導入すれば直ぐに市場に参入できシェアも抑えることが出来るという何とも味気ない世界になるのでしょうか。
開発から頑張ってきた日本のメーカーがかわいそうに思うのはこういう世界では通らないのかもしれません。それにしても、これも日本政府の余りの無策がもたらしたと言えば言い過ぎでしょうか。しかし、未だにFIT(フィードインタリフ)方式じゃなく単なる補助金製作を取ろうとしているのじゃそう考えるしかなさそうです。
第3327回でNHKのクローズアップ現代が取り上げていた会社も取り上げていました。
・・・略
ソーラービジネスのダイナミックな市場成長を象徴するような企業のひとつが、インドの新興太陽電池メーカー、モーザーベア・フォトボルタイック(モーザーベアPV)だ。同社の数野忠雄副社長は、東京に構えたオフィスでロイターの取材に応じた。モーザーベアPVは、CDやDVDといった光ディスク製造の世界最大手であるモーザーベア社が06年に設立。アプライド社の一貫製造ラインをニューデリー近郊の工場に導入し、年内にも薄膜太陽電池の出荷を開始する計画だ。・・・以下略
こうして、気がついたときには折角日本の企業が育ててきた産業が他国に追い抜かれてしまうと言う屈辱を味わうことになるのかもしれません。
とうとう、世界のエネルギー大国になるチャンスを逃がしてしまったのでしょうか。日本の政治の貧困はとどまるところを知らないのでしょうか。
余りにも勿体無い!